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14話 報・連・相はちゃんとしっかり

食べ始めてから10分経った。

みんなの腹も大分満たしてきただろうし、そろそろ母さんに話を切り出すか。


「さて母さん。食べてるところ悪いんだけど、そろそろ真莉亜の事を教えてくれる?」


「そうだよお母さん。私とお兄ちゃんは全く知らなかったんだよ。」


俺の同じように知らなかった華怜も、真莉亜の事情が知りたいみたいで、俺と一緒に母さんに声をかけた。


「ほうはね…ほりあえぶ〇&◆@*△#…」


「「とりあえず口の中のを飲み込んでから言って(くれ)。」」


母さんは食べてた手巻き寿司を頬張りながらしゃべろうとしていたけど、何言ってるかわかんないし、リスみてぇに両頬を膨らますほど詰め込んでるから、俺と華怜は同時に母さんにツッコんだ。


つーか母さんも、それって6個目だったはずだよな?

どんだけ腹減ってたんだよ。


「ごっくん……ふぅ~…まず真莉亜ちゃんの事だけど、実は彼女の親戚の人が私の知り合いの人で、その人が彼女を預かってほしいって頼んできたの。」


うん、嘘だな。

今の彼女に親戚もいないのは知ってる。

華怜は知らないからまだしも、俺は知ってるから、話が違うのは一目瞭然だ。

それに親戚っていうのは、たぶんあの女神だな。


「それをお母さんに頼んできたって事は、その親戚の人は大変な状態なの?」


「そうなの。それで他にも当てがあったみたいだけど、どこも受け入れることができなかったみたいで、仕方なしに前から仲が良かった私に頼って来たみたいなの。」


まぁ当てなんて存在しないだろうな。

真莉亜は今日転生を終えたばかり。

身内もいなければ、今の彼女は独り当然だ。


しかし、向こうはどうやって母さんを接触したんだ?

そして母さんも、何で真莉亜を簡単に引き受けたんだ?

普通なら、急に知らない子を引き取るのは躊躇うはずだけど、母さんはそれを全くしてなかった。


それに気になるのは、真莉亜が母さんに渡したあの「手紙」だ。

あれの内容は俺も知らない。

だからどんなのが書かれていたのかも分かんない。

事情は謎だらけだな……別の意味で。


「ねぇお母さん。さっき思ったんだけど、真莉亜さんの両親の方はどうしてるの?」


あっ、それってヤバイ質問だよな。

真莉亜、大丈夫だよな。


俺は真莉亜の方を向いたけど、本人は大丈夫よって感じになってて、別に問題はなさそうだった。

まぁ本人が問題ないなら大丈夫か。


「…それなんだけど、彼女の両親はもう亡くなっているみたいなの…交通事故で。」


あっ…これってヤバイかもな。

俺は知ってるし、これが少し違うのも知ってる。


けど問題は俺や真莉亜じゃなくて――――――華怜だ。


「…えっ? あっ…ご、ごめんなさい! そんなのが気付けなくて!」


「いいのよ華怜ちゃん。もう昔だし、気にしなくていいよ。」


俺の予想通りになってしまい、華怜は必死になって真莉亜に頭を下げながら謝った。

真莉亜は気にしてないけど、この話を華怜にするのはマズいんだ。

母さんも気付いたみたいで、言った後にしまったって顔になってた。


華怜がここまで必死になってるのは、父さんの死が理由だ。


人にとって、「死」は人生の終着点。

そしてそれは、大切な人や家族との永遠の別れにもなる。


華怜は父さんと二度と会えなくなるのが引き金になってしまい、大切な人がいなくなるのが恐怖となって、今でもトラウマとなって悲しませてしまっているのだ。


「母さん……今の言い方はちょっと。」


「ごめんなさい、父さんの事を忘れてしまっていたから気付くのが遅くなってしまったわ。」


母さんも反省しているみたいで、華怜の頭を撫でて宥めようとしていた。

でも華怜は辞めようとはせず、仕舞には泣いてしまった。


「華怜、心配するな。真莉亜も気にしてないみたいだし、お前の事は誰も責めないよ。」


「でもおにいぢゃん……わだじ…じらなぐで…」


「最初から知らなくてもおかしくないんだ。ほら、もう泣くな。」


「うぅ……」


俺は華怜を抱き寄せて頭を撫でて慰めてあげた。


これは…かなり時間が掛かるな。

こうなるとしばらくはこのまんまだし、母さんか真莉亜に任せた方がいいかもな。


「えーっと…その間で自分を責めなくても…」


「ごめん真莉亜。これはトラウマなんだ。理由はさっき言ってた父さんが原因だよ。」


「それって…もしかして家族がいなくなるのがトラウマ?」


「いや、大切な人がいなくなる方だ。こうなったらしばらくは泣き止まないんだ。」


「そ…そうだったんだ。なんかごめんね。」


「別にいいよ。この事は先に言っておくべきだったな。」


なんか悪いことしてしまった感じだな。

華怜はまだ小6だし、父さんが死んだときはまだ1年生だったけど、いなくなったという未知の恐怖をその段階で知ってしまったから、こうなってしまうのは仕方ないよなぁ。


俺も華怜に寂しい思いをさせないように、前にやってた部活をやめて、華怜との時間を長く作ってあげるようにしてあげたし、母さんも母さんで、サイン会や取材で外出が多いから、小説の作成での時間は家にいるようにした。

そのおかげで今は華怜も元気でいる事が多くなって、時々俺か母さんに甘えてくることも増えてきた。


家族である以上、できる事はやってあげたい。

華怜だけじゃない、母さんもそうだ。

少しでも楽にできるようにしたい。

そのためにも、俺が何とかしなくちゃな。


「そういえば母さん、真莉亜はどれくらい家に暮らしそうなんだ?」


「うーん、向こうからの連絡がない限りはずっとだし、いっその事、家にずっとおってもらった方がにぎやかになりそうだし、このままでもいいかなって思ってるわ。」


「そうか。まぁ別に俺も反対はしないし、答えは本人に任せるよ。」


女神が異常事態を出さない限りは、だろうけどな。

まぁ向こうは何かしらの対策はあるだろうし、手助けはしてくれるだろう。

それに今日会えるし、その辺りで話も軽くするか。


「あっ、今日のデートで真莉亜の服しか買ってないけど、下着とかはどうするの?」


「あぁそれなら、今日来た時に目で真莉亜ちゃんのスリーサイズを推測したから、多分合ってると思うよ。」


「いやいや、目で採寸って……合ってなかったらどうすんだよ?」


「大丈夫よ。私の目に狂いは一つも許さないわ。」


「いやもう今の時点で俺との信頼に狂いが出来てるわ。」


その自信はどこからやって来るんだよ。

目で目視しただけで当てるとか………紳士服を売ってる店員でも出来ん事だぞ。

なんか真莉亜が心配になってきたな。


「さて、俺はもう食べないけど、母さんはどうするの?」


「そうねぇ〜……もう少し食べたいから、足りなくなったら何か自分で作るよ。」


「……まだ食べるのかよ。」


どんだけ腹減ってるんだよこの人は……

昼飯とか食べてなかったのか?

食べれないくらい忙しかったのか?

とか言ってる間に7個目作り終えて食べてるし。

もういいや、考えるのはやめよう。


「それじゃあ真莉亜、悪いけど華怜と一緒に風呂入ってやってくれんか?多分一人だと今の状態から悪化するだろうから。」


「分かったわ。ほら華怜ちゃん、一緒に行こう?」


「……はぃ。」


華怜は何とか泣き止んだけど、やはり罪悪感からか、かなりテンションが下がっていた。

風呂場で何も無い事を祈ろう。

華怜にそんな顔は似合わないからな。


「母さん、俺は二階に一度上がるけど、片付けは任せてもいい?」


「いいわよ。母さんもあと少し食べたいからね。」


「りょーかい。」


俺は母さんに片付けを頼んで、自分の部屋でこの後の話しをするための準備をしに行った。


「とりあえず真莉亜には夢の世界(シープ・ワールド)の事は教えとくとして、あの場所の全体でも確認しに行くかな。」


あぁいや、あそこって先が何処なのか分かんないし、無闇に行き過ぎてから戻れなくなったら元も子もないからな。

その辺りは保留でいこう。

となったらあとは……唯一あったアレの確認くらいか。


実はあの世界の中に一つだけ、あの女神さんが家を一軒造っていた。

広さはそこそこあったし、何より災害がないからか、自然と合わせるために木造建築になっていた。


「中身は一緒に見て、その後は……行ってから考えるか。」


ぶつぶつ言いながらも、この後のやる事をスケジュールのようにして考え、二人が風呂からあがってくるまで待ちながら決めていた。


そして一人、リビングで食べていた母親である彩音もまた、零と同じように考えながら食事していた。




「う~ん、零くんもそうだけど真莉亜ちゃんもなんか違う雰囲気なんだよねぇ。もしかしたらあっち(・・・)に関わっているかもしれないし、ちょっとだけ調べてみた方がいいかもね。」

地元が九州にあるんですけど、今年の夏の日差しはかなりやばかった。

職場が冷凍関連の仕事がゆえに、外に出たらひとたまりもないくらい暑かったです。

皆さんも水分補給はこまめにとってから、安全な夏の生活をしてください。

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