44話 奇襲作戦 零サイド2
俺は二人に指示を出して、リラは右へ、冬華さんは左へ避けて、俺は鵺の突進を紙一重で避けるかのように、身体強化で正面ににダッシュして股を潜り抜けてから攻撃を回避した。
鵺はそのまま地面にぶつかり、ゆっくりと顔を起き上がらせて、ぶつかった地面の所には大きな岩が埋もれていて、それを簡単に口で持ち上げると、その岩を粉々に噛み砕いた。
『フーン…中々イイ動キネ。』
(あれをまともに食らったら、ただじゃすまないだろうな。だけど今の突進は思ってたよりも遅いから、身体強化で何とか避けれる事はできるな。)
俺は鵺がこっちを向く前に攻撃を仕掛けることにした。
「今度はこっちの番だ!『鬼神の剛拳』!」
そう言うと左右の地面から巨人の拳みたいなものが現れて、俺はそれを鵺の胴体に向けて放った。
鵺は避ける素振りもせずに俺の攻撃を受けたけど、まったく効いていないみたいで、笑いながら俺の方向を向いてきた。
『ンンッー、今ノハイイワネ。デモ決定打ニハナラナイネ。』
「ならこれはどうですか!『ウインドブレイク』!」
俺に続くように今度はリラが、風の中級基礎魔法である『ウインドブレイク』で攻撃したけど、リラの攻撃も全く効いていないのか、ピンピンしていた。
『ンフフフッ、ソレダケジャア私を倒セナイワヨ♥』
まるで俺たちの攻撃を楽しんで受けているかのように、俺たちに挑発行為を何度もしてきた。
『ナラ、今度ハ私ノ番ネ。『呪獄爪』!』
鵺は足に妖気を集めて、黒い炎のようなものを前足に纏わせると、冬華さんの方に向かって前足を振りかざした。
「「冬華さん(様))!」」
「大丈夫です!『白吹雪』!」
冬華さんは手に持ってる扇子を強く仰ぐといきなり吹雪が発生して、鵺の攻撃を難なく防ぐ事ができた。
『アラ、簡単ニ止メラレタワネ。』
「桜さんほどではありませんが、あなたのような遅い攻撃くらい簡単に止められます!」
「冬華さん!少しだけそのままで!リラ!」
「はいっ!」
俺は冬華さんに少し受け止めてもらうように頼んで、俺とリラはさっきよりも強力な一撃を鵺に叩き込んだ。
「『雷震撃』!」
「『トルネードランス』!」
俺は両手を地面に付けて、鵺の下の地面に巨大な雷を登らせる攻撃を入れて、リラは複数の槍の形にした竜巻を胴体に向けて放った。
今度は効いたみたいで、俺の雷を受けた胴体は黒く焦げて、リラの攻撃を受けた場所から出血をしていた。
『グフッ…!』
流石に堪えたのか、鵺は少しだけよろめいた。
「よし!今度は手応えがあった!リラ、もう一度やるぞ!」
「はいっ!」
俺がそう言って確信しリラともう一度攻撃をしようとすると、なぜか鵺は笑っていることに気が付いた。
『イイネ…イイネイイネイイネ…!久シ振リニ効イタワ!アナタ達、巫女ノ娘達ト同ジデ中々強イワネ♥』
「悪いけど、このまま一気に畳みかけさせてもらうぜ。」
『ンフフフッ、ナラ私モ少シ本気デ行カセテモラウワネ。『理雨淵』!』
鵺は上を見上げると、口から黒い泥みたいなものを上に向かって放ち、その放った泥が上で突然花火みたいに弾けて、その泥が雨のようになって俺たちを一気に襲い始めた。
俺は上から降ってきた泥を避けると、泥が落ちた部分の地面が黒く何か呪いのような禍々しい何かが発生したのに対し、本能的に危険だと思ってしまい、二人に避けるよう指示を出した。
「二人とも、この泥は嫌な予感がする!何とか躱して!」
「…っ!はいっ!『ウォータードーム』!」
「わかりました!『封魔陣・壁』!」
二人は俺の言葉を聞いて、独自に泥を守るような体制をした。
俺も何とか泥を必死に避けていたけど、そのせいで鵺に距離を一気に詰められてしまった。
『避ケタリ守ッタリシテテイイノカシラ?隙ダラケヨ♥』
「しまっ…グハッ!」
「レイ様!」「白崎様!」
俺が避ける事に集中しすぎていたせいで、鵺の正面からの突進をまともに食らって、そのまま一気に後ろに飛ばされた。
「ゴホッ…くそっ…まともに食らっちまった。『希望の癒し』…!」
俺は痛みに耐えながら、自分に回復魔法をかけて傷を癒した。
『マダマダ行クワヨ♥『蛇散雀刃』!」
鵺は俺が倒れて隙ができた所で、尻尾の蛇が雀の大きさくらいの風の刃を無数に口から出して、俺にめがけてはなってきた。
「マズイ…!『凍える光の世界・一速』!」
この技は、周りの時間をゆっくりにさせる程の強力な氷魔法を周囲に放って、それは第三段階まであって、俺は今は第一段階を使って、周りを1秒だけゆっくりにさせて、身体強化を使って鵺の体の間に隙ができた所へ向けて走って回避して、鵺から距離を置いてリラの近くにまで行った。
「レイ様!大丈夫ですか!?」
「はぁ…はぁ…あぁ、大丈夫だ。…今のは危なかった。」
「レイ様、魔力の回復を!」
「あぁ…頼む。」
「『マナ・サポート』。」
リラは俺に触れると、自分の魔力を俺に少しずつ渡し始めてきた。
俺の魔力もまだ余裕があったが、心配な顔をしていたせいか拒絶はせず回復をさせてあげて、俺は黙って自分の中にある魔力を回復させていった。
『今ノ攻撃ヲ良ク躱セタワネ。デモモウ限界ガ近イネ。サッサトオ終ラセテアゲマショウ♥』
鵺はゆっくりとこっちに近づいてきながら威圧を出して逃がさないようにしてきた。
だけど俺は自身にあるスキル、『精神統一』を使っていたおかげで冷静になっていたからか、威圧を受けても怯む事はなく、むしろ鵺の体を見て何かに気付き、冬華さんが近くに来たところである作戦で行くことを二人に言った。
「二人とも、悪いけど今度は俺のサポートだけに専念してほしい。」
「白崎様、それは一体?」
「レイ様、まさか今度はアレをするんですか?」
俺の作戦にリラはすぐに気付いたみたいで、少し不安な顔になって聞いてきた。
だけど俺の中では確信に至っていないけど、この状況を覆せる事を願いながらも、リラの方を向いて頷いた。
「あぁ、今度は本気でアレを連続でやってみる。もしかしたら行けるかもしれない。二人とも、頼めるね?」
「わかりました。」
「まだどんな作戦なのかは分かりませんけど、できる事なら協力します。」
『作戦会議ハ終ワッタカシラ?ナラトドメネ♥『砕石猿歯』!』
鵺は俺たちにとどめを刺しに来たけど、ちょうど口が開いたタイミングで、俺は右手に氷の爆弾を作って、それを鵺に向けて投げた。
「噛むならこれでも噛んでな!『爆裂する氷石』!」
『ナニッ!?…グワーッ!』
鵺が最初に攻撃してきた技を出してそれが隙だと察した俺は、また同じ攻撃で、今度は口が開いた瞬間を見計らって、爆発する氷の塊を、鵺の口の中に入れる事ができた。
大きな口だったおかげで、俺は簡単に鵺の口の中に投げ入れる事ができて、鵺はその氷の塊を噛み砕くと、口の中で爆発が起きて、そのまま怯んで動かなくなった。
「今だ、スキル『共鳴』発動!」
俺は鵺が怯んだ事を確認して、二人に触れて俺が考えた作戦をそのまま頭の中に入れる事ができるスキル『共鳴』を使って、二人に伝達をした。
「…!なるほど。」
「っ!?…これは、白崎様の声が頭の中に…」
「驚くのは後にしてください!散開っ!」
冬華さんは初めてだったから、いきなり俺の指示が頭の中に入ってきて驚いたけど、何となく理解したのか、俺の合図とともに最初のやり方と同じ二人が左右に行って、鵺を囲むような態勢にした。
「悪いけど、こっからはずっと俺のターンだぜ!」
俺は鵺に言うと、『身体強化』を常時発動にして、聖剣に魔力を一気に注いだ。
そう…今から俺が出すのは、師匠から教わった剣を使った物理魔法で、修行しているうちに俺が師匠の下で編み出した俺の剣技で一気に攻撃を仕掛けることにした。
「いくぜ!『壱の太刀 吹雪狩り』!」
俺は一気に鵺に近づいて、居合のような構えで聖剣を下から上へ勢いよく聖剣を振り上げた。
聖剣には氷の魔法を纏わせていたからか、聖剣で斬られて傷ついた場所から一気に凍り始めていった。
『コ…コレハ!?』
鵺は自分の体の一部が凍った事に驚いていたけど、俺は斬った勢いで鵺の背後に回って、休まずに次の攻撃の構えをした。
「『弐の太刀 飛燕』!」
今度は風の魔法を聖剣に纏わせて、聖剣を横に振って飛ぶ斬撃を繰りだした。
『グハッ…!』
『飛燕』が胴体に当たると、そこから出血をし始めて、鵺も口から血を出して苦しみ始めた。
(やっぱりそうだ。こいつは魔法や妖術にはすごい強いけど、物理攻撃にはめっぽう弱い!)
俺がそう確信に思ったのはリラの『トルネードランス』だった。俺の『雷震撃』の方は、鵺の胴体の毛が少し焦げただけでまったく効いていなかったけど、リラの攻撃は、竜巻を槍にした形だったのも含めて、その攻撃の先に一本一本ナイフを仕込んでいて、攻撃がナイフだけ当たって傷をつけていた事に気が付いて、もしかしたらと思って剣での攻撃に変えてみたら、予想が的中して、一気に形勢逆転にさせる事ができた。
「まだまだ!『参の太刀 紅葉卸し』!」
『イイ加減ニシナサイッ!『呪獄sー
「させません!『フリーズビーム』!」
「止めます!『氷鬼針』!」
鵺が俺に攻撃してこようとしたけど、リラが氷の光線で腕を凍らせて、冬華さんが巨大な氷の針で鵺の体を止めてくれた。
『ナッ!?カ…体ガ…グハッ!』
鵺は二人の攻撃で体が凍らされて動くことができなくなってしまい、そのせいで俺の振り下ろした炎の斬撃をまともにくらってしまい、そのせいで氷が割れてしまったが、今度は炎の斬撃で大きな火傷を受けてしまった。
(スキルは魔力を使わない。だけど代わりに体に負担が掛かるから時間はあまり掛けられない。このまま一気に攻め込もう!)
「『肆の太刀 紫電一閃』!」
俺は西の妖門の時に使った即興技である、『雷速斬り』の本来の形である『紫電一閃』を使って、鵺に連続攻撃を与えた。
『ングァァァ!!』
「冬華さん、今です!」
「任せてください!『氷封房』!」
俺の攻撃を受け、鵺が倒れ込んだタイミングで、俺は冬華さんに鵺を氷漬けにしてもらうよう指示を出した。
俺の指示を聞いた冬華さんは、扇子を使って鵺の周りに吹雪を起こさせると、吹雪が鵺を飲み込み始めて、そのまま鵺は氷の塊になってしまった。
『ナ…ニ…』
鵺は何とか氷を割ろうとしていたが、俺の攻撃で弱っていたせいか、全く氷が割れる気配が見られなかった。
「次で最後だ、これで終わらせる!」
俺は次の攻撃で鵺にトドメを刺すと決め、一旦鵺から距離を置くと、『収納庫』から聖剣の鞘を取り出して、聖剣を鞘に入れて居合の体勢になって構えた。
「トドメだ!『捌の太刀 居合十六蓮華』!!」
俺は一気に突っ込んで凍った鵺の手前に止まって、その止まった反動で一気に聖剣を抜いて、全力の一振を鵺に向けて放つかのように斬った。
俺が斬った時は何も起きなかったけど、聖剣を鞘に収めた瞬間、十六回の斬撃が一気に凍った鵺を襲いかかった。
『グァァァァァァ!!』
鵺は俺の攻撃をまともに十六回すべての斬撃を全部受けてしまい、断末魔の叫びをあげながらその場に倒れてしまった。
長くなってしまいましたが、鵺戦開始です!
言っておきますが、鵺はオネエです(断言)
不満や改善したほうがいいと言いたい方は、感想などで教えてください。
来週は火曜日と金曜日の昼12時に投稿します!
予定変更になったら、SNSなどで連絡をします。




