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悠久なる魔法ノ旋律  作者: 瑛樹
2章
12/25

決別

『水鵺…‼』

ひとりでふらふらと魔法陣の外へと歩む。壱が叫ぶも声だけが虚しく響いた。

『大丈夫です。壱…。私はこの者に殺されたりは致しません。』

手を空へとかざす。

『我が聖なる化身よ、我等が王とそれに連なる仲間を護りたまえ。』


白銀(しろかね)色へと身体が光り輝く。


『そのように無防備で愚かですわよ!』

高笑いをし、水鵺へと影を使役し攻撃を仕掛ける。


『水鵺‼』

今度は嵩が大声で叫ぶ。

『嵩は私を信用しておりませんね?』

そう云うと仮面の女を聖の力で消し飛ばした。一瞬で。

女は何も云う間も無く、魔法により消滅した。


『消えた?』

海紗が不思議そうに呟く。それは庵も同様。

『仮面の女の気配もないな。』

駿が辺りを見回すが静寂なままである。

『大丈夫か確めますよ。』

嶺も気配を読む。


嵩は魔法陣の外に出て、水鵺の腕を掴む。その様子に慌てる水鵺。嵩は睨み付けるような眼差しを向けた。

『勝手な事をするな。』

『何故、し…か……』

云いかけるも嵩によって遮断された。

『心配するだろう!何故に理解しない!?どれだけ心配をさせれば気が済むのだ。』

そう云われ黙り込む水鵺。下をうつ向く。


ざわざわを木々が突然、揺れだし始める。ピキリと空気が凍ったように冷たくなった。

『危ない。水鵺。』

その瞬間、何故だか嵩は見えた。無数の黒い影が水鵺に向かっている事を。そして嵩は瞬時に水鵺を強く、強く(かいな)(いだ)く。黒い影から護る為に。


ドスン、と響く音と共にふたりは地面へと倒れた。

庵達はその場から動けずにいた。


『嵩…。』

水鵺は起き上がり嵩に声をかける。

『水、…鵺…。』

途切れながらも嵩は返事をする。その様子に安心するのも束の間。水鵺は直ぐに察知してしまった。

『大丈夫か?』

優しく微笑む(たか)。手を伸ばし頬へと触れる指先。

『嵩…。』

珍しくその赤紫色の瞳から流れ落ちるは一筋の涙。

嵩の指先は氷のように冷たい。

『水鵺。判っているんだな。』

『えぇ、貴方(たか)の事ですから。ごめんなさい…。』

『大丈夫だ。だから…』

すると互いに地面を蹴って上空へと舞い上がった。


『判っていますよ。』

水鵺が哀しそうに微笑みながら、地面へと降り立つ。そしてぼそりと呟いた。

『水鵺、君の命を次会った時は容赦なく頂戴する。覚悟をしておくと良い。』

そんな水鵺を冷ややかな眼差しで云うは嵩。

そしてその場から姿を消した。

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