三層防衛線、起爆!
語り鳥の黒い群れが里を襲う中、
ミチルたちの三層防衛線が炸裂。
起爆の閃光が、価値狩りたちを飲み込む――
突風が吹き荒れた。
砂塵が舞い上がり、視界の奥に“黒い群れ”が見え始める。
「来たな……語り鳥ども!」
空の向こうからは、竜を模した影と鳥型の魔物が数十体。
その全てが、泣き声のような音を発していた。
《……語れ、語れ、価値を渡せ……》
風そのものが呻くように響く。
音の衝撃で岩肌が軋み、建物の屋根が吹き飛ぶ。
俺はスマホを掲げた。
「聞いてた話より大分大きいぞ、カナリヤじゃなかったのか?
竜を模した影と鳥型の魔物が、数十体……いや、もっとか。
……こいつら、堰き止めた竜脈から価値を取り込んでるな」
俺は舌打ちしながら、瓦礫で拾った即席の指揮棒を構えた。
赤い布をあしらえて、それなりに見栄えがする。
「ミチル、里に通じる道に起爆剤設置完了したよ!」
リサとミナがスマホをぶんぶん振りながら報告してくる。
「住民は神殿まで避難させた。
移動できそうにない重傷者は地下洞窟に行ってもらった」
双子の風竜が報告してくる。
「とても柵を設置する余裕はないな。
竜が入れるような塹壕が一部でも掘れればよかったが……。」
俺は無言でスマホを掲げ、ナナの分析モードを起動した。
《敵接近反応:北・西・上空。三方向。指揮個体を含む》
「三方向……。地上部隊と連携が可能な北側に防衛線を張る。
戦闘準備だ!」
リサが剣を抜き、ガルメスが本来の姿で身構える。
風語の双竜リュナとリュオは崖の上に陣取った。
「防衛線を三層に分ける。
第一層:街道の罠と防壁。
第二層:中間の緩衝地帯。
第三層:本陣の直前、最終防衛。
ガルメス、お前は第三層の守護を頼む」
「俺が……最終か」
「この地を守るなら、他にいないだろ」
俺の声はつい冷たくなってしまったが、
ガルメスは武者震いをする。
「軽傷の竜達には戦闘に参加してもらうぞ!
第三層で置き砲台としてブレスを吐き続けろ」
「ミナ、隠蔽と投石で敵を攪乱。
リサは正面、ナナは感知維持!」
「了解っ、こっちの壁沿いは任せて!」
ミナが走り去り、すぐに投石音が響く。
鋭い音とともに、一羽が地に落ちた。
「やるじゃん……!」
「へへ、斥候の仕事は速さ勝負よ!」
地鳴りが谷を満たす。瘴気を纏った影
――地上にも価値狩りの群れが、波のように押し寄せてきた。
巨大な狼の骸骨が牙を剥き、
鎧を着たまま腐り落ちた騎士が剣を振り上げ、
名も知らぬ獣の残骸が這いずる……。
無数の“価値の残滓”が、瘴気を纏って波のように牙を剥く。
「価値狩りコルビットが来るまで引き付けるぞ」
「配置完了。ナナ、合図は任せる」
俺は地面に突き立てた札を最後に確認し、にやりと笑った。
「来るよ……一気に!」
ナナの声と同時に、竜たちが咆哮を上げた。
長く弱っていた翼が広がり、
雷鳴のような羽ばたきが瘴気を吹き飛ばす。
「《雷槌》!」
双子竜のブレスが天を裂き、
先陣の価値狩りをまとめて黒焦げにした。
だが倒れても、骨や鎧は形を変え、再び這い寄ってくる。
「第一層突破されてる!やっぱり数が違うよ」
「そのまま第二層まで撤退だ。敵を引き付ける。
ナナ、信仰値の半分をテラリンクに回せ。
ここで崩壊したら意味がない」
「了解」
《土地回復:進行度 58% 》
《竜族 戦闘力:+50%》
よし、地竜の撤退スピードが上がった。
龍脈が光り輝き、価値狩りも怯む。
だがーー
ブレスの弾幕を突破した
《語り鳥ピクル》が再び隊列を組みなおす。
「やっぱりしぶとい……!あっ、価値狩りコルビット出たよ!」
リサが歯を食いしばる。
―よし、そいつは竜のブレスを拡散するらしいから、
最優先撃破対象だ。
俺は地面を踏み鳴らした。
「――起爆!」
谷の斜面に埋めた札が一斉に光り、
数値の鎖が閃光となって走る。
足を踏み入れた価値狩りたちが、
まるで値札を引き裂かれたかのようにバランスを崩し、
爆炎が上がる。
安売り品のように互いを踏み潰し、
悲鳴のような“値下げ音”が谷に響いた。
「ほらほら、格安セールの始まりだ。
バーゲン会場と変わらないでしょ!」
竜だけに警戒しているからこうなる。
ざまぁ!
リサも追加の起爆剤をばら撒きながら高笑いしている。
だいぶ吹っ切れてきているな。
そして、笑いの余韻をかき消すように——空が裂けた。
雷鳴のような声が轟く。
《――ルメル様に逆らう愚か者を――》
起爆シーンの爽快感、どうだった?
次回は指揮官直接の戦闘!




