最終話
『モリー、ビッグニュース、ビッグニュース』
男にしては高い声でこう叫ぶのはやはりトビリアだった。
白いポロシャツをふわりとさせ、ループする。
すると黒いベタっとした髪がモリーの顔面に直撃した。
『おえええええってめえ何しやがんだ?!さては毎日シャンプーしてねえな脂っぽいぞ』
モリーはキレた。
『シャンプー?僕の髪はそんなもので洗える程レベルの低いものじゃないよ』
『じゃあお前の髪はいつもどうやって綺麗にしてんだ?』
『うふふっひ・み・つ♥』
『んでビッグニュースってのはなんなんだ?』
なんだかんだでモリーは気になったらしい。
『あのねー実は、今回で”うさぎのモリー”終了することになったんだって〜』
トビリアはお得意のへらへらした顔で答えた。
『おいっちょ待てよ。なんだそれ。俺まだ人間になってないんだぞ?』
『う〜ん。まあそれはそれでいいじゃない。ほら命題みたいなもんだよ?うさぎはモリーである。モリーでない人はうさぎではない。みたいな』
『相変わらずなに言ってやがんだかわからねえなお前』
モリーが呆れていると。
『うさぎさん、別にうさぎさんがうさぎのままでも気にしないんだからね』
毒舌地味眼鏡系女子ことルミがツンデレ口調でやってきた。
『全く嬉しくねーな。』
『まあそう言うでないぞ、モリー、最後の宴くらいそれがしがなんとかしてやらぬことでもないわい』
『ニンジンジジイ!!』モリーは驚いた。
『あらアンタまだ生きてたのかい?』次いでジャガイモババアが登場。
『モリーそなたを最後くらい人間にしてやろう』
『なんて意地汚いジジイだ、最後の最後でそれか』
『生まれ変わるのじゃ、モリー‥‥』
ニンジンジジイはモリーに向かってげんこつをした。
すると、モリーの身体は透けて、代わりに背が伸び、毛が短くなっていく。
『うおおおおおおおおおおおっこれが人間っ‥‥?!』
『うさぎさんがっ人間に?!』
光輝いて姿を現わしたのは、全裸の中年肥満男だった。
ルミ・ジャガイモババア『きゃあああああああああああっ変態!!!!』
ルミは顔を両手で覆い走って行ってしまった。ジャガイモババアはニンジンジジイに隠れてチラチラと見てくる。
トビリアは『わお、ユニークだね。これからもよろしくモリー』とニコやかに全裸モリーとハグをした。
モリーは急いでニンジンジジイこと王様に衣類を借りて、川へ向かった。
水面に写る自分は小太りの中年親父。
うさぎの方がまだマシだぜ‥‥。でもやっと人間になれた。
モリーは喜びに満ちていた。
読んで下さった方、ありがとうございました!
”うさぎのモリー”これにて完結です。




