プロローグ 暇だし、ちょっと風呂まで流れてくるわ。
拙い文章ですが、精一杯書かせて貰おうと思っています。
更新は不定期になるのを、ご容赦下さい。
高校入学の二週間前。
普通の学生からは春休みと呼ばれる期間。
その間俺、登坂透は異世界に行っていた。
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今日は中学校卒業式の翌日。実にいい天気だ。
受験もうまく行き、無事に都内の進学校に人生のコマを進めた俺は、今年の春から始まる高校生活に胸を踊らせ町に買い物に出ていた。
嗚呼、ようやく終わったんだ中学生活。
思い返してみれば酷い時間だった。
暴力女に、陰湿な嫌がらせが趣味の悪友。更には怠慢教師。
俺の生活をぶっ壊していったアイツらの顔が目に浮かぶよ。
もうこれからはアイツらに顔を合わせないで済むと思ったらそりゃ頬のひとつやふたつ緩むだろ?
・・・・・早急に鬼にとってもらおう。
特に目的も無く、駅で電車の切符を買う。
行き先は――――秋葉原でいいか。人混みは嫌いじゃないし。
適当な理由をつけ、たった今来た電車に乗り込む。
すぐさま発車し、窓の風景が右から左へと変わっていく。
平和だ。この国は平和だぞ世界よ。
俺みたいな小さな個人がなにもしなくてもこの日常は保たれる。勝手に苦労してるのは無能な政治家たち。
そう考えながら俺の意識は深みに落ちていった。
―――不意に、体に下向きの力が働く感じがした。
目を開ける暇もなく俺の体はどんどん下に向かって引っ張られていく。まるでトイレで流される水のようだった。
なんだこれ!? 俺はいつの間に水に生まれ変わってたんだよ!? 確かに「透明なヤツだ」って先生には言われ続けていたけれども!!
そうこうしていると次に感じたのは猛烈な「熱」。
アッツ!? 足が!! ゆでダコかッての!!! ああ!! 俺の回りにあるのお湯じゃねえか!! 熱の原因ってこれか!?
ザパーーン
さんざん引っ張られたり、茹でられたりした結果、どこかに流されたらしい。
今の、一体何だったんだよ・・・・・。
心の中でぼやき、目を開ける。
・・・・・風呂?
まず、目に入ったのはもわもわと立ち込める湯気。お湯に混ざって流されたのだから湯気があるのは当然か。
俺が座っているのは木製の板張りの床で、腐食しないようになにかツルツルとしたものでコーティングしてある。
視界を右にすると、立派な浴槽があった。
風呂だ。紛れもなく風呂だ。
しかし、なんでいきなり風呂に服着たまま入ってんだ?
そんな俺の纏まらない思考は、今までに聞いたことのないような女子っぽい声に妨害された。
「・・・お、お母さん!! また転送の陣書き間違えてるよ!! 今度は人が流れて来たよっ!?」
その声は、俺の背後から聞こえた。
やっべー、なんか知らないけど、風呂×女子はヤバい。精神的にも、男子的な意味でも。
恐る恐る振り替えると、そこには案の定裸の女の子が――――――――。
一寸前まで茹でられていた俺は、その場で気絶したのだった。湯中りだ。
次は、ヒロインの紹介ですかね。
とりあえず、透くんの回復を祈ります。
次もよろしくお願いします。