断価斬の審理官 ~ルメル、焔の老竜を裁く
位相転換の穴から神殿最奥へ!
ルメルの断価斬が老竜ヴェルザンを裂き、
価値核の焔が審理光と激突――。
竜族最奥の祭壇に、ルメルが静かに降り立つ。
白と黒の法衣が、冷たい風にはためいた。
仮面の隙間から、灰色の瞳が光る。
すべてを値踏みするような、冷たい視線。
『焔鱗の老竜ヴェルザン。
お前の語り、価値指数は“142”。
だが、この地の基準値は“200”。
よって――削除対象』
「戯れ言を……! お前が価値を貶めたのだろう!」
老竜が咆哮する。
口から噴き上がるのは、赤金の焔。
「《焔語陣・千年咆唱!》」
空が燃えた。
瓦礫が溶け、審理紋が揺らぎ、ルメルの法衣を焦がす。
だが――。
『《審理盾:価値反射》』
黒白の盾が浮かび、炎を弾き返す。
逆流した焔がヴェルザンの翼を焼いた。
焼け焦げの臭いが、神殿に満ちる。
「えっ……!?」
シルクが息を呑む。
「語りに価値がなければ、力はただの騒音。
感情も記憶も、基準値を満たさぬなら――塵と同じだ」
ルメルが剣を抜く。
審理光でできた刃が、空間そのものを裂いた。
『《断価斬》』
一閃――
神殿の壁が真っ二つに裂け、祈りの碑が崩れ落ちる。
竜たちの“語り”が一つずつ消えていく。
名も記録も存在も、塵のように抜け落ちていく。
ヴェルザンは苦悶の声を上げ、それでも立ち上がった。
「我が語りは灰となろうとも、炎は血脈に刻まれる!
消せるものかッ!」
「《焔環障壁!》」
炎の環が立ち上がり、シルクを包む。
守護の意志が熱波を震わせた。
ルメルの仮面が、わずかに笑う。
「……抗う語り。興味深い。
では試してみよう――《断罪連撃》」
三閃。
光の剣が老竜を裂く。鱗が飛び、炎が散る。
それでもヴェルザンは倒れない。
「ミチルよ……我はお前が来るまで間に合いそうもない。
……“価値の核”を守れ……!」
胸の奥で、“焔の核”が脈打つ。
“涙の核”と対を為す欠片が、ルメルの目を引いた。
「なるほど……里が崩壊しないわけはそこか。
では、裁きを終わらせよう」
剣を構え、断罪の光が収束する。
――その瞬間、結界の裂け目から俺は叫んだ。
「やめろッ! その焔は、“無価値”を超える力だ!」
裂け目から声が届く時
焔と断罪が激しくぶつかり合う。
爆音が神殿を震わせ、炎の欠片が審理光を溶かす。
衝撃波が全身を押し戻し、耳鳴りが止まらない。
――汗が滲み、指先が震える。
「お前が……ルメルか」
リサが剣に手をかけた。
「名を問うか。無価値な語りだ。
……我は価値喰いの審理官、ルメル。
神罰を抜け、秩序の外で裁く者」
仮面の男は手を掲げた。
掌の紋章が、天秤のように揺れる。
「竜の里に眠る“古代価値核”。
そこに刻まれた語り――感傷、記憶、祈り。
それらすべて、基準値を下回る。
よって――削除する」
光が弾け、竜たちが呻く。
鱗が剥がれ落ち、語りの記録そのものが削ぎ落とされていく。
「やめろッ!」
俺はスマホを構え、転送陣を展開する。
だが、画面には冷たい数値が走った。
《対象:ミチル 語り価値:52/基準値80》
「……52……? 俺の語りって、そんなに……低いのか……」
胸が冷える。存在を否定されたような、そんな感覚。
『無論。語りとは計測可能な価値。
逸脱者め、お前の記録は低すぎる――削除対象だ。』
ルメルが手を振り下ろす。
白と黒の線が奔り、空間が断罪の光に染まった。
「ミチル、伏せろッ!!」
リサの叫びと同時に、残光の刃が唸る。
ルメルの仮面をかすめ、金属音が響いた。
仮面が割れ、灰色の瞳が覗く。
「……計測外の干渉。面白い。
ならば、まずはお前の“語り”から喰らおうか――はぐれ傭兵」
リサは不敵に笑った。
「上等じゃん。あたし、借金残高更新して気分最高潮なんだよ。
――この剣で、お前の価値も値下げしてやる!」
リサの剣が閃き、黒白の光を斬り落とす。
灰色の瞳がわずかに細められた。
「面白い……“借金”に価値があるとのたまうか。」
ヴェルザンの焔咆、ルメルに届かず!
次は価値核争奪の連撃バトル。




