前世の終わり
日本有数の規模を誇るヤクザと東郷率いる組が戦争勃発し早数年
最初は勢いもあり東郷の組が優位と思われた。
後々相手の巧みな戦術、組の規模の大きさや組の運営において東郷の組が徐々に押されていきとうとう長きに渡る戦争も東郷率いる組の敗北が見えつつあった。
そして最後の砦、東郷たちの事務所も攻め込まれていた。
「鈴木、お前は親父を裏から逃がすんや」
組に命を張って生き続けた若頭東郷もこの状態での戦争の結果は見えていた。
そして若頭がここに残る意味も組員の鈴木は理解していた。
「カシラ、ここはカシラが親父を連れて逃げて下さい」
組員の鈴木は格上若頭の東郷が残るより下っ端である鈴木がここに残るべきだろうと考えた。
鈴木もこの組にいる以上覚悟は出来ていた。
「へ、バカ野郎」
東郷はタバコの煙を口にたっぷり含んでから苦い笑いで言った。
「事務所全体囲まれてるのにどうやって親父連れて俺が逃げれるんや、ここから親父連れて逃げ出せるのはもうお前らしかいねぇ」
東郷はそう言い指で挟んでいたタバコを灰皿に落とし、事務所を攻め込まれる準備をし始めた
「おいお前ら!!!」
東郷は大きめの事務所全体に響く声で俺に呼び掛けた。
「前まで小さかった組を日本一のヤクザと戦争やりあえるまでに成長させてくれたのは他でもねぇてめぇらのお陰だ」
「達者でな」
そうして若頭、東郷栞太は一人で百人規模の相手と戦いその末死亡した。
しかし東郷一人で素手にも関わらず相手に与えた被害は膨大でありその強さから人知れず
——拳王——と死してなお語り継がれることになった。