炎の導火線
Naomiは、その風貌とは異なり
地味な行動を好む。
普段から目立ってしまうから、自然に
そうなった。
なので、学校でも整備服でいる事が多かったのだが
かえって目立ってしまっている事には
気づかない(笑)。
女の整備士は、鉄道では皆無だった。
物が大きいし、力も体力も必要なのだが
なぜ、そうなったのかは自身にもよく解らない。
なんとなく、である。
「石炭が燃えにくいのはよく解ったけど
やっぱり、灯油で点火するのはちょっと
気が引けるな」と、Naomiが言うと
リサは「うん。実習だもん。ここの工場の
松沢さんは、1時間位で点けてたって聞くけどね。どうやってたのかなぁ」
「さっき、おばあちゃんが言ってたけど
ストーブに種火を残してたみたいね。
ここ、人が住んでたし。ボイラーだって消さないでしょう」
と、Naomiは理論的に。
工場だと、普通は連休でもないと
火は消さない。
それは現在でもそうだ。
温まるまでに時間が掛かるから。
「そうなると、誰か泊まらないと危ないね。」
と、リサは心配する。火事にでもなったら大変だ。
そういっても、ここに泊まると言うのも不安だ。
工場で泊まってた人も、男の人だったろうし。
そこへ、おばあちゃんが。とことこと
にこにこしながらやって来る。
「ぼちぼち帰るべさ」
「うん。だけど、種火をどうしようかって」
と、Naomiが言うと、おばあちゃんは笑顔で
「火、ついてっと?」
リサとNaomiは、かぶりを振る。
おばあちゃんは笑顔で「へば、明日考えへ。」
Naomiも。リサも「そっか。そうだね。」
心配が先に立って、現実を見てなかった。
よくある。鉄道職員はそれで、指差し確認を
するのだった。
現実を見よ。
心配は後でいい。
「じゃ、帰ろうか。」と、リサ。
そろそろ、北の夕日も沈む頃。
おばあちゃんは「炭は消えないから。灰でも被しとけば大丈夫だべさ。どこの家でもそう。」
そういえば、スキーで泊まった山小屋もそうだったっけ、と。リサは思い出す。
じゃ、帰ろうね。
みんな一緒に。




