なごみ
おばあちゃんは、きょうは畑かな・・・・。と、めぐは思った。
「じゃあ、機関車に火を入れるのは明日にしてさ、きょうは早く終わりにしようか。」と、リサ。
「そうだね」と、Naomi。「国鉄さんに聞いてみよう」と。
整備掛に電話して聞いてみる事にした。
「えーと、すみません。お忙しいところ。あのー。SLの火の管理を
国鉄ではどんな風にしていたか・・・。はい。今、点火でちょっと、困っていて。」
と・・・・。
Naomiは電話を切り「やっぱり、国鉄はずーっと焚いてるんだって。一晩中。」
「工場もそうだもの」と、リサ。
「この機関車もそうしてたのかな?」と、れーみぃ。
めぐは「誰かついていないとならないもの」
れーみぃは「そうだね・・・それで宿舎がついてるのかな?」
それは、そうかもしれない。
だいぶ、陽射しが傾いて来たようだ。
「じゃ、きょうはこれから、駅の市場へ行ってみようかな」と、リサが言う。
「そうだね」と、Naomi。
「うんうん」と、めぐ。
れーみぃ「どうやって行く?」
リサは「好き好きだけど、引込み線歩いていけばすぐじゃない?
300mくらいしかないし」
れーみぃは「えー、めんど」
めぐ「ふとるよ」
リサ「もう太ってる」
Naomi「確かに」
れーみぃ「えーん、みんながいじめるー。おかーさーん」
リサ「またそれかい」
Naomi「涙が出てないぞ」
めぐ「わはは」
「もっとわたしに汚い言葉を。言って、言って。・・・その方が燃えるの。
ああ、わたしの体に火を点けて・・・と、リサは白い肌を露わにし
尖った桃色の突起を突き出した・・・。」
と、れーみぃ。
「人を勝手にエロ小説に出すな!」と、リサは張り倒した(笑)。
「えーん、おかーさーん」と、泣きまね。
「自業自得」と、めぐも笑う。
「自損事故」と、Naomi。
「鉄道でも自損事故って言うのかな」とめぐ。
「うん、自損って言うか、有責事故ね」と、れーみぃ。
「急にまともになるな」と、リサは笑う。
「いちおー法務担当」と、れーみぃ。
「そっか」と、めぐ。「どういう時?」
れーみぃ「良くあるのは、車掌さんが扉を閉じる時乗客を挟んで
そのまま走って怪我させたとか。」
リサ「機関士は見えないからね。今はモニターとかあるけど」
Naomi「それは聞いた事あるな。国鉄で、キャリア組の人がそれで
出世出来なくなって辞めたとか聞いた。」
「キャリア組って?」と、めぐ。
リサ「大卒で、管理職コース。」
めぐ「なーるほど。学校だと委員長みたいな」
れーみぃ「でも、出世できないからって辞めるのもちょっと」
めぐ「それはあるねー。お父さんの職場でもあるって言ってたな。
同期で大学出て、そのまま研究員になって。助教授になれない人が
辞めて、フリーになったりするんだとか」
「いろいろあるんだね、ほんと」と、リサ。「うちのじいちゃんみたいに
ノンキャリアで機関士やってて。昇進断ってずーっと乗ってる人もいるし」
Naomi「汽車が好きなんだね。」
リサはにっこり。
「松沢さんもそうだったんだろね、きっと。」と、Naomi。
整備をする人同士なら判る、機械への愛情。
ここに残っている機関車を見ると、よく判る。
もう廃止になった鉄道の機関車なのに、錆びないようにと
ロッド類にグリースを塗って、保存。
メタル類にオイルを満たしておいて。
そういう人。
「なんとかしたいね」と、リサ。
「うん」と、めぐ。
「なりそうだね」と、れーみぃ。
どうにか、目処はついてきた。
工場をそのままにして、機関車庫の扉だけ閉じて
4人は、引込み線を歩いて駅に行く事にした。
「風がさわやかだね」と、リサ。
7月にしては、ほんとに・・・秋のようだ。
「ひぐらしが鳴いてるね、高い声、きれい」と、めぐ。
かなかなかな・・・・。と、高原のようだ。
空気が澄んでいるのか、遠くまでよく響く。
遠くから、レールの上に乗った車輪の音。
「列車かな」と、リサ。
金属の、連続音。しゅー、というような。
かたかたん、かたかたん・・・と言う、レールの継ぎ目を越える音。
赤い電気機関車が、客車を4両ほど引いて。
床下にある発電用ディーゼル・エンジンの音が、電化路線では珍しく聞こえる。
「なんだろう、団体列車かな」と、リサ。
ゆったりした速度で、北へ向かっていった。
最後尾は、パノラマ・ウィンドウの車両のようだった。
「どこへ行くのかなー」と、れーみぃ。
海岸沿いのこの本線、結構な数の列車が往来する。




