借金スカウト・ミナ参戦!
元勇者パーティー借金まみれの斥候
ミナが、まさかの土下座参戦!?
翌日。
バリューバトル会場へ向かう側道で、
正確無比な投石が俺の頭を直撃した。
影からシルクが弾くより早い。
《当たり判定》
ミチル:ダメージ20。
「ぐはっ」
「ちょっと、こっち来て!」
草影に隠れていたのは
――勇者パーティーにいた斥候、ミナだった。
茶色の外巻きショートボブに赤い帽子。
引き締まった体つきは、しなやかな猫のようだ。
「追放されて、困っていたの。貴方たちのパーティーに入れてよ」
「それより、俺の頭から出てる血を見て何とも思わんのか?」
本当は胸倉を掴んでやりたかったが、女性なので自重した。
「慰謝料払えよ。¥10,000」俺は手を出す。
「ごめんなさいっ!」ミナは素早く土下座した
――帽子がずり落ち、茶髪が地面に触れる。
「バリューバトルで大負けして、借金地獄なの!」
「ちょっと、そういうのやめてよ! 営業妨害よ!」
リサがよくわからないツッコミを入れる。
「いくら負けたんだ?」
「うっ……マイナス¥3,000,000です。
明日までに返さないと怖い人に連れて行かれちゃう」
「自業自得の気もするが…」
「勇者パーティーだって言うと、みんながお金貸してくれて……」
「わかった。追放されて当然の気がする……」
――なんだ?俺の借金が、借金仲間を引き寄せる呪いでもあるのか?
「借金肩代わりしてくれたら何でもするわ!
私のマッピングと必中投石は役に立つよ!」
「価値狩りに石投げんのか?」
「ちょっと馬鹿にしてるでしょ?
実際には火薬を仕込むのよ!」
「おお、それは効きそうだ」
「火薬買うお金はないけど」
「リサ、試しだギルドで買ってきてくれ」
「えーっ、面倒な予感しかしないよ……」
(ナナ、一応ミナの弱点を調べてくれ)
俺は小声で呟く。
「了解」
――分析結果。
ミナ:弱点《笑い上戸》《考えなし》
・相手が真面目になるほど笑いを堪えきれない。
「やばいな、こいつ本当に仲間に入れて大丈夫か?」
「追放されて当然の気がする……」
「ミチルもバリューバトルに行くんでしょ?
仇を取って欲しいの!」
「土下座した直後に呼び捨てかよ。……まあ、気にしないが」
シルクが額の傷をなめると、血が止まった。
「竜族は簡単な治癒も出来るのよ」
「ありがとう」
俺は苦笑しながら立ち上がった。
――こうして、借金まみれの斥候ミナが、
仮で俺たちのチームに付いて来た。
不安しかないが……まあ、今さらだ。
俺たちはいつだって“赤字スタート”だからな。




