虫の声
「荷物ね」と、リサは思って事務所の鍵を開けた。
悪い人はいないと、おばあちゃんに言われても
なんとなく心配なのが都会人(笑)。
引き戸を開けると、虫の声。
りーん、りーん♪
ころころ♪
めぐがついてきて
「あ、いい声」
うっとりと、聞いている。
瞳を閉じて、すこし仰ぎ気味に
していると、とても愛らしいとリサも思う。
れーみぃも「なになに?」
気が付いて「しーずかに。」と
ミミを澄ませている。
虫さんたちは、人の気配に気づいて
静かになった。
Naomiは「荷物は?」と。
「何してるの?」
瞳を開いて、はてなポーズ。
髪が長いんだけど後ろでまとめて。
作業着だと凛々しい。
ちょっと、機械系には勿体無いかんじ。
「ああ、虫がね」と、リサ。
「腹の虫かい」と、Naomi。
「そうじゃなくて、秋の虫がね、鳴いてたの」と、めぐ。
「ああ」と、Naomi。
「涼しいんだね、北って」と、リサ。
そういえば、クーラーなんていらない感じだし
日向でも、そんなに死にそうに暑いって事もない。
「そのかわり、冬はさーむいぞー」と、リサ。
鉄道員はどこでも行くから
例えば日本だと、大阪の車掌さんは
北海道から九州まで乗務する。
嫌われる仕事かと思うと、そうでもない。
むしろ好まれたのである。
旅をするのも、その仕事の醍醐味なのだ。
「寒いのニガテだけど」と、めぐ。
「それは誰でもそう」と、リサ。
「リサとめぐってさ、全然違うタイプなのに
お友達なんだよね」とれーみぃ。
「あんたもそうだよ」と、リサ。
「あ、そっか、あはは」と、れーみぃ。
「Naomiもそうだけどさ」と、リサ。
「あ、ああ、そっか。」ははは、とNaomi。
「嫌かいな」と、リサ。
「んなわけないじゃん」と、Naomi。
あはは、と笑ったので
虫さんはますます鳴かない(笑)
「どうしよう、駅行くの」と、リサ。
「荷物持って線路歩けないから、やっぱトロッコかな」と、めぐ。
Naomi「駅への引込み線は、まだ草刈が終わってないかもしれないね。
全部見てないけど。」と、現実的。
「道路歩くか」リサはそういうけど
道路から引っ込んだところにある工場なので
工場---------|道路
こんな感じだから、遠回り。
線路は、その道路と工場の間にある。
「うーん、トロッコで行こうか、途中まででも」と、Naomi。
「草刈鎌持って、開拓しながら行けば?」と、れーみぃ。
「ラッセル車あったね」と、めぐ。
「誰が押すのよ」と、リサ。
そっかー、あはは、とみんな。
ラッセル車が、なぜか車庫にあったけど
そんなに雪が降るのだろうか?
そういえば、機関車のクランクピンが傷んでいたが
雪の時だったのかもしれない、と
めぐは思った。
蒸気機関車だから、車輪が回転する。
ピストンの往復をロッド、と言う棒で伝えるので
車輪の一点に接点があり、そこが力を受けるから
結構痛む。
古い時代の機械なので仕方ない。
飛行機ならはばたき機のようなものである。
今なら蒸気タービンにすれば熱効率は悪くて30%、熱回収をすれば
50%くらいに達するので
(なにせ、火力発電がそれである)。
できない事も無いが、今は時流が電気に向かっている。




