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トビリア エンド
『‥‥なーんてねっ!!』
ちゃめっ気のある顔で微青年のトビリアは声高く叫んだ。
今までのどんよりした空気は何億光年も前のことのようにモリーは感じた。
『あははははっ、今のはぜーんぶ作り話だよ♪でも僕この話が好きでよく人に聞かせては、こうやって驚かせるんだ。楽しいよ』
ウキウキ口調のトビリアに対し
『ぶん殴りてえ‥‥』
とモリーは怒りを露にしてトビリアに襲いかかった。
トビリアはそれをスルリとかわし、屋敷の階段の上へと走っていった。
『コラー!待たんかいっ』
モリーは全速力で階段を上り、後を追う。
細い廊下の突き当たりの部屋までたどり着くと
大きな古びたベッドに、窓が全開でビュウビュウと風が吹き込んでいた。
ふと部屋の中央にあるテーブルを見ると、何枚か紙が舞っていてその中に封筒が混じっていた。
モリーは何気なく手に取ってみるとそこには女性の名前が小さく書かれてあり、『私の愛しいトビリアへ』と書かれていた。
それから、屋敷内を歩き回ったがトビリアの姿はどこにも存在しなかった。