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残価−100,000,000の神様 〜壊れた世界で価値を視る俺〜  作者: ふりっぷ


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涙の核争奪戦・後篇

沈黙領域のピンチから、バルガンとセリカの猛攻!

ガルメスの覚悟が、涙の核を巡る争奪戦を決する――。

「よく10倍の戦力比で私を引っ張り出したよ」

嘲笑とも賞賛ともつかぬ声が、風に乗って響く。


白銀の仮面、緋色の風衣。

――《審理補佐セリカ》。


「これで里の戦力は出し尽くしたのかしら?滑稽ね」

女は一転、氷のように冷たい怒りを滲ませる。


「あなたがこの防衛線の指揮官?」


「――ああ。お前が敵の頭なら話が早いわ」


俺はナナを通して相手の情報を解析する。

《信仰密度:異常上昇。風位相支配型》


「ちょうど私もそう思っていたところよ。

「《価値突光(かちぬきこう)》!」

閃光のような突きが放たれた。


――ズドン!


スマホの画面が一瞬、白く閃き、警告音が耳を劈く。


テラリンク防御陣、崩壊!

《土地回復:進行度42%に低下》

《龍脈損傷:37% 言語領域に干渉確認》


「(やばい、また言葉が)――!」


「ミチル!!」

リサが駆け寄るが、

セリカはもう次の構えを取っていた。


「《残価追尾(ざんかついび)

 ――お前たちの価値は、逃さない。」


背後に光の弾が浮かぶ。

一つ、二つ……十三。


無数の光弾が、空を裂いて降り注ぐ。


ナナが独断でテラリンクへ信仰値を注ぎ込み、再接続。


俺は深呼吸を繰り返す。


――胸がざわつく。

こんなところで仲間を失うわけにはいかない。


「すまん……これが価値審理官の本気か」

拳を握りしめ、静かに告げる。


「全員、手を出すな! ここは俺が食い止める」

だが、その前にガルメスが立ちはだかった。

竜の眼が、静かに閉じる。


「……我らが敗北を重ねてきが、“涙の核”は譲れん。

命に代えても取り戻す!」


背後からリサが現れる。

血に濡れた腕を押さえながらも、表情は崩れない。

「周囲の敵はここに誘導した。これで決着をつける」


バルガンの尾が地面を突き破り、

炎と粉塵が爆ぜる。


リサが滑り込み、双竜と咄嗟の合わせ技を放つ。

「《双風裂牙(そうふうれつが)》ッ!」


しかし、セリカがその暴風の刃を斬り裂いた。

「無駄だ。“風語り”の価値は私が統制している!」


俺はスマホを掲げた。

《龍脈収束モード・解放》


土地から光が溢れ、

霧のような輝きが戦場を覆う。


それは“記録の光”――

語りを守るため染みだした祈りの粒子。


空気が震え、

甘い光の香りが鼻をくすぐった。


「リュナ、リュオ、今だ!」

「《共鳴雷咆(きょうめいらいほう)》――!!!」


咆哮とともに光が弾け、

ミナを執拗に追い回していたバルガンの殻が粉砕される。

悲鳴を上げて墜落する巨体。


周囲の価値狩りが動きを封じられたまま焼き払われる。


セリカの法衣は焼け焦げ、片膝をつきながらも、薄く笑っていた。

「面白い……これが“語りを守る力”か。

だが――逸脱者は殲滅する」


剣が再び光を帯びる。

「《価値突光(かちぬきこう)》!」


今度は俺を狙って。

その瞬間――


「――貫かせはせん!!」

ガルメスの咆哮が戦場を揺らす。


「我が語壁を舐めるなっ!」


竜の鱗が光り、

巨大な半球状の防壁を展開した。


それは“語り”そのものを構築した壁。

風が砕け、霧が弾け飛ぶ。


衝撃の余波が肌を刺す。


光の残滓の中で、セリカが口元を歪めた。

「――なるほど。語りを使って防御とは。

だが、その防壁、いつまで保つ?」


ナナが叫ぶ。


「崩壊率上昇中!

ガルメスの負荷、限界近い!」


「終わりだ、語壁竜!」

セリカの杭が分裂し、槍の形状に変化した。


「俺はここまでだが――

“涙の核”は返してもらうぞ!!」


竜の身体が蒼白い光に包まれ、鱗が砕け散る音が響く

防壁を突破した槍が語壁竜の全身に突き刺さる。


だが、ガルメスは怯むことなく、

セリカに歩み寄っていく。

「効いていないのか?にぶい奴だ!」


セリカは仮面の奥に苛立ちを募らせ、力を注ぐ。

風の振動でガルメスに刺さった

槍が更に深く肉体を抉る。


「があぁあああ!!」

ガルメスは全身から流血しながら、

審理官の胸元にある”涙の核”を握りしめる。

――血の臭いが混じり、熱い息が頰を焼く。


――ガリガリと、

妻の影を追いかけるように、

鱗の欠片が光粒子となって舞い上がる。


「ふざけやがって、死ね、死ねっ!」

セリカがガルメスに掴みかかるが、

岩のように離れない。


「《涙語の結晶(るいごのけっしょう)!》」

それは妻であったミルナの技。

滅びゆく者の語りを受け止め、静かに力へと変える。


「馬鹿な、”涙の核”と融合するなんて!」

セリカの体が溶け始め。ガルメスと共に胸元から光の粒子と

なっていく。


命と価値を核に捧げ、

ガルメスの意志もゆっくり溶けていく。

その瞳に、静かな安堵が浮かぶ。


「涙の核が、ガルメスを受け入れたんだ……」

――俺の胸が、昔を思い出させるように疼く。


リサが息を呑む。

ナナの声が震えていた。

「死は悲しい。死ぬことはなかった……」


核の中で、語壁竜が微笑む。


あの日、涙の核を奪われ守れなかった

ミルナの姿が、鱗の粒子に重なった。


「……ミルナ、お前の語りは守ったよ」

鱗の粒子が、彼女の微笑みを描くように舞い上がる。


『これで妻と一緒になれた。

――”涙の核”はお前が持て、娘と里を頼んだ…』

やがて光は静まり、風の音だけが残った。


《涙の核、覚醒。新規語り発生:〈継承の竜脈〉》


戦いの後、俺は核の前に立つ。

スマホの画面に、淡いメッセージが浮かんでいた。


《涙の核・奪取完了。価値継承率:97%》

《継承の竜脈:活性化中。ルメル本隊、接近中》


「……勝った、のか」

リサが頷く。


ナナは涙を拭いながら笑った。

「語壁竜の名は、これからも語り継がれるよ」


俺は静かに核に手を置いた。

「ありがとう、ガルメス」

光が一度だけ、応えるように瞬いた。


――涙の核争奪戦、終結。

ガルメス捨て身の”意地”と”妻への愛”

ミチルは生死不明の家族を思い出しました。

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