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超真面目ホラー

ストーカー

作者: 七宝

 S子はよく「一緒に帰ってほしい」とお願いしてくる。いつも誰かにつけられている気がして、1人だと心細いというのだ。


 大学に通うため田舎から出てきたS子は現在、ひとり暮らしをしている。なので飲み会で遅くなった時なんかはいつも私が付き添いを頼まれるのだ。


 最初の頃は私もあまり深刻に考えず「気のせいじゃないの」なんて言ったこともあったが、1度怪しい男を目撃してからは出来るだけ一緒に帰るようにした。


 警察に相談したり、証拠を集めようとしたりしたが、なかなか捜査も進まず、解決には至らなかった。


 ある日、S子が大学を辞めた。


 あまりに急だったので何事かと思い、電話をかけた。


 S子の声はやつれていた。

 ストーカーに家に入られたのだという。


 授業が終わり、明るいうちに帰宅した彼女は、机の上に「S子さんへ」と書かれた茶封筒が置いてあることに気がついた。


 ストーカーの仕業だと直感したS子は、すぐに家に犯人がいるかもしれない可能性を考えた。


 今警察に通報したら殺されるかもしれない。


 S子は封筒を手にしたまま、動けなくなっていた。


 どうすればいいのか分からない。

 動悸が激しい。

 冷や汗が止まらない。

 怖い。

 恐い。

 こわい。

 こわい。

 こわい。

 こわい。


 と、スマホが鳴った。

 非通知だった。


 1分経っても、2分経っても、呼び出し音は止まなかった。


 勇気をだして出てみると、男の声で「あけてみて」と言われた。


 どこかから見られている。

 そう思ったS子は、男の言う通りにした。


 封筒の中には、2つ折りになった厚めの白い紙が入っていた。


「ひらいて」


 電話の向こうの嬉しそうな声に、S子は従うしかなかった。


 開こうとすると、紙から毛のようなものが2、3本落ちた。

 よく見るとそれは、妙にツヤのある縮れた毛だった。


 紙を開くと、同じものが無数に挟まっていた。


 それを見たS子は固まった。


 S子の顔写真だったのだ。


「えげ、えげげげげ」


 静かな部屋に、男の笑い声だけが響いていた。

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