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残価−100,000,000の神様 〜壊れた世界で価値を視る俺〜  作者: ふりっぷ


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光神殿の衝突

神殿の祭壇で、光結晶を背に衝突。

ナナの進化、勇者の介入、そして信仰の逆解析──


「勇者パーティー……!」

リサが剣の柄に手をかける。


青年の後ろから、白いローブをまとった女性達と、

大剣を担いだ大男も現れる。だがーー

「斥候のミナがいないな、どこに潜んでいるんだ」

俺はわざと大声を出した。


「ミナは追放されたわ、

礼拝堂でジンの偽装を笑ったから」

聖女リオラが沈痛な面持ちで答えた。


「ガチか…」ブラフかも知れないが、

聖女が嘘をつくとも思えん。


ジンの様子を伺うが、

彼らの視線はまっすぐ俺のスマホに向けられていた。

「おい、あの人たち

 ……なんかナナをガン見してるんだけど?」

「……気のせいじゃないよね!?」

ナナはすでに光結晶に接続を開始している。


「光結晶、ただ触るだけじゃ、反応しない

私の信仰値が…」


俺はスマホを掲げた。

「ナナ、足りない信仰値は俺のを使え」

ナナは画面の中でうなづき、

再度、光のコードを伸ばし始める。


俺は迷っていたが、確認する。

「なぁ、お前の言っている秩序の再定義って、

 ひょっとして――」


リサが低く呟く。

「ミチル、よそ見していい相手と違うよ」


ナナも振り返る。

「ミチル……一旦落ち着くまで待とうか?

接続が途中で途切れると光結晶は暴走してしまうの」


俺は笑った。

「ぎりぎりまでやってみろ

 勇者とは俺が話をする」


◇  ◇


ジンは穏やかな笑みを浮かべたまま、

一歩近づいてきた。


「この神殿は危険だ。神格位に近い存在は特に……ね」

「は?」


「だから、

君の魔獣にはこのまま立ち去ってもらえると助かる。

進化が進めば、世界にとって脅威になるから」


言葉は柔らかいのに、目は一切笑っていなかった。


「……悪いな。ナナは俺のパーティーメンバーだ。

 退く気はない」

「そうか。それは困ったな」


空気が一気に張り詰める。

次の瞬間、勇者の背後で風が渦を巻き、

ローブの女性が杖を構えた。

一触即発――そう思った、その時。


「ちょっと待って!」その瞳は怯えているようで、しかしどこか決意を宿していた。

「私、絶対に進化するんだ。あなたのことは許す

……だから、今度は邪魔しないで!」


一方でジンも迷いなく祭壇を見据えていた。

「光結晶さえ手に入れば……俺は次の段階へ進む」


――その声を合図に、剣豪カイルが一歩前へ出る。

「結晶は俺たちのものだ。借金組は下がってろ」


「へっ……言うね」

 俺は口角を上げ、スマホを操作した。


光結晶から漏れる残光が、

ジンのひび割れた銀鎧を鈍く照らした。


「終わりにしよう、ミチル。

 残滓とは言え神獣を取り込む程の器を持った――

 お前をもう侮ったりしない」

勇者の声は、まるで神託のように冷たい。


「出来れば戦闘は避けたかったがな!」

「神獣の口車に乗ればすべてを失うぞ!」


「俺はナナを信じる」

俺はスマホを振り上げ、

画面上のコードを弾くようにタップした。


《照準:信仰回路/モード:逆解析》


白い光線が床を走り、

会話の中で密かに展開されていた

勇者に刻まれた光の魔法陣を逆流させる。


「っ……!? 私の結界が……!」

賢者セラが杖を構えるが、ナナの声がスマホ越しに響く。


「セラの術式、共鳴干渉開始。二秒稼げば止まる!」

リサが駆け出す。


足音が礼拝堂の石床を震わせ、

レイピアが閃光を描いてセラの杖を弾き飛ばした

――熱い火花が散り、杖が床に転がる。


「ミチル、いまだ!」

「任せろ!」

シルクの爪が閃く。


ジンの剣と交差し、火花の熱風が頰を焼く。

続く尻尾の連撃で足元が掬われる。


リオラが叫ぶ。

「ジン様、また前に出過ぎてる!」


だがジンは痛みを堪え首を振る。

「……勇者が二度は負けられない」


――尻尾の連撃余波で火花が祭壇を照らし、

光結晶が微かに震え始める。


ナナの決意とミチルの選択が、

勇者の冷徹な論理を揺らします。


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