プロローグ ~とある世界の、とある時代~
――遥か昔。この世界に挑み、世界のすべてを征服しようとした種族がいた。
たった一種の種族のみで、全種族を相手に宣戦布告し、人々を戦火の渦に巻き込んでいった。
その種族は瞬く間に世界全体の3分の1を支配し、なおも勢力を伸ばそうとする。
その悪魔のごとき者達は、頭上に耳を持たず、手に水かきもなく、シッポすら持っていなかった。
神々より何の祝福も受けられなかった、か弱き種族。しかしその者達によって作り出された魔道具は巨大にして異様。その威力は絶大で山をも吹き飛ばすほどであった。
その種族の名は――人族。
人族は赤い目を持ち、背には黒き翼。暗闇に潜み、人々に恐怖と絶望だけを与えていった。
人族の侵攻を食い止めるべく大陸の6種族が力を合わせ同盟を組み、人族を押し返し始めたとき波乱が起きた。ドラゴンである。
ドラゴン族が人族に与したのだ。
戦場の空を駆け回り、炎を吐き、風を操り、雷を落とした。
ドラゴン族の参戦により均衡が崩れ、世界が滅亡に瀕したとき、一人の勇者が立ち上がった。
勇者は5人の仲間と共に、勇敢に人族に戦いを挑んだ。
聖剣と勇者の盾を携え、伝説のグリモワールを得て、ドラゴンを打ち破った。
仲間と共に困難な旅の末、最後には人族を滅ぼしたのである。
助け出された姫と勇者は婚姻を結び、新たな国を興し繁栄の礎を築いた。
- 創成神書録 第14章世界大戦より-