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残価−100,000,000の神様 〜壊れた世界で価値を視る俺〜  作者: ふりっぷ


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価値狩りと殉教者の街

勇者を退け、リサの借金はさらに減った。

だが道中に現れた“価値狩り”との戦闘、

そして辿り着いた殉教者の街――。

新たな「価値の審判」が待ち受けていた。

地下闘技場を後にし、バリューバトルでの換金を終えると

――リサの借金はさらに減っていた。

《リサ借金 ¥1,200,000 →¥800,000》


「……あんたと出会ってから運が向いて来たわ。

あの空き家に夜逃げして大正解ってことね」

――リサの声に、借金の重荷が少し軽くなった安堵が混じる。


鼻息荒くスマホをいじっていたリサの指先が、

ぴたりと止まる。「どうした?」


「次のギルド依頼、光神殿だって!」

「断れよ、そんなもん」


「でもほら、神獣絡みの神殿調査依頼だよ。

報酬も高いし、ミチルも借金を減らしたいでしょ?」


「勇者に会わなきゃいいんだ」

「いや、フラグ立てるなってば」


「だったら、麓の殉教者の町まで行こうよ!」

 リサはすっかり乗り気だった。


「ミチル、私も神殿の様子が見たい」

ナナも真剣な声で言う。


「わかったよ。

 ……何かあったら俺は逃げるからな!」


 その瞬間、シルクが俺の腕にがぶり。


「いてぇよ、馬鹿!」


「町の外は“価値狩り”が出るから気をつけていくわよ」

「そういやリサ、お前どれくらい強いんだ?」


リサは振り返って胸を張る。

「勇者パーティに誘われるくらいよ!」

「……騙されてただけだろ?」

「うるさいわねっ、年下のくせに!」


「あ、命の恩人にそういうこと言うんだ?」

 俺はスマホを掲げた。


「おい、ナナ、他に弱点とか──」

「わ、わ~~~っ!言わなくていいからっ!」

リサはスマホを引ったくろうと手を伸ばすが、

シルクが間に挟まり邪魔をする。


「恩人にお礼がまだなんじゃないか?」

「……ミチル様、ありがとうございましたっ!」

 リサはぎりぎりと歯ぎしりしながら頭を下げる。

 聞こえんなぁ!

 と言いたかったが本気で怒りそうなのでやめておく。


神殿へと続く山道。山麓の街道を進む一行の前に、

もやのような影が揺らめいた。

「……出たわね。価値狩り(ヴァリューラット)よ」

リサが低く呟く。


霧の中から現れたのは、

金属片と獣の骨が混ざり合った異形の存在。

その眼孔は、他人の“価値”を測るかのように冷たく光っていた


――ガチャガチャと骨が軋む音が、山風に混じる。


「ちょっと厄介そうね。ミチル、召喚獣で牽制して!」


「了解、こいつは時間稼ぎだ!」


ミチルは即座にシルクへ指示を飛ばす。

ベビードラゴンが空を駆け、異形と衝突――


ガン! と金属が砕ける音が響き、

咆哮一つでシルクが弾き飛ばされる。


体が木々に擦れ、葉が舞い散る

――しかし、それで十分だった。


「――《断価の(だんかのやいば)》!」


リサの剣が鈍い光を帯び、価値狩りの装甲を裂く。

金属がはじける甲高い音――


ジジジッ! と火花が散り、異形の骨が折れる。


勇者パーティに誘われた実力は、伊達ではなかった。

だが、異形は背後に回り込み、牙をリサの肩へ――。


「リサ、今だ!」


俺とシルクが両サイドから回り込み、隙を作る。

振り返りざま、リサが二撃目を叩き込んだ。


価値狩りの身体は霧のように崩れ、

残ったのは「価値の欠片」だった。


「やるじゃない、リサ」ナナが尻尾を振ってはしゃいだ。

「ふふん、見た? これが本気の私よ。

価値の破片はギルドで換金できるから私のもの!」


「……さっきの強がり、伊達じゃなかったな」


「当たり前でしょ!」


「……でも、弱点まだあるのよね」ナナが小さくつぶやく。


「なっ!? 今それ言う!?」リサが顔を赤らめ、

スマホを叩きそうになるが、シルクが尻尾で軽く払う

――まるで「次は俺が守る」みたいに。


二人は短く息を整え、再び歩き出した。

目指すは、神殿に続く街


――信仰の鐘が遠く響き、疑念の影が街路に伸びる、

交錯の場所へ。山風が、かすかな“価値のざわめき”を運んでくる。


借金は減り、リサの強さも証明された。

だが殉教者の街に漂う重苦しい気配は、

次なる試練を予感させる。

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