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【24話】魔族に襲われた国

 

 午後三時。

 オフェリア、アディール、ティグスは、メーレム王国の王都へ到着した。


 倒壊している建物。

 あちらこちらから上がっている悲鳴。

 

 王都はひどいありさまとなっていた。

 

「レシリオン王国の方たちですか!」


 騎士服を着た男性が、駆け足でこちらへやってきた。

 

「俺はレシリオン王国の魔術師団の団長のアディールだ。盟約により、メーレム王国の救援にきた」

「ありがとうございます!」


 騎士服を着た男性が頭を下げた。


「申し遅れましたが、私はメーレム王国騎士団の団長です! ご覧の通り、王都は今多くの上級魔族によって襲われています!」


 周囲を見てみれば、ヤギの顔をした魔物が数十体ほどいた。

 

 黒色の体は屈強な体つきをしている。

 先が細く尖っている爪は、鋭利なナイフのよう。

 背中には灰色の大きな翼が生えていた。

 

 これが上級魔族だ。

 とんでもなく邪悪な心を持ち、大きな力を有している。

 

 上級魔族は手当たり次第に力を振るい、街を荒らしていた。

 騎士服を着た人間が必死になって戦っているが、かなり苦戦している。

 

「俺たちもこれから上級魔族の対処に当たる」

「お願いいたします!」


 騎士団長はそう言うと、上級魔族の方へ向かって走っていった。

 

「アディール様。ティグス。ここは別れて、おのおの対処に当たった方がよさそうです」


 上級魔族の数はかなり多い。

 固まっているよりも、それぞれ別個で戦った方が効率的だ。


 アディールもティグスも、強力な力を持っている。

 ひとりになっても、十分戦えるだろう。

 

 そしてオフェリアは言わずもがな。

 浄化の光がある。

 

 これを使えば、邪悪な心を持つ魔物を消滅させることができる。

 その相手が強力な上級魔族であっても、それは変わらない。

 ひとりでも問題なかった。


「確かにその方がよさそうだな」

「承知した」


 アディールとティグスは、正反対の方向へ飛び出していった。

 

 オフェリアもそれらとは別の方向へ向かって走り出す。

 向かう先はもちろん、上級魔族がいるところだ。

 

「くらいなさい!」


 上級魔族の前で足をとめたオフェリア。

 浄化の光を放つ。

 

「オオオオオ!」


 浄化の光に包まれた上級魔族は叫び声を上げる。

 そのまま消滅した。

 

「上級魔族を一撃で葬ったぞ」「なんという力だ!」「複数人でも手こずる相手をたったひとりで……すごい、すごすぎる!」


 今の出来事を近くて見ていたメーレム王国の騎士団員たちから、感嘆の声が上がった。

 

 彼らに小さくお辞儀をしたオフェリアは、次のところへ向かう。

 

 上級魔族はまだたくさんいる。

 これ以上の被害が増える前に、早く倒さないといけない。

 

 

 

 夕方になった頃。

 

「これで最後ね!」

 

 オフェリアたちの活躍もあり、上級魔族の数はあっという間に数は減った。

 残すはあと一体。これで終わりだ。

 

 オフェリアは浄化の光を放つ。

 最後の一体が消滅した。

 

 これで王都は救われた。

 緊張していた体から力が抜けていく。

 

「これで終わった――え!?」

 

 すぐ横から上級魔族が飛び出してきた。

 まだ一体残っていたようだ。

 

「オオオオ!!」

 

 唸り声を上げながら、鋭い爪をオフェリアへ振り下ろしてきた。

 

 突然の動きに、オフェリアは対応できない。

 不意打ちだった。

 

 このままではまともに攻撃を受けてしまう。

 

 そのとき。

 

「させるか!!」

 

 アディールの声とともに、後ろから大きな炎の玉が飛んできた。

 

 それは上級魔族に直撃。

 炎に包まれた上級魔族はパタンと倒れた。

 

 なんとも危ないところだった。

 アディールの攻撃があと少しでも遅れていたら、オフェリアは確実に攻撃を受けていただろう。

 

「間に合ってよかった」


 アディールが後ろからやってきた。

 隣にはティグスがいる。

 

「危ないところをありがとうございました」

「必ず守ると約束したかたらな」


 アディールは優しく笑う。

 でもすぐに、真剣な表情になった。

 

「オフェリア、君に伝えたいことがあるんだ」


 ただならぬ雰囲気だ。

 二人の間に緊張が走る。

 

「俺は――」

「ありがとうございます!!」


 アディールが言いかけたところで、騎士団長がやってきた。

 にんまりと上がった口元には、いっぱいの歓喜が浮かんでいる。

 

「王都を襲っていた上級魔族は、これですべて討伐できました。こうして勝利できたのも、あなた方のお力あってこそです。国王様にこのことを報告したいので、これから私と一緒に王宮へ来てもらえますか?」

「わかった」


 アディールは騎士団長と一緒になって、歩き始めてしまう。


(え、さっきの言葉は?)


「オフェリア殿。我らも行こうぞ」

「……そうね」


 しかしながら、今はとてもそれを聞ける雰囲気ではない。

 モヤモヤしながらも、オフェリアはティグスに促されるままに足を動かした。

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