Q=haδT
北の秋は、早い。
かなかなかな・・・・と、ひぐらしが高い声で鳴いている。
めぐは、遠い空を見上げて「もう秋ね・・・」と。
Naomiは、青い整備服の袖をまくったまま「夏休みの終わりまでに、出来るだろうか」
リサは、楽観的に「あと、機関車が動けば、試運転して」
れーみぃは「操作系、だいじょーぶ?」と、まだお芋をかじりながら。
Naomi、機関車にひょい、と乗って「大丈夫だよ、軽く動く」
リサも、機関室の横から覗いて「レギュレータ、よし。リバー、よし。ウォーター・コック、よし
・・・・。」指差し確認。
れーみぃは、腰をくねらせて「コックよーし」
Naomiは呆れ顔で「そういうだろうと思ったよ」なんか、投げるもんはないかと
見回す(笑)。
めぐは「コックってなーに?」
リサは機関車から降りて「いいの、こっちの方言」
めぐ「??」
れーみぃ「ははは。正義は勝つ!」
Naomiは機関車から降りて「どーいう正義なんだ」と、笑って。
でも、機関車が動けば・・・と言うのはホントね、と思う。
明日、火を起こしてみよう。
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翌日。すこし早く起きてNaomiはカブに乗って工場に。
ととととと・・・・と、軽快な排気音。
おばあちゃんのカブは、調子がいい。
工場の鉄扉を開けて。
機関車のところへ。
特に、変わった所は無い。
汚れたウェス、新聞紙。
その上に、細かくした薪を乗せて
オイルライターで点火した。
白い煙が出始め、炎が上がる。
薪に燃え移る。
パチパチ・・・と、薪が割れる音がして
オレンジの炎が立つ。
「ああ、点火した」
昨日、エアホースをつないであるので
エアコックを開けば、火格子にエアが吹かれる。
その前に、薪をくべて。火を大きくする。
結構、熱い。8月だけれど、涼しい北の夏。
気温は20℃。
でも、鉄板の向こうで燃えている炎は、熱い。
石炭を幾つか乗せて、燃え移るのを見ている。
すこしづつ、燻りながら・・・・。
工場の前の屋根のついた機関車置き場に、香ばしい匂いが漂う。
おばあちゃんのバンの音がして・・・。
れーみぃがやってきて「あ、火、ついたの?」
めぐ「見たかったな、点けるとこ」
Naomiは「ゴメン、明日ね」
なんとなく、ひとりで来てしまった。待ちきれなかったと言うか・・・何と言うか。
リサは「ああ、点いたんだ、エア大丈夫?」
Naomi、額を拭って「うん、そろそろ・・・」と、様子を見ながら。
エア・コックを少し開く。
火格子の下の方から、風が舞う。
火の粉がぱちぱち。「危ないよ」と、めぐに言うNaomi。
れーみぃは「なんであたしには言わないの」と、笑って。
リサは「あんたはもともと危ない」
Naomiは「わかったような、わからんような・・・」と、笑いながら。
石炭が、オレンジ色からレモン色の炎を上げて行くのを見ていた。
缶水温度が、じわじわと上がる。
まだ、缶圧が上がるほどではないが、国鉄の機関車よりは温度が上がるのが早い。
石炭を、後ろのコールバンカから拾って、ひょいひょい、と投げる。
「ボイラに孔が開くほどの・・・・火力にしないでも大丈夫かな」と。
国鉄の蒸気機関車だと、どちらかと言うとそれを起こさないために
石炭を投入して炎の勢いを抑えるようなところがある。
なので、黒い煙が盛大に出るのだが。
水の循環が良ければ、そんなに・・・火を起こさなくてもいいのだろうと
理系のめぐは、見ていてそう思う。
ガス湯沸かし器くらいの水の量ならば、ガスがあの程度の炎で
十分熱湯になるから。
熱交換面積 a : Q= haδt だから
面積が大きければ効率が高い・・・・などと思う。ふつう h=30くらい。
δt、即ち温度差はそれほど大きくなくてもQ、移動熱量は大きくなる。
なんて考えてる(^^)。




