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神様のミスで死んだので、神獣もふもふと異世界インターネットで快適スローライフ始めます ~最強生活チートと1000万ポイントでポチりまくり!~  作者: 幸せのオムライス
第二章 ヤマネコ商会、爆誕!:行列のできる露店

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111/125

第111話 口コミで大行列! 嬉しい悲鳴と新たな課題『人手不足』

 商品を受け取った貴婦人と娘さんは、ニコニコ顔で去っていく。


「ねえお母様、早く帰って食べましょう!」

「ええ、お父様もきっと驚くわ」


 その様子を見ていた周囲の人々が、ざわめき始めた。


「ねえ、見た? あの奥様、即決だったわ」

「こんないい匂いがするんだ、美味いに決まってる」

「私も試食してみようかな……」


 人が人を呼ぶ。

「サクラ」ではない、本物の熱狂が、広場に伝播していく。


「よし、リックお兄ちゃん! 気合入れましょう!  忙しくなりますよ!」


「お、おう! 任せとけ!」


 ヤマネコ商会の伝説が、今、幕を開けた。


 ◇


「並んで! 列に並んでくれ! 押さないで!」


 開店からわずか数十分。

 優雅なティータイムを演出していたはずのヤマネコ商会の前は、いつの間にか戦場と化していた。


 きっかけは、最初のお客様であるあの貴婦人だ。

 彼女が満面の笑みで商品を抱え、周囲の人々に「こんな美味しいもの、初めてだわ!」と興奮気味に語ってくれたのが、決定打となった。

 サクラじゃない、本物の感動。それが一番の広告になる。


「ねえ、あの奥様、えらく褒めてたわ」

「なに、あのいい匂いは?」

「東の国の宝石だって?」


 人が人を呼び、興味を持った人が試食をし、そのあまりの美味しさに目を剥いて財布の紐を緩める。

 その連鎖反応パンデミックは、私の予想を遥かに超えるスピードで広場を飲み込んだ。


「これ、三つちょうだい!」

「私はクッキーもセットで!」

「孫への土産にするわ!」


 嬉しい悲鳴とは、まさにこのことだ。

 私は笑顔を張り付けたまま、試食を配り、商品説明をし、代金を受け取り、商品を渡す。

 その横で、コロも尻尾をフル回転させて「お手」や「おかわり」を披露し、客のハートを鷲掴みにしている。営業部長、働きすぎよ!


 しかし、問題はその後ろだ。


「おい! 割り込むな!」

「こっちが先よ!」

「最後尾はどこなんだ!」


 リックが声を張り上げているが、人の波に飲まれかけている。

 彼は商品の補充と列の整理を一人でこなさなければならない。

 明らかに、キャパシティオーバーだ。


「リックお兄ちゃん! 在庫の箱、もう一つ開けてもらえますか!?」


「わ、分かってる! くそっ、手が足りねえ! お前ら、押すなって言ってるだろ!」


 リックの悲鳴が聞こえる。

 無理もない。彼はただの力自慢の少年で、接客のプロじゃない。

 この怒涛のような客入りをさばくには、経験も、何より「人数」が足りなさすぎる。


(うーん、まずいわね……。このままだと、さばききれなくて客が帰っちゃうかもしれない。機会損失だ……)


 私は暗算で会計を済ませながら、チラリと行列の先を見る。

 列は伸びる一方だ。

 私の体は一つしかない。口も一つしかない。手は二本しかない。

 いくら中身が元OLで事務処理能力が高くても、10歳の子供の身体能力スペックでは限界がある!


「お待たせしました! 大銅貨4枚のお返しです! 次の方どうぞ!」


 お金を数える指が攣りそうになる。

 喉もカラカラだ。

 でも、休むわけにはいかない。目の前には、銀貨の山(お客様)が待っているのだから!


(嬉しい! 嬉しいけど、これ完全にブラック労働だ! 経営者わたしが現場で過労死するパターンだわ!)


 私は、ジャムの瓶を渡しながら、心の中で固く誓った。


(従業員を雇いたい! それも、とびきり優秀な人を!)


 このカオスな状況が、私に「組織化」の必要性を痛烈に教えてくれていた。

 ヤマネコ商会、最初にして最大の経営課題――「人手不足」。

 それが解消されるのは、求人を出したり、面接したりでもう少し先の話だろう。


 今はただ、この嵐を乗り切るしかない!


「いらっしゃいませー! 『妖精の宝石』、まだまだありますよー!!」


 私のやけくそ気味な元気な声が、喧騒の中に響き渡った。

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