表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残価−100,000,000の神様 〜壊れた世界で価値を視る俺〜  作者: ふりっぷ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/37

竜の里キヨツ峡谷――滅びの痕跡

次なる目的地は、シルクの故郷《キヨツ峡谷》。

だが、そこに待っていたのは――滅びの谷だった。


神罰機関はまずい。

ほとぼりが冷めるまで街を出る必要がありそうだ。


「ねぇ、ミチル。私の里に来て欲しい」

シルクがいつになく真剣な面持ちで言った。


「どうしても助けられなくて……。

すべての鱗を奪われながら、逃げるしかなかったの。


キヨツ峡谷を救って欲しいの!」


「シルクの故郷か。わかった、案内してくれ」

俺はシルクの頭を撫でる。

「大きくなったんだから、泣くなよ。

いいよな、みんな!」

全員を見渡して確認する。


(まあ、ヤバくなったら逃げるけどな…)

俺の考えはいつも通りだ。平常運転。


それでもシルクは泣き止まず、

瞳を潤ませて続けた。

「ミチル……わたし、決めたの。 

 一生、あなたについていく!」


――沈黙。

リサは食べかけのオレンジを噛み潰し、

ナナはスマホ画面で「ERROR」連打。

《感情処理不能》《危険:依存度100%》

と赤文字が点滅する。


「ちょ、ちょっと待て! 重い! 

 お前の好感度バー振り切れてるから!」

「ミチル……私、重くてもいい」

「俺が良くないよ!?」


そんなドタバタを経て、俺たちはドラゴンの里

――《キヨツ峡谷》へ向かった。


◇ ◇ ◇


だが、目に飛び込んできたのは惨状だった。

燃え落ちた家屋、倒れ伏す巨躯、

血と灰が混じる廃墟。

かつて栄華を誇った竜族の集落は、

息を止めたように静かだった。


「……う、嘘だろ」リサが顔を覆う。

「まさか、ここまでとはな」

 俺は息を呑む。

生き残った竜たちも翼を裂かれ、鱗を砕かれ、

今にも消えそうな姿でうずくまっている。


殆ど焦土と化した渓谷。黒煙の上がる洞穴、

折れた牙のように聳える岩山。

谷間に傷だらけの竜たちが呻く。


「……ひどい」ナナが顔を覆う。

 俺は地面へ視線を落とす。


「ナナ、分析だ。弱点を教えろ」

「土地そのものが弱ってる……ほら、瘴気が脈打ってる」

 ナナの声は震えていた。

「そう。この土地が“弱点”なの。

 価値を支える基盤が崩れてしまった」


「お父さん!」シルクが渓谷に飛び出す。

「馬鹿っ、罠かもしれないだろっ」


「ナナ、原因と対策を出せ。土地が弱点なら、復元の手順を」

「四方から価値狩りが

 ……水脈と竜脈がせき止められている。作為的の痕跡大。

 中央の神殿だけ淀みが少ないけど、時間の問題」


「シルク、瀕死の竜は全部神殿に連れて行け! 

 家族の会話は後だ」

俺は声を張る。背後で、仲間たちの決意が固まる気配がした。


――助ける。ここが始まりだ。


「シルク、助けに行く前にひとつだけ――

俺はここまであえて尋ねなかった。

だが、全員がここまでお前を助けに来た。

もういいだろう。誰が、お前の里をここまで破壊した?」


「ごめんなさい、ごめんなさい。

かつて神罰機関に所属していた“価値審理官”の一人、

価値喰いの審理官ルメルと直属の価値狩りたちが相手なの」


シルクは泣きながら同胞の元へ駆けだして行った。


「ははっ、想像以上の大ババ引いちまったぜ」

神罰機関と元神罰機関。どっちがマシだったのか。


谷の奥では瓦礫から黒い煙が燻っていた――。


すべてを奪った敵の名が明かされる

――元神罰機関 “価値審理官ルメル”

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ