細い線路
駅の市場まで歩くと、結構遠い。
それと言うのも、線路はまっすぐだけれども
道路は、線路のようにまっすぐではなくて。
川を避けたり、家を避けたり。
畑に沿ってたり。
「畦道歩けば良かったね」と、めぐ。
リサは「うん。そうも考えたけど、行き止まりだったら戻るのが手間」
めぐ「そっか」
昼間の時間とあって、あんまり人はいない。
でも、駅の待合室には、いろいろな物産品を
みんなが持ち寄って、交換したり、売ったり。
「いろいろあるね」と、めぐ。
お野菜や、乾物。
パンと、お米。
果物。
「なんでもあるね」と、れーみぃ。
お菓子まで売っている。
持ち寄っている人は、物々交換とか・・・。
ベンチに座ってた、おばさんが「あーんた方、汽車ぽっぽ直しに来た子でしょ?」
めぐは「はい。よくご存知ですね」
おばさんは「みーんな、知ってます。このあたりの人は。めごい子らだけで
大丈夫かねー、って」
めごい=かわいい。 (^^)。
めぐは「はい。なんとか・・・」
リサは、その駅の事務室に行って・・・・。
「すみませーん、あのー」と。
駅員さんは、眼鏡を掛けたおじいちゃんで。
「なにか?」と、にこにこ。「あー、あんた。きしゃぽっぽの子」
リサは、ちょっと恥ずかしそうに微笑んで「はい。あのー・・・。その汽車ぽっぽは
あの引込み線に、いつも何時頃来てましたか、ご存知ですか?」
駅員さんは「あー、お昼前かな。タンク車を取りに。それ持ってって、
帰りは午後か。3時くらいだね。貨物列車が夜だから、それまでに戻ればいいんだ」
リサは「ありがとうございます。」と、お辞儀。
駅員さんは「あー、あの汽車、走るべさ?」
リサ「はい。さっき、火をくべてみました」
駅員さん「楽しみだ。」と、にこにこ。
Naomiは、駅沿いにある小さな側線と
車庫の方へ。
誰かいないかなー、と思って。
いたけど、みんな保線に出ているのか
人影はなし。
コンクリートに掘られたピット。
油の沁みた床。
壁に、丁寧に磨かれた工具たち。
作業台、万力。天井から下がっているホイスト。
それらがすべて、往年の蒸気機関車の時代を思わせた。
「待っててね。いつか、復活するから」と、ひとりごと。
あの工場の蒸気機関車が復活すれば、廃車されずに残される国鉄の機関車も
増えるのだ。
それらも、全て・・・自分たちの結果しだい。
蒸気機関車、と言うものが
観光資源になるか?
それを、国鉄本社は見るのだ。
上手く行けば、廃線のローカル線を
観光資源に活用する、と言う考え。
「人気が出るといいけど」と、Naomiは思う。
そうこうしていると・・・・
ととととと・・・と、小さなバイクの音。
「あれー?なんで?」と、あの、工務の青年。
丸坊主あたま、日焼けの顔。にこにこ。
Naomiは「うん。ちょっと駅まで来たから。機関車、何かあるかなと思って」
青年は笑顔「昼間は出てるよ。蒸気だったら・・・廃車予定のが
あっちの端っこにある」
指差した方向には・・・・側線のまた端の、待避線。
既に使われていない機関車が、数両。
貨物用とか、旅客用。入れ換え用。
太いボイラーのもの、動輪が大きいもの。
細身で小さい機関車。
「解体待ってんだ」と、青年は俯いて少し、淋しげ。
Naomiは「大丈夫!あたしらが。なんとかする!」と、笑顔で。
青年は笑顔で、顔をあげ「楽しみだ。がんばって!」
Naomiは「それでさ・・・うちの機関車なんだけど。
一晩中火をくべていたと思う?」
青年は「経験ないからわからないけどさ、小さいから
そこまでしなくても大丈夫だと思うよ。朝の列車が11時とかなら。
3時間もあれば十分。」
Naomiは「もし、イベントで旅客乗せるとなったらさ、11時じゃ遅くないかな?」
青年は「うーん。そうなったらなったで、朝早起きするさ。
それに、そんなに運行許可でるかどうか」
Naomi「運行許可?」
青年は頷いて「そう。国鉄の駅に乗り入れるんだったら。」
Naomi「そっか。そんなこと考えてなかった」
青年は「まあ、その前に機関車動かして、道床直して。走らせてから。
それに、イベント列車ならさ、岸壁の線路で走らせてもいいし。
あっちの方が絵になるよ、きっと。
そっちなら許可も要らないし。線路もたぶん、使えると思う」
廃止寸前は、海運が主だったらしい。
Naomiは考える。
・・・そうすると、機関車が動けば。
岸壁側の線路を全部点検して行けば、後は走れるんだ。
明かりが見えてきた。
・・・まあ、機関車がちゃんと動けばの話だし。
運転が出来れば、の、話。
あの機関車を動かした事が、ないのだし。誰も。




