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残価−100,000,000の神様 〜壊れた世界で価値を視る俺〜  作者: ふりっぷ


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神罰機関と違反者

神罰機関――

価値を乱す存在を粛清する秩序の番人。

その圧倒的な力を前に、

ミチルと仲間は命からがら逃げ延びる。

仮面の人物が、ゆっくりとこちらを向いた。

その瞳は、青白く光っていた。


「残価マイナス一億。観測者ミチル。

神獣ナナ。魔獣シルク。

――価値の偏在を確認。処理対象に指定する」


「規格外契約者。即時、排除を開始する」


次の瞬間、地面を杭が貫いた。


ズガン! と爆音が響き、床石が砕け散り、雷光が青白く迸る。


周囲の空気が焼ける熱風を巻き起こし、

皮膚がひりつき、肺の奥まで灼熱が染み込むようだった。


巻き込まれた後ろの価値狩りが音もなく溶ける。


「早っ!」


シルクが悲鳴を上げ、壁をぶち破って飛び退く。

ガラガラ! と瓦礫が崩れ落ち、

溶けた価値狩りの欠片が視界の端で蒸発する。


《警告:シルク(仮) ダメージ 34》


「ちょっ……待てよ!

 俺はまだ何も――!」


杭の残光が視界を焼き切る。

圧倒的だ。価値狩りどころじゃない。

こいつらに捕まれば、一瞬で終わる。


「ナナ、ルート変更!」


「……南側、非常階段! 到達予想:45秒!」


俺はシルクの首を叩き、走らせた。

背後で神罰機関の声が響く。


「逃走を確認。次回遭遇時、即座に抹消」


側道に入り、さらに細い通路に飛び出す。

遠くで青い光が追ってくるのが見えたが、

やがて途絶えた。息が荒い。


シルクも肩で息をし、ナナは画面の中でぐったりしている。


「……ナナ。今の、何だよ」


「……あいつらね、正しい価値しか見ないの。

そして今のあなたは……もう、計算に入らない」


「計算外ってか……?」

「うん。借金とナナに縛られた契約者。

彼らにとっては存在自体が違反なんだよ」


「神罰機関の冷たい目、親父に少し似てた…」


俺はしばらく黙り込み、側道に差し込む夜空を見上げた。

遠くの廃墟で、また青い光がゆらめいている。


《警告:価値狩り接近中》距離:200m


「……結局、休む暇もねえのか」


俺はスマホを握り直し、シルクに飛び乗った。

「いいさ。だったら逃げ続けてやる。ナナ、次の出口を探せ!」


ナナが画面の中で小さく頷いた。

その瞳は、なぜか嬉しそうに光っていた。


「ミチル、そこっ。鉄格子が弱ってる」


鉄格子耐久値 30/100


「よしっ、シルク頼む」

下水道に逃げ込み、ようやく足を止める。

腐臭すら、今は安らぎに感じた。


もう少し距離を取りたいが、俺達は限界だ。

下水に座り込むと、シルクがどさりと倒れる。


「同期を高めたから死ぬことはないよ」

「そうか…」


「あなたが死ねば別だけど」

「お前なぁ」

「親切に教えてあげてるんじゃん」


「えっ、ナナ。

 お前……ちょっと顔つき変わってないか?」


俺は画面に座るナナをまじまじと見た。


昨日より明らかに耳が短くなってるし、

尻尾のふさふさ感も増している。

胸元も、微かに……。


「……借金が減ったからだよ」

「え、そんなシステムなのかよ!?」


ナナはドヤ顔で胸を張った。

――その胸が、ぷくっと強調される。


「まさか、ナナ。お前……メスなのか?」

「はあ!? 何言ってんの!?」


ナナの耳が真っ赤になって、

尻尾がぶんぶん揺れた。

画面が揺れる勢いで、俺の心臓も跳ねる。


「だってさ、ほら……だんだん人型に近づいてるし、

 その……なんか胸……」


「ば、ばかじゃないの!? 私は神獣だよ!

  性別なんて概念ないんだよ!?」


「うわ、必死に否定するあたり、逆に怪しいな」


「ち、違うってばぁぁぁ!」

神罰機関という秩序の存在を前に、

ミチルはついに「外れ者」として烙印を押されました。

ナナの成長もますます謎めいていきます。

次回もぜひお楽しみください。

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