序章
これからこの小説を読む皆さんに一つ聞きたい。
あなたは“勇者”と“魔王”をどこまで知っていますか?
この二つの存在は、地球には存在しない者です。
あるとしても、ゲームやアニメといったファンタジーの世界でしか存在しない。
そんな二つの存在について、少しだけ話をしよう。
まずは勇者。
勇者は人々の光の象徴として君臨している者であり、魔王を討ち倒さんとする存在だ。
そして誰もが自分がなりたいって思ってしまう存在。
これは誰でも分かるだろう。
なら勇者は誰が選ばれるかって思った事はあるかい?
今のあなたの考えなら、異世界の魔王使いなどが異世界から召喚をしてから、召喚された人を勇者にさせるのが常識だろ思うだろう。
けど、実際はそれが答えじゃない。
じゃあ本当は何なのか?
誰も知らないだろう、自分も知らないんだから。
だけど答えは単純だ。
それは、神の気まぐれによって選ばれるんだよ。
神は人の気持ちなんて知らない。
その人間の都合なんて考えてもいないんだからな。
でも世界を救うためには、勇者が存在しなくちゃいけないのだ。
何故なら、神は人間界に降りて魔王を倒せないんだから。
次に魔王。
この存在をまとめるなら、こうだろう。
世界の悪の頂点。
悪魔の王様。
人間の害悪。
そう言った風評被害ともいえる程の存在だと思うだろう。
そこで一つ聞きたい。
魔王はどうやって生まれていると思う?
これは人によって考え方が変わるだろう。
悪魔が巨大な力を持って魔王に覚醒した。
悪という概念が具現化して生まれた。
人間が悪にさらされて生まれた。
色んな事が出てくるだろう。
そんな自分も考えて、ある仮説に至った。
それは人の感情が悪を作って存在してしまったという説だ。
みなさんは、大罪の悪魔を知っているだろうか?
「傲慢」「憤怒」「怠惰」「嫉妬」「強欲」「色欲」「暴食」
この七つは、アニメやゲームなどでも存在しているから、知っている人は多いだろう。
でもこの存在についてしているのは果たしてどれくらいだ?
知らない者もいるはずだから簡単に教えよう。
まず傲慢。
これは簡単に言うとプライドだ。
自分が一番、自分が偉い。
傲慢無礼の感情を持った心が傲慢という。
次に憤怒。
憤怒は文字通りの怒り。
他人に傷を付けられたり、侮辱されたりする時に湧き上がってくる怒りを意味するものだ。
言葉で表すなら、罵詈雑言や暴力といったものが分かりやすいだろう。
そう言った心を持つ者を憤怒という。
次に怠惰。
怠惰はいわば怠け者。
すべてにおいて怠けて、だらしない様子を表す。
簡単に言えば、社会に出たがらないニートと言えば簡単だろう。
また、人の三大欲求の一つ、睡眠欲も含まれている。
そんな心を持ったのが、怠惰だ。
次に嫉妬。
嫉妬はあらゆる面において人を妬むのを嫉妬という。
外見、成績、昇格、人望。
他者と比較して、自分よりも優れてしまっている人に対して憎しみを抱いてしまう心を、嫉妬という。
次に強欲。
これは漢字で書かれてある通り『強い欲』を表しており、悪い意味で使われやすい。
そして欲には様々なものがある。
食欲、性欲、睡眠欲、出世欲、愛情欲など、欲には数多く存在している。
その中でも最初に言った三つは、三大欲求ともいわれている。
このような欲だらけの心を持っている者を、強欲と言っている。
次に色欲。
これはさっき言った強欲と同じ、欲の一種として表されているもので、これに至っては性的な欲望を意味している。
また、勝手気ままなで思いやりのない性欲ともいわれたりしている。
こういった卑しい行いを持った心を持った者を、色欲と表している。
最後に暴食。
これは無闇に多く食べる事を表しており、例としてあげるなら「暴飲暴食」と言った言葉が出てくるだろう。
そしてこれも、三大欲求の一つとされている「食欲」が含まれている。
そう言った食に対する欲を多く持ってしまっている者を、暴食という。
以上が七つの大罪についての存在だ。
これを聞いていてふと思うだろうが、これ全部は、人の心が生み出している大罪だ。
人が心に大きく抱いてしまうほど、悪というのは生み出されてしまう。
だったらこれ全部を無くせばいいのではないかと思うだろう。
それはダメだ。
それを失ってしまったら、人という概念が消失されてしまう。
心を持たない。
感情を抱かない。
それは人形と同じものだ。
だとしたらどうすればいいか?
答えは、人一人がそれを自覚しないといけないという事だ。
でもそんなのは不可能だ。
だって無理があるだろう。
人は誰だって自由だ。
誰かによって決められた生き方なんてできない。
人はロボットでもなければ、操り人形でもない。
生き物として、自由の意味を示しているのだ。
だからその答えは間違っている。
だとしたら今できる事は、誰もが自分の行いに気を付けないといけない事だ。
自分の行い一つ一つが、罪になるかもしれないと自覚しないといけない。
それを覚えていた方がいい。
さて、話が長くなってしまったが、この話をまとめるならこうだ。
勇者と魔王というのは、同時に存在しなくてはならない。
正義と悪は、平等に存在する。
悪が存在していたら、正義も同じく存在する。
この二つは水と油という形ではあるが、同時に恋人のように会わなければいけない。
この二つが関わるこの物語を軽く説明するとこうなる。
何もない平和な生き方をしていた一人の勇者と、なりたくもないのになってしまった一人の魔王の物語だ。
そしてこの物語は、今読んでるあなたも考えていかないといけなくなるだろう。
今の日本が、平和である事がどれ程大事になるのかを。
それでは、始めていきましょうか。
「勇者と魔王の平和な日常計画」の始まりです。