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(くつ)の音が静寂に包まれし城内の廊下に響く。

ひとつの影は明け方になろうとしている空を黙って見上げていた。


『君は必ず来ると思っていたよ。』

優しく微笑む彼。

『この俺の為に来ると理解(わか)っていた。』

絶対的な自信からの言葉。覆る事はないと言うように。


刹那、城内の窓ガラスを豪快に割って侵入する。


『水鵺、判っているよな?この俺に勝てると…?』

『えぇ。無謀ですね。』

『それでもか…。』


答えはせずに水鵺は嵩、目掛けて走り出した。手には白銀色の己の身長よりもある大釜(サイス)を携えて。


『ならば期待に応えねばなぁ。紳士たる者…。』

愉しそうで尚且つ残忍な表情をする。

彼の手にも対になる黒紫色の大釜(サイス)が瞬時に現れた。


大きな金属音が何度もぶつかり合う。互いに譲る事はない。

しかし体力的な面によりじわじわと追い詰められる水鵺。

劣勢に傾き始めた。


『水鵺…?手加減はしてはやれぬぞ?』

愉快な物腰。そして釜による連続攻撃と魔法による属性攻撃に防御のみの水鵺は壁際へと追い詰められた。

『…なっ…!』

水鵺の首元へ刃先を向ける嵩。数ミリでも動けば皮膚は傷付くであろう線密に計算されし距離。

『チェックメイト…?』


赤色の瞳には水鵺が映っていた。片手で顎を持ち上げると冷たく微笑む。

『殺すには惜しい…。美しき神族の純血の君。』

もう一方の片手には大釜。刃先で腰を支えるようにピタリと身体に沿わせている。素人が同じ事をすれば間違いなく身体が裂けるだろう。

水鵺は動けなくなってしまった。


そこへ消滅したはずの仮面の女が現れた。

『嵩様、男を抱いて愉しいのかしら?』

『黙れ。』

『殺すのが目的でしょう?早く息の根を止めて下さいませ。』


仮面の女に向かってギロリと目線を向ける。

『云われずとも判っている。去れ。』

嵩の形相に仮面の女は舌打ちして、その場を足早に去った。

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