表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/89

淀みなく考え、最も安全と思われる行動を取れ 国鉄車掌心得

「祖父がお世話になりました」と、リサは

挨拶。



「んー、いやいや。それじゃ、あんまり邪魔してもいかんから」と、おじさんは

立ち去ろうとした。


「リサのおじいちゃんと、お友達だったんですか」と、れーみぃ。



管理局長さんは「いやいや。大先輩だしね。

お友達なんて。教わる立場だったよ」と

お話を始めた背後に


「局長、どしたの」なんて

おじいさん風の白髪頭。少し薄いけど

細身で上品な感じ。



局長さんは「いやいや、この子達、鉄道学校の、ほら、SL再生の」と言って




「ああ、この人ね、指令。管理局の」と。



長テーブルの端っこの窓際に座ってた

リサたち。




その、隣のテーブルの椅子に座った

指令さん。



少し、おじいさんなので

立ってるのはきついみたい。




「おお、そかそか。よかこつじゃのぉ」と、ちょっと訛りが、南っぽい。




局長は「ああ、指令ね、転勤で来てたけど

抜けんね、訛り」と



指令は「あんたもな」と、笑いあった。


それで、指令さんはリサのおじいちゃんの想い出話に加わって。



「いろいろじゃった。あれは、台風ん時だったの。昼間の特急だった。遅れが出てて。

海岸の高台にある鉄橋を、通れるかどうかで

困って」と、指令は。



局長は「あん時、わしは駅長だった。

風が止んで来たので走れと、指令が信号を

青にしてな」



指令は「ああ、それはまあ、指令って言っても結局は何人かで決めるから」と。




局長は「その時、君のおじいちゃんはね、いつも走ってたから、雲と風を見て、危ない、と

機関車を止めた。そしてな」



指令は「わしらは、まあ、無線で指示をした。

走らせろと。従ってれば処分にならんが

逆らうとまずい事になるから」と。



リサは「祖父らしい態度ですね」




局長は「うん。それで、あそこは単線だから

対向列車を先に通過させようか、と

指令と電話で話しとった。ところに突風が吹いてな」




指令は「鉄橋は無事だったが、切り通しの

崖が崩れた。列車が通っておったら

脱線転覆、落下だったろう。下は谷合いの村でその数年後、突風で貨物列車が脱線、機関車ごと転落事故が起きた」



局長は「もし、特急列車が落ちていたら大惨事だった。それであの橋は、風避けが付いたし

今、架け替えとる」




Naomiは「人命救助ものですね」



指令は「そうそう。その時もし、指令通りに

走っておったらわしらも処分ものだった。」



めぐは「指示に従ったのに、ですか?」




指令は「組織だから、そういう事もある。まあ処分といっても紙切れ一枚で、出世に響くくらいだが」



れーみぃは「変ですけど、法律ではありますね。」



局長は「うん、まあ、出世って運もあるんだ。あれ、駄洒落かな」と、ニコニコした。


みんなも笑顔になった。



「鉄道の出世って、そういうこともある。

エリートでも、体験乗務で車掌をした時に

ドアに人を挟んで退職した人もいるしな」



と、局長。





指令は「あん人は立派じゃったな。それで、列車を止めた判断が本社で議論になったがな。

結局、心なんだ、と言う事になった。」



どういうことですか、とめぐが尋ねる。



指令は「うん、指令室は現場にいないから

指示は確かにするが、危険な場合は

避難していい。でも、あの時

突風が吹くって予想は誰にもできなかった。

経験と、安全への心なんじゃよ」



局長は「うん。淀みなく考え、最も安全な方法を選択せよ」



リサは「国鉄車掌心得」



指令は「そうそう。良く知っとるな。その通りだ。指令されたから、って言われた通りじゃ

ダメな事もある。人なんだ。列車を動かすのは」



と、別の国であった電車の脱線事故の話をした。


その事故は、列車が遅れると

運転士に草むしりをさせたり、出世を

妨害するような事をしていた。


民間鉄道が、お金の為に安全を忘れて

そんな事をさせていた。


誰かが、例えば局長クラスでも

それを止めようと言えば

大惨事にはならなかった。



通勤電車なんて遅れるもんだ。

客が乗るのが遅ければ。


それを、他の民鉄との経営競争で

遅れを懲罰にした結果。



運転士は、遅れをごまかそうとして

制限75km/hのカーブに


100km/h以上で侵入したんだが。




それも、車掌が指令に上手く嘘を付けるかを

気にしていて、ブレーキが遅れた。



まずい事に、カーブでブレーキを掛けた。



遠心力で転ぶに決まっているのだが。





めぐは「物理が好きな人なら、ないですね」




局長も「うん、そこのカーブを100くらいで

走ろうとすれば走れる。ブレーキを掛けたせいで転んだ」




Naomiは「理科離れかなぁ」



指令は「ん、まあ、鉄道は金儲けで、ああ、なんでもそうだが。金なんて回って来るもんでな。金の為に、とか、自分が出世したいとか

言ってる奴は国鉄では要らん。」と、にこにこ。



「そうですね」と、れーみぃも。



「なんか、元気出てきます!」と、リサ。



あー、んー、頑張って。と


局長と指令。



にこにこして別れる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ