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“プロローグ“
焼けこげたような戦場の匂い、
ボロボロの隊員達、
今にも吐き気を催す瘴気、
唯一絶対の信頼を得ていた──地にはいつくばっている頼みの綱であるはずの隊長。
目の前に立ちはだかるのは異形の姿をした…悪魔とも呼べるような出で立ちの妖魔。
圧倒的な格の差を前に、全員が悟る──
『今日、俺たち(わたしたち)は死ぬのだ──と』
「クックッ、ナンテモロイ連中ドモダ──」
その妖魔は、近場にいる倒れた隊員の一人に手を差し伸ばす…と──
パキィィィンッ──!!という甲高い音と共に、結界が現れ──霧散した。
「はぁ、はぁ──」
対する術者の少女は反射的に“防御呪文“を唱えた為、魔力の消費による疲労が蓄積される。
もし少女が一時でも油断すれば、今スグにでも“妖魔“は近くに横たわっている隊員の一人を捕食し自らの魔力を回復させるだろう。
息も絶え絶えの中、少女は悪態を吐く。
「はぁ、はぁ──本当に!!…今日の任務は割にあってないっての!もうっ!!!」
杖を握り直し、嫌な顔で妖魔を睨みつける。
本来なら自分はここにはいなかった──と、数時間前の出来事に思いを馳せながら。




