価値再構築! ナナの神獣進化と審理官の堕天
ルメルの断価斬がリサの剣を断つ中、
ナナの神獣進化が価値を再定義!
ルメルが、ゆっくりとこちらを向いた。
その灰色の瞳は、青白く光りを灯す。
「残価マイナス逸脱。
観測者ミチル、神獣ナナ、魔獣シルク、借金傭兵――
よくも処理対象が揃ったものだ」
「《断価斬》」
巨大な審理剣が、リサの剣ごと断ち切る。
「このままじゃ一方的にやられるよっ!」
ナナが叫ぶ。
「ミチル、一旦引こう! 分析しても弱点がない!」
「……逃げるだけじゃ、意味ねぇだろ」
俺はスマホを握りしめ、笑った。
「ナナ、シルク、リサ――
俺たちの“価値”がどんなに歪んでても、
奴らに消されるもんじゃないだろ?」
ナナが静かに頷く。
「……じゃあ、ミチル。ナナの進化、使うね」
「信仰ポイントは使い切っただろ……?」
スマホが白く光る。
「ミチル。あなたに言われた通り、広い視点で見た。
進化の可能性――あそこにある」
ナナの瞳が、倒れ伏す老竜を見つめた。
「ヴェルザンの“焔の核”を使わせてもらう。
そして、あなたの“価値”を、もう一度書き換える」
「やむを得まい……シルクを頼んだぞ」
老竜の胸元から焔の核がスマホへと吸い込まれる。
ナナの姿が変わっていく。
風に髪が揺れ、瞳は赤白く燃え、
輪郭が神々しく膨張する。
――もはや“神獣”の名にふさわしい。
《神獣進化:完了》
《新機能:価値遮断/価値再構築》
ナナが前足を掲げる。
青白い光が逆流し、空気が震える。
ルメルの割れた仮面にヒビが広がる。
《価値遮断:成功》
《神罰機関術式:無効化中》
《価値再構築:開始》
スマホの画面に数字が踊る。
残価:−96,999,800 → −9,000 → −50 → 0。
「……ゼロになった……?」
「ううん、ゼロじゃない。
今のミチルは、誰かに測られる存在じゃない。
自分の語りで、世界の価値を塗り替える者になったの」
審理の天秤が傾き、ルメルの身体がゆっくりと地に落ちる。
天使の堕天のように。
法衣がしぼみ、灰の瞳に初めて動揺が宿る。
「一体……何が……?」
「元神罰機関ルメル。
お前の価値指数は“642”。
術式崩壊損傷マイナス500。
この地の基準値は200。――削除対象だ」
「ぐっ、《断罪連撃》!」
三閃の光が奔る。
スマホの中で、白毛の神獣ホログラムが咆哮する。
「《光爛砲》!」
閃光が神殿を包み、ルメルの全身を焼く。
仮面が剥がれ、端正な青年の顔が苦痛に歪む。
「逸脱者が価値を再定義できるものか!!」
「――できるさ」
俺は炎に包まれるルメルを、渾身の拳でぶん殴った。
ガツン、と。
仮面の残骸が飛び散り、神殿に叫びが響く。
――その一撃に、俺の“価値”が宿った気がした。
ナナが歓声を上げ。
リサは勝利を知らせに駆け出す。
シルクは動けない体で滂沱の涙を流した。
それぞれの“語り”が、確かに此処にあった。




