魔獣進化とナナの恋心 ~光結晶がつなぐ絆~
癒しの欠片が導いたのは、奇跡の進化。
しゃべり出した魔獣シルク、揺れるナナ――
光結晶が、三人の関係を変えていく。
ナナのスマホに表示される分析は明快だった。
《光結晶欠片:生命力回復・価値同調効果あり》
「つまり、治す力があるってこと?」リサが呟く。
「だな。……試してみるか」
俺が視線を向けたのは、
隅で静かに身を横たえていたシルクだった。
最初は傷つき、動きも鈍く、声も出せなかった魔獣だ。
俺は光を帯びた欠片をシルクの口元へ差し出す。
淡い光が彼女の体に染み込み、体長が2メートルを超えて、
白い肌を白銀鱗が覆い始める
――鱗のきらめきが微かな鈴音のように響き、
体温がじんわり上昇する。
次の瞬間、シルクは震える声で言葉を紡いだ。
「……ありがとう、ミチル」全員が凍りついた。
「しゃ、しゃべった……!?」ナナが目を剥く。
「え、シルク、女の子だったの!?」リサが叫ぶ。
欠片が粒子となって散り、光の粒子がシルクの周りを優しく包む。
シルクはゆっくり体を起こし、首をかしげる。
「えっと……そう、メス……だよ?」
「おおおっ!」俺は歓声を上げる。
「今までこき使って悪かったな!恨みっこ無しだぜ」
リサも呆れ半分で笑いながら、シルクの前足を取った。
「でも……よかった。綺麗な鱗。本当の姿を取り戻せたんだね
」光結晶の欠片はひとつ消えた。
シルクはまだ言いたいことがあるようでもじもじしている。
「もうすぐ、人間に変化出来るようになるから」
「データに……そんな進化記録、存在しないけど!」
ナナの声が震える。
「白龍は特別な力を持ってる――」
シルクはまっすぐミチルを見つめ、決意を固めた。
「私……ほんとに嬉しい。
ずっと、あなたにお礼を伝えたいって思ってた。
私を救ってくれてありがとう。貴方が大好き」
尻尾がぱたぱた揺れ、唐突な好意の告白に、俺は固まった。
「……え? ちょっと待て、人としての大好きか?」
「同期率80%超えはそういうこと」
リサが「調子に乗らないの!」と小突き、
ナナは画面の中でジタバタと震えた。
《エラー:感情の分類不能》の文字がちらつき、
画面が赤く点滅する。
俺はにやにやとスマホを覗き込みながら言った。
「おいおいナナ、嫉妬か?
お前もツンデレ期に入った?」
「誰がっ! 誰がそんな……!」
「そして、もう一つのかけらはリサだ。
ギルドにサンプルを提供して借金完済してこい」
「わっ、さすがミチル。年下もいいかなって思えてきたよ!」
リサが力強く抱きしめ頬にキスをしてくる
――熱い息が頰を掠めた。
「いてぇよ!馬鹿力がっ!!」
その時、スマホから暗い炎のような熱を感じた。
「シルクとリサにかけらを渡して、
一心同体のはずの私はどうなってるのかな?」
「ちゃんと考えているから心配するなって言ったろ」
「光神殿で私の進化は失敗、
かけらは二人に渡した…信じていいのか」
「ああ、俺はナナのことが一番だ」
「ふぅん」疑いのそぶりを見せながら、尻尾がぴくりと揺れる。
疑いのそぶりを見せながら、スマホの熱は収まっていく。
その瞬間から――新しい波乱が、確かに始まっていた。
――光欠片の微かな震えが、
俺たちの語りを、静かに促すように。
ついにシルクがしゃべった回です!
ナナの嫉妬が炸裂。
次回、更に仲間が増えます。




