ニンジンじじいの登場
第八話更新です!
『ところでモリー、僕が主人公の小説は書き上がったのかい?』
ひょろりとした青年トビリアはシングルループをした。
『っるせーな!だいたいなんでてめえを主人公にした小説を俺が書いてることになってんだ?!』
今日も平和なへんてこな国の幕開けである。
へらへらした青年トビリアはモリーに半つきまとい行為を繰り返している。
『お前のそのへらへらした顔と無駄に長い女みたいな黒髪が気に食わねえからどっか行けってんだ』
『相変わらず酷いな〜この髪は僕のチャームポイントなのにな〜分からないかな〜?』
『おや、おや御主はモリーではあるまいか?』
不意にどこからともなく声がした。
『ニンジンじじいに相応しきその声の主は‥‥!!』
勢い良く振り向くとそこには仙人のようなニンジンの色をしたじいさんが宙に浮いていた。
『ほほほほほ、久しいなあ‥‥どうじゃ?ジャガイモババアとは上手くいっとるかね?』
『ニンジンじじい、それはいつのことだ?俺はとっくにあのジャガイモババアから離脱しているぞ』
『こりゃたまげた。もう破局しておるのかね悲しいことじゃのう‥‥』
『おいさっきから気になってたが、俺はジャガイモババアとそういう関係じゃねんだぞ。つーか第一話目以降ババアの出番すら少ないくらいだ。ぶっちゃけ俺はちょっと気の毒に思ってるぞ。』
『はて?そうじゃったかな?』
小指を立てそのまま鼻の穴に突っ込む。
ニンジンじじいはこの国の王様と崇め奉られている偉大な存在である。
『けっ‥‥そんで偉大なニンジンじじいさんが俺になんの用って訳だ?』
『最近のうさぎさんの行動を私がチクってやったのよ』
棒読みこと毒舌地味眼鏡系女子ルミは勝ち誇った顔をしてモリーの前に仁王立ちした。
どうやらじじいの後ろに隠れていたようだ。
余計なことをしてくれる。
『え〜何何?何の話〜?』
トビリアがしきりにルミにウザさMaxで近づく。
『私の半径1m以内に近づいたら遺体になるわよ』
ルミはトビリアのことを相当嫌っているようだ。
『これこれ、そんな物騒なことを言う物ではないぞ、ルミ』
『ははあーーー』
あの毒舌地味眼鏡系女子ルミを膝まづかせる王様は心底怖い存在だとモリーは再認識した。
『それがしは御主にチャンスを与えたいと思っておるのじゃよ』
『それがし』というのは時代劇などでよく自分を指す時に使っている言い方だがなんでそれを王様が使っているのか理解できないでいた。
『チャンスだと‥‥?』
『ああ‥‥人間になれる最初で最後のチャンスじゃよ』
それを聞いた途端モリーの身体に衝撃が走った。
『人間になれるのか‥‥?』
ルミとトビリアと王様とモリーの目がぴたりと合った。
つづく
やっとこのへんてこな国の王様の登場ですw
ジャガイモに対抗してニンジンと名付けてみましたwww
読んで下さった方、ありがとうございます。