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【14話】もふもふなペット


「我はティグスという。恩人よ、どうかあなたの名を教えてくれないだろうか?」

「私はオフェリアよ」

「オフェリア殿だな……うむ」


 ティグスが頷く。

 やけに重々しい。


「この恩義、一生をもって返したい。どうか我を、オフェリア殿の従僕にしてくれないだろうか」

「私は大したことはしていないわ。そんな大きな恩を感じる必要はないわよ」

「頼む! この通りだ!」


 ティグスが大声を上げた。

 大きな覚悟を感じる。


(うーん……どうしようかしら)


 オフェリアは揺らいでいた。


 ティグスは引き下がってくれる様子はない。

 なにを言ったところで、ダメな気がする。

 

 それに、シルバータイガーの毛並みはとっても柔らかい。

 頭を撫でたときにわかった。

 

 従僕――ペットとして飼えば、好きなときにモフモフできる。

 これは最高の贅沢だ。

 

「聞いてくるわ。ちょっとここで待っててね」


 アディールのところへ戻る。


 ティグスをペットにしたら、王宮で飼うことになる。

 そうなると、とてもオフェリアの一人の意見では決められない。

 

 だからアディールへ、聞いてみることにした。

 

 なにがあったかをすべて話すと、アディールは少し難しい顔をした。

 

「こればかりは、クルーダに聞いてみないとわからないな。でもたぶん、認めてくれると思うぞ」


 アディールの口角が上がる。


「そういうところには寛容なヤツだからな」


(……確かに)


 クルーダが断るというイメージは、まったくといっていいほど湧かない。

 いいよー、と軽く認めてくれそうだ。


「ティグスは王宮へ連れて帰ってみよう」

「ありがとうございます! ティグスに伝えてきますね!」


 ティグスのところへ戻る。

 

 アディールとの会話で決まった内容を伝えるとティグスは、感謝する、と嬉しそうに言った。

 

「では王宮までは、我がオフェリア殿を運ぼう。背中に乗ってくれ」


 ティグスがその場にかがんだ。

 

 オフェリアはその上に乗った。

 

「起き上がるぞ」

 

 ティグスが立ち上がる。

 

 一気に身長が高くなったようだ。

 通り抜ける風が気持ちいい。


(それにこの感触……! 最高だわ!)


 ティグスの毛並みはフワフワで柔らかい。

 ずっと触っていられる。


「アディール様! 私このまま、ティグスに乗って帰りますね!」


 大きな声でそう伝えるとわずかな間を置いて、


「……わかった。落ちないように気を付けるんだぞ」


 という言葉が返ってきた。


 アディールが馬車に戻って少しして、馬車が動き始める。

 ティグスはその横にぴったりとついて、並走していく。

 

 馬車の中に乗っているアディールがチラリと見えたが、少し寂しそうな顔をしているように思えた。


「そういえば、どうしてティグスはあんな大ケガを負っていたの?」

「国の外で上級魔族に襲われてしまってな」


 上級魔族というのは、邪悪な心を持っている魔物の中でも特に強力な力を持っている魔物のことだ。

 ウルムで人々を襲っていたコウモリの顔をしていた魔物とは、比べ物にならないくらいの力を持っている。

 

「一体であれば我の敵ではなかったのだが、ヤツらは複数体いたのだ。それで我は負傷してしまい、この国へ逃げ込んできた。なんとも情けない」

「そうだったのね」

「そういえばわらからないことがあったのだが、我がこの国に入った途端なぜかヤツらは追ってこなくなったのだ。オフェリア殿はなにか知っているか?」

「結界に阻まれたのよ」


 レシリオン王国は、オフェリアの貼った結界によって守られている。

 

 結界が阻むのは邪悪な心を持つ魔物だけだ。

 善良なる心を持つティグスは阻まれず、上級魔族は阻まれた。


「もしかするとその結界とやらは、オフェリア殿が貼ってくれたのか?」

「そうよ」

「なんという……! 我の主君は大いなる力を持っているようだ!」


 ティグスが嬉しそうに声を上げた。

 

(それは言いすぎじゃないかしら……ふふっ)

 

 でも神獣にこうしていっぱい褒められるというのは、ものすごく嬉しかった。

 

******

 

 一行は王宮へ戻ってきた。


 ティグスをペットにする許可をもらうため、オフェリアとアディールはすぐにクルーダのとこへ向かった。

 

「いいよ!」

 

 思った通り。

 クルーダはまったく迷うことなく、許可を出してくれた。

 

「神獣はめったに人に懐かないことで有名なんだ。それをペットにしちゃうなんて、オフェリアはやっぱりすごいね。アディールもそう思うよね?」

「……そうだな」


 アディールは小さく呟く。

 らしくない、ぶっきらぼうな反応だ。

 

 ティグスと出会ってからというもの、アディールはなぜか拗ねている。

 理由を聞いても答えてくれない。

 

 いったいどうしたのだろうか。

 オフェリアには思い当たる節がまったくなかった。

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