ディーゼル機関車で
Naomiは、その日工場に行くと
昨日、置いて行った石炭の埋み火を見た。
灰に隠れているが、火は消えていない。
一斗缶を切ったものがあったので、それに入れておいたのだが
結構、缶が熱くなっていて
工場の土間に置いて良かったと、ひとりごと。
「可燃物があったら燃えていたかもしれない」
経験の無い事をする怖さを思い知る。
「火事になったら終わりだ」と。
木造の工場である。
それから、ディーゼル機関車の方へ行った。
工場の奥手。
バッテリーカバーを開き、点検する。
「水はあるね」
端子を外してあったのは、放電防止だろう。
端子をつないでみて、電源を入れた。
問題なくインジケータは作動する。
メータも動く。
「まあ、春まで使っていたなら・・・・。」
エンジン・オイルを見たが
綺麗な状態だ。
「ほとんど使われてないみたいね」と。
松沢さんは、それでもキチンと整備をしていて
優しいお人柄が偲ばれる。
燃料タンクを目視で確認すると
十分に入っている。
冷却水漏れもない。
水は入っている。
変速機オイルもある。
トルク・コンバータにオイル漏れはなさそうだ。
「ブレーキよし」
「スコッチよし」
イグニッションを入れて、燃焼室を予熱した。
機械式だろうから、燃料圧力はまだ低いだろうと
Naomiは思う。
それでも、クランキングすればエンジンは掛かるだろう。
と、思い、空気管圧力を見ると・・・まだ、10kg/m2程残っている。
「なーんだ、エンジン掛けなくてもいい」と、思った。
SLの石炭を燃やすための空気なのだから。
とは思ったが、一応、デコンプを引き、クランキング。
セル・モータが唸る。
オイルが冷えているので、重い。
デコンプを離す。
轟音と共に、エンジンは掛かった。
「なに?今の音」と、めぐが工場に入ってきた。
「あー、機関車!掛かったんだ。」と、れーみぃ。
「ああ、うごいたのね」と、リサ。
機関室に上ってきた。
「空気をさ、使おうと思って」と、Naomi。
「ホース届く?」と、リサ。
「機関車を並べれば出来そうだけど・・」と、Naomi。
「国鉄の機関車なら、燃焼室を空気で吹けると思うけど・・・
強制排気で」と。リサ。
「ああ、シリンダの排気にね。たぶん、ついてるはず」と、Naomi。
「だと、機関車同士を並べて、空気溜めを接続すれば」と、リサ。
「そうね」と、Naomi。
「昨日貰ったホースで間に合うかな?」
と、リサはちゃんと見ている。
「たぶん・・・・。」とNaomi。
「問題は、これが上手く並ぶか、ね」と。リサ。
「まあ、今日はそこまでしなくていいと思ってたんだけど。
火格子全体じゃなくて、火種だけで。でも、空気漏れのチェックにもなるか」
工場の中にレールは来ている。
一旦扉の外へ出して、ポイントを切り替えてから
SLの隣に並べる。
それだけなのだが、なにせ、このDLは運転経験がない。
「暴走したら大変だよ」と、リサ。
「ほんとほんと」と、Naomiが言っている間に
空気管圧力は上がり、ブレーキを開放できそう・・・だが。
「ちょっと待って。あのホースで届かないかな、結構長いよ」と、リサ。
「当ててみるか」と、Naomi。




