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第26話:7日目② ~加護の外での狩り~

 少し開けた場所を拠点として狩りを始める。

 おっと、始める前にどれくらい召喚コストがかかったか見ておこう。



レイン

Lv.10

HP 86/86

MP 59/129

攻撃力 46

防御力 61

魔法攻撃力 92

魔法防御力 87

所持スキル 召喚魔法<下級>、ステータス閲覧、鑑定

固有スキル アイテムボックス



 MPはちょうど70減っている。あくまでだいたいだが、火のエレメンタルが50で風のエレメンタルが20。その認識でいいだろう。

 70というMPは決して安くはないので、これであまり魔物が見つからなかったらMPの効率が悪いなと思っていたが、結果としては予想以上に魔物は見つかった。

 火のエレメンタル曰く


「きっと主様が加護を展開したことによって、もともとそこを根城にしていた魔物や精霊の水を飲みに行こうとして行けなかった魔物が加護の周辺に集まってるのだと思います! そうやって集まった魔物を捕食目当てで強い魔物がまた集まってと、連鎖が起こってこの辺りはだいぶ魔物が集まりやすい環境になってると思います!」


 とのことだった。

 狩りをしている今の状況だとありがたいことだが、今後人が往来するようになったらかなり面倒なんじゃないかな?

 レベルアップ、食料の確保に続いて安全の確保という目的も加わった。


 見つかる魔物も討伐難易度がDくらいまでで、加護なしの戦闘に不安を抱えてはいたが、いい方向に予想を裏切ってくれて狩りは危なげなく進んだ。


 あっという間に一度戻ると約束した昼になった。

 俺は火のエレメンタルと風のエレメンタルにここで待っててくれ。強い魔物が来たら逃げてくれとお願いして一度拠点に戻ることにした。

 2人は


「主様の居ない間も魔物を狩ってましょうか?」


 と進言してくれたが、聞くと俺が2人の行動範囲内にいないと経験値が入らないとのことだったので


「基本的には倒さないでくれ。倒さないと危険だと判断したら倒してくれ。」


 と指示してその場を離れた。


 狩場からグレイケイブまでは400メートルほど離れている。地味にに遠い距離だ。移動に当然時間もかかる。

 加護内に入り、安全度が増した所でアイテムボックスの中の狩りの成果を確認した。


ホーンラビット×3

ゴブリン×6

ホブゴブリン×2

オーク×2

トレント×1

ポイズンクロウラー×1


 計15匹。約3時間の狩りだったのでかなりのハイペースだった。

 やはりこの前のゴブリンキングの影響か、ゴブリンとホブゴブリンがかなり多かった。残党といったところか。

 ゴブリンは食べられないが、オークが2匹確保できたのは僥倖だ。いい木材となるトレントも嬉しい。

 そして初めて見る魔物が1匹。体長1.5メートルほどの巨大な芋虫の姿をしているポイズンクロウラーだ。体は毒々しい紫色で体面には気持ち悪い斑点が散りばめられている。

 生理的にかなり厳しいこのポイズンクロウラーだが、鑑定してみたところ



ポイズンクロウラー

クロウラー系の中位種。口から吐き出す高速の糸に加えて毒液で獲物を弱らせて少しずつ捕食していく。クロウラーと同様に体内で上質な絹糸を生成している。

討伐難易度D



 とのことだった。説明文は恐い内容だったが、最後の文に目が奪われた。

 おそらく下位種と思われるクロウラーという魔物はまだ見たことがないが、この魔物は体内に上質な絹糸があるらしい。

 ゴワゴワの草糸ではなく上質な絹糸。きっとこれからの村づくりに役立つはずだ。俺の生理的嫌悪をグッと抑えてこのクロウラー系も見かけたら積極的に狩っていこう。


 ついでにステータスも確認しておく。



レイン

Lv.10

HP 86/86

MP 65/129

攻撃力 46

防御力 61

魔法攻撃力 92

魔法防御力 87

所持スキル 召喚魔法<下級>、ステータス閲覧、鑑定

固有スキル アイテムボックス



 レベルも上がってきたせいか、この程度の狩りでは上がらなかった。

 そしてやはり加護なしだとMPの回復が遅い。加護のありがたさを改めて痛感した。


 グレイケイブに近づいていくと、家が増えていることに気付く。

 三軒並んでいた家が五軒になっている。ブリーズとシキナが頑張ってくれたようだ。

 そして俺の家の前から幅3メートルほどの石畳が100メートルくらい完成していた。こっちはファクトの仕事だ。

 家があって道があるだけで少し村っぽく見えるから不思議だ。村づくりが進んでいるという実感が湧いてきて嬉しくなる。


 グレイケイブに入るとすでに全員揃っており、マナトが解体したグリズリーの肉をサフラが自身で作った塩を使って串焼きにしていた。


「ご主人様。ご無事でなによりです。ちょうど肉が焼けたので食事にしましょう。」


 俺がいなくてもしっかり村づくりは進むんだなぁなどと考えながら肉を受け取り、精霊の水で喉を潤してから肉に齧り付く。

 やはりキラーグリズリーと比べるとワンランク落ちる。ほとんど赤身の肉だし少し固い。しかし客をもてなすような肉ではないが自分達で食べるには十分おいしいと思える肉だった。


 食事が終わり、各自の仕事の進行状況を確認した。

 ブリーズとシキナは見た通り家の建設が完了。MPをほぼ使い切ったとのことだったので午後は休むよう指示した。

 ファクトも見た通り、石畳を敷く作業がまだ途中なので引き続き施工してもらう。

 マナトはグリズリーの解体が終了したとのこと。解体後のグリズリーをアイテムボックスにしまって、新たにオーク2匹とポイズンクロウラーの解体を依頼した。

 カイエとサフラはそれぞれ畑仕事と塩作りはとりあえず終了したとのこと。そこで気になっていたことを質問する。


「井戸って作れるか?」


 今は湧き出している精霊の水で事足りているが、人が増えたらそうはいかない。精霊の水以外の水の確保方法が必要になる。

 結果としては、サフラは井戸の知識はある。カイエは知識はないが、作る(能力)はある。とのことだったので、井戸はどうやら作れそうだ。

 井戸を作る場所だが考えた結果、俺の家から100メートルほど進んだ石畳沿いに作ってもらうことにした。これには理由があるのだが後述するとしよう。


 午後の割り振りが決まったことだし、一休みもした。さっそく作業に取り掛かろう。


「では狩りに行ってくる。」


 と声をかけて出発しようとすると


「レインのあんちゃん! オイラ休むだけで暇だから加護の終わりまで送ってくぜー!」


「あ! わ、私も行きます⋯⋯!」


 とブリーズとシキナがついてきた。休んでればいいのにという思いもあったが、それ以上にその気持ちが嬉しかったので送ってもらうことにした。


 グレイケイブを出て歩きながら


「2人とも家を建ててくれてありがとうな。これからも家を建てる機会は増えるだろうからよろしくな。」


 と声をかけた。2人は照れ臭そうにしながら


「任せろぃ!」


「任せてください!」


 と返してくれた。うちの精霊達はみんな素直でいい子だ。


「そうだ。せっかくだから、今日狩りを手伝ってくれている火のエレメンタルと風のエレメンタルを紹介するよ。その子達は帰還してもらう予定だけど、君たちの後輩だ。」


 と会話しながら歩いていると、加護の終わりが見えてきた。

 同時に火のエレメンタルの姿も見えてくるが、なんと火のエレメンタルは加護を背中にし、その周囲180度をグルっと無数の魔物に囲まれていた。

 剣と盾を構えて警戒している。その近くには風のエレメンタルの姿はなかった。


「ブリーズ! シキナ! 急ぐぞ!」


 姿の見えない風のエレメンタルの行方は気になったが、とりあえず俺たちは魔物を蹴散らすべく駆け出した。


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