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第三章 覚醒 上


1


「ああ……服、びしょ濡れだ……とりあえず、風呂に入ろうか……」


赤く腫れた目をした上条伏嗣は、花奏祈羽と共に何とか家に辿り着いた。しかし、この悪天候の中、二人の衣服は完全に使い物にならなくなっていた。


完全にダメになったわけではない。洗えばまだ着られるだろうが、今すぐに着られる状態ではないのは確かだ。


「君、先に風呂に入ってよ。俺が替えの服を探してくるから」


上条は雨水と汗でぐっしょりの靴と靴下を脱ぎ、嫌そうに脇に置き、スリッパを履いた。右手の親指と人差し指で水滴の垂れる靴下をつまみ上げ、バルコニー横の洗濯機へと素早く歩み、中へ放り込んだ。


祈羽は玄関に立ち尽くし、上条の行動をじっと見つめていた。床に残った水の跡を一瞥すると、上条の真似をして靴を脱ぎ、同じく嫌そうな顔で自分自身のびしょ濡れの白い靴下をつまみ上げ、床の水の跡を辿って上条の元へ行き、洗濯機へ靴下を投げ入れた。


「ん?」


洗濯機に素早く滑り込んできた祈羽を見て、上条は少し戸惑った。彼女が自分の靴下をさっさと上条家の洗濯機に放り込んだこと自体は、むしろ嬉しい気もした。ただ、彼女の動作が……えーと、なんというか……泥棒みたい?


上条は首を振り、自分の奇妙な考えに苦笑いした。祈羽は顔を上げ、上条がうつむいて目を細めているのを見て、とても不思議に思った。彼女は上条の裾をちょんと引っ張った。


「あっ! 君……君は先に風呂に入ってよ! 俺、今すぐ服を探しに行くから!」


上条は目を見開き、祈羽がまっすぐに自分を見つめていることに気づいた。少し気まずくなり、急いで祈羽を促すと同時に、自分はバルコニーへ乾いた服を探しに向かった。


祈羽はその場に立ち、去っていく上条を見つめた。少し疑問はあったが、彼女は上条の提案に従い、くるっと背を向けて、トコトコと浴室へ歩いていった。一見すると、その歩き方はなかなか可愛らしかった。


上条はドアの前に立ち、その向こうはバルコニーだった。彼はさりげなくこっそりと後ろを振り返り、祈羽が大人しく浴室へ向かうのを確認すると、安心したように微笑み、ゆっくりとバルコニーへのドアを開けた。


しかし、彼が知らなかったのは、そこで待ち受けているものが――地獄だということを。


「………………………………???????」


純粋な上条は何が起きたのか理解できず、無防備に一歩を踏み出した。バルコニーのタイルに足を乗せ、外の光景を目にした瞬間、上条はその場で石化した。


「えっ?!」


上条の笑顔は一瞬で凍りつき、残されたのは絶望に打ちひしがれた男と、シリアの戦場に匹敵する惨状だけだった。きちんと干してあった洗濯物の全てが強風に巻き上げられ、床や窓ガラスに散乱し、至る所に衣服の痕跡があり、例外なく雨水の恩恵を受けていた。言うまでもなく、洗礼を受けた衣服たちは徹底的に洗い直さなければならない。


この惨事の原因は、たった一つの小さな窓だった。


完全に思考停止した上条は、開け放たれたその一つの窓を見つめ、頭の中が混乱した。彼はかすかに思い出した。今朝、バルコニーの風通しを良くしようと、この目立たない窓を開けたのだ。まさか午後に突然、強烈な雷雨と季節風がやってきて、バルコニーをめちゃくちゃにしてしまうとは。上条が異変に気づいた時には、すでに手遅れだった。


彼はまた無駄なことをしてしまった(面倒ではなかったが)。


「ううっ……最近、どうしてこんなにツイてないんだ……」


上条は泣き言を零しながら、腰をかがめて散らばった服を拾い、それらを全て抱え込み、雨水でびしょ濡れになった服の束を洗濯機に放り込んだ。


彼は前後に髪をかきむしり、付いた水滴をはじき落とすと、水滴を垂らした服を着たまま小走りで、床に雨粒の軌跡を残しながら自分の部屋へ駆け込んだ。部屋のクローゼットを開け、その中から一着の服を選ぶと、ドアを閉め、部屋の中で素早く着ている服を脱いだ。クローゼットの上のタオルで体を拭き、さっき取り出した清潔な服に着替えた。


彼は片手で脱いだばかりの服をつまみ、ドアを押し開けて洗濯機へ急ぎ、それを放り込んだ。


「あっ、そうだ……」


これらを終えた上条は、洗濯機の前で少し息を整えると、再び足早に浴室の左側にある別の部屋へ向かった。それは彼の母親の部屋だった。今はもう誰も住んでいないが、クローゼットにはまだ幾つかの衣服が残っている。彼がやらなければならないのは、その中から適した一着を選ぶことだ。何しろ浴室にはまだ哀れな奴が待っているのだから。


正直、上条は服選びが得意ではなかった。彼が貫いてきた原則は常に「着られればそれでよし、見た目が良ければ尚良し」だった。突然、少女の服を選べと言われ、彼にとってはまさに過酷な挑戦だった。


しばらく慎重に見比べた後、上条は自分が見て比較的気に入った服一式――ベージュのTシャツとグレーのスカート――を手に取った。この二つの組み合わせは悪くないはずだ。


彼はクローゼットからそれら二点だけを取り出し、クローゼットのドアを閉めると、部屋から飛び出し、服をドアノブの横にあるフックに掛けた。深く息を吸い込み、浴室のドアをノックして中に向かって叫んだ。


「着替え、右側に置いといたよ! 自分でドア開けて取り出してね! 俺は先に部屋に戻るから!」


返事はなかった。しかし、水を踏むような足音が次第に近づいてくるのが聞こえた気がした。彼は急いで自分の部屋に滑り込み、背中でドアを閉めて鍵をかけ、緊張を和らげようと部屋の中を行ったり来たりした。


彼は椅子に座り、机の上から小説を一冊取り出し、ペラペラとページをめくった。しかし、彼の心は全くその内容には向いておらず、形だけの動作だった。彼は足を机の下に入れ、右足を絶えず小刻みに揺らし、手はせわしなく動かしていた。そうすることで初めて「思考を活発に保ちたい」という状態になれた。彼は必死に冷静さを保とうとした。現状をはっきりと認識しなければならなかった。


花奏祈羽は、完全に彼の生活に溶け込んだ。彼がかつて一人暮らしで培ったどんな習慣も、基本的に完全に破綻した。


少女により良い生活環境を整えるために、彼はこれまでの独居生活の現状を変え、自分の習性を改めなければならない。さもなければ、少女に嫌われてしまえば、彼の人生は完全におしまいだ。


祈羽は何も言わないが、心の中で何を考えているかは彼にはわからない。彼に残された選択肢はただ一つ。彼女が心の底から快適だと感じさせ、この家を完璧で非の打ち所のないものにすることだ。


(……そんなこと、本当に可能なんだろうか……)


上条は自分の考えに少し疑念を抱いた。変えようという意思は十二分にある。問題は、完璧というのは単にやる気だけでは達成できるものではなく、何より彼はずっとオタク的な生活様式を維持してきたため、いきなり完璧を目指す極端な考えは、さらに事態を悪化させるだけだった。


仕方ない。彼は全力で最善を尽くすしかない。あとは祈羽に判断を委ねよう。彼はもうこれらの問題を考えたくはなかった。こう決めた以上、それに見合った覚悟を持つべきだ。


---


「カチッ!」


「!」 上条は突然、ドアノブが回る音を聞いた。続いてドアがそっと開く音がした。彼は慌ててドアの方を見た。ドアはほんのわずかに開いた隙間から、花奏祈羽が両手でノブを握り、部屋の中を覗いているのが見えた。上条も自分を見ているのに気づくと、彼女は恥ずかしそうに引っ込み、ドアを少しだけ閉めた。


(?)


上条は手に持っていた本を閉じ、椅子から立ち上がった。ドアの陰に隠れている祈羽を不思議そうに見つめ、何が起きているのかをはっきりさせるため、ドアを開けようと近づいた。


ちょうど彼がドアへ一歩踏み出そうとした時、隠れていた祈羽が再びゆっくりとドアを開けた。しかし今回は頭だけを出すのではなく、ドアを完全に開けて全身を現した。ベージュのTシャツにグレーのプリーツスカート。これらは上条が選んだ服だった。彼女はうつむき、上条を直視できずにいた。恥ずかしそうに手のひらをこすり合わせ、おそらく浴室のお湯が温かすぎて、彼女の頬を赤く染めていたのだろう。


上条は前に踏み出そうとした足を止め、その場に立ち、祈羽の服装をじっくりと眺め、肯定的な評価を下した。


「うん、すごくいいよ。君はどう思う?」


祈羽は指で前髪をいじり続け、伏せた目を時折こっそりと上げ、上条をチラリと見た。そして、おずおずと口を開いた。声はとても小さく、上条が集中しなければかすかな言葉すら聞き取れないほどだった。


「……ふ、伏嗣は……どう思う……? 似合ってる……?」


「ん? もちろん似合ってるよ。君なら何を着ても似合うんじゃない?」


上条は相変わらず祈羽をまっすぐに見つめ、賛辞を隠そうとしなかった。


「/////……それじゃあ……私も……似合ってると思う……/////」


祈羽の視線は常に足元のあたりを彷徨い、上条を見上げることはなかった。ごく小さな声で呟いた。上条は錯覚を覚えた。祈羽の顔がどんどん赤くなっているような気がした。


「う、うん……え?」


上条はその装いを全面的に認めた。彼は誇らしげに顔を上げたが、突然違和感を覚えた。


今、自分は一体何をしていたんだ?


「幼女の身体を興味津々で見つめるなんて、一体何なんだよ!」


**2**


「ううっ……俺の人生、終わった……ついに完全な変態に進化しちまったのか……あああ! 認められない!」


上条はベッドにうつ伏せになり、両手で頭を抱え、「俺は変態だ、俺は変態だ、万死に値する、ううっ……」と何度も繰り返し、自分の行き過ぎた行動への後悔に浸っていた。


そんな様子を見て、祈羽は唾を飲み込み、そっと近づいていった。そして手を上げて上条の頭を撫でた。まるで悲しむ子供を慰める母親のようだった(全然違うけど!)。


「ううっ……えっ?」


上条が振り返ると、自分の横に座っている祈羽の姿が見えた。


「あの……伏嗣……私は……気にしないよ……伏嗣に褒められて……すごく……嬉しかった……」


祈羽は指をもじもじと絡ませながら、おどおどと慰めた。


「………………?」


上条は渋い顔でベッドにうつ伏せになり、生きる望みもないような様子で、しばらく放心状態だった。しかし、彼がひっくり返して広げた掌が、何か奇妙なものに触れていた。つるつるしていて、少し乱れており、細くて、柔らかい感触。上条は注意を全て右手の物体に向け、ようやくその正体を認識した。


「わっ! 髪、濡れてるじゃないか?!」


上条は思わず声を上げた。さっきまでの憂鬱は一瞬で吹き飛び、手元にある祈羽のびしょ濡れの髪と、すっかり濡れてしまったシーツだけが残った。


「うっ……」


祈羽は黙り込み、唇を噛み、目をそらした。しばらくしてようやく口を開いた。


「私……ちゃんと拭いてから出ようと思ってたの……! ただ……ただ……出る時に……タオルを……持ってこなかった……だけ…………」


祈羽は説明しようとしたが、声は次第に小さくなっていった。

「……ごめんなさい……」


最後には申し訳なさそうな謝罪の言葉だけを残し、彼女は深々とうつむいた。


(……やばい、これはやばい。)


祈羽が今にも泣き出しそうだと上条は感じた。青少年であり、また保護者でもある自分が、なんと少女を泣かせそうにしている。上条は深く後悔し、自分の体を百回でも凌遅刑に処したい気持ちだった。


一刻の猶予もならない。上条は瞬時にベッドから飛び起き、クローゼットへ一直線に向かった。上段から真新しい薄黄色のタオルを取り出すと、それを祈羽の頭の上に被せ、言葉を噛みながら言った。


「こ、これは君のせいじゃない! だからそんなに落ち込むことないよ! 俺、俺がタオルを渡すの忘れてたんだ! それに、タオルをわざわざ持ち歩いて外出する奴なんているかよ、な? 今はこれで我慢してくれ、明日新しいの買いに行くからな! これは新品だから、心配ないよ!」


祈羽が顔を上げ、悔しそうに上条を見つめながら言った。

「じゃあ……あんたのベッドはどうするの……私が濡らしたんだろ……やっぱり、私のせいだよね……」


「そ、そんなの大したことないよ! シーツは何枚かあるんだ! 取り替えればいいだけだよ! 心配するなって! たかが何日か干せば、乾くさ! はは、ははっ!」


形勢不利と見るや、上条は急いで何でもないふりをして祈羽に話しかけ、彼女の罪悪感を和らげようとした。


「さあ、さあ! 今すぐちゃんと拭いてよ! じゃないと、そのうち風邪引いちゃうぞ!」


「……うん……」


祈羽の感情は少し落ち着いたようだった。彼女は素直に上条の言葉に従い、両手を上げてタオルを受け取ると、丁寧に髪を拭き始めた。しかししばらくすると、彼女の動作は次第に止まっていった。祈羽の様子を見ていた上条は、キョトンとしながらその場で左右を見回した。祈羽はこっそりと顔を横に向け、上条を盗み見た。上条も自分を見ているのに気づくと、慌てて顔を元に戻し、何事もなかったように装った。ただ、顔はますます赤くなり、耳の付け根までほんのり赤らんでいた。


(わっ! 異性にずっと見られているのは嫌なんだろうな! 逃げなきゃ、さもないと本当に死んでも余罪ある変態になっちまう!)


「俺、先に風呂入ってくる! 体中雨水でぐっしょりで気持ち悪いからな、ははは! 君はそのまま拭いてて、いつまでもいていいからな!」


全てを悟った上条は慌てて祈羽の後ろから立ち上がり、(実際にそうしたい気持ちもあったが)適当に理由を述べると、自分のタオルを持って浴室へ駆け込んだ。


祈羽は振り返り、上条が去っていく後ろ姿を見て、ホッと一息ついたが、同時に少し寂しさも感じた。自分一人なら集中してできるのに、上条が見ていると思うと、どうしても恥ずかしくなってしまう。いずれにせよ、彼女はまず髪を完全に拭き、上条に迷惑をかけないようにしようと決めた。


一方、部屋を出た上条はホッと一息ついた。彼はくるっと向きを変え、ゆっくりと浴室へ向かった。どうあれ、まずは風呂に入って頭を冷やしたかった。


(……雨、いつ止むんだろうな……)


およそ十五分後。


「ふぅ~」


入浴を終えた上条は浴室から出てきた。湯気を立てながら長く息を吐き、真っ直ぐに自分の部屋へ向かった。祈羽はとっくに自分の用事を終えており、ベッドの上で静かに座り、上条の帰りを待っていた。


上条がゆっくりとドアを開けると、正面に座っている祈羽と向き合った。上条を見て、祈羽は何も言わず、うつむいたまま、時折視線を左右に泳がせ、上条の視線を避けているようだった。


「……えーと、君は部屋でゆっくり休んでて。俺はリビングに行くから」


状況を察した上条は、気を利かせてそう言うと、ゆっくりと後退し、ドアを閉めた。何しろ祈羽がここに来てまだ一日しか経っておらず、現状に慣れるためのスペースを残さなければならない。だから上条は祈羽に一人きりの空間を残すことを選び、自分はリビングで時間を潰すことにした。


そう考えながら、上条はのんびりとリビングへ向かって歩いた。突然、足元で何かを蹴った感触があった。思考から我に返り、下を見ると、それは自分のライトノベルだった。


(……)


上条は周囲を見回した。漫画、小説、ゲームのディスク、脱ぎ捨てた服がそこら中に散らばり、彼の普段のオタク生活のおかげで、基本的にめちゃくちゃだった。


(……はあ、片付けよう……)


どうせまだ雨は降ってるし、家の中は比較的涼しい。リビングを片付けることにした。彼の元々の予定は、雨が降っている間に片付けをすることだった。途中で色々あって時間が取れなかったが、今から始めても遅くはない。


急いで行動を起こさねば。上条はすぐに行動を開始した。あちこちに放り出された衣服を全て拾い集め、大きな塊を抱えて洗濯機に近づき、それらを全部放り込んだ。リビングに戻ると、一冊ずつ本を手に取り、漫画と小説を完全に分類して片側に積み上げ、それらを全て本棚の上に置く準備をした。


「そんなに面倒じゃないな」


リビングを片付け終えた上条は思わず感慨を漏らした。見た目はひどく散らかっていたが、三十分もかからずに全て片付いた。きれいになったリビングを見て、上条は突然、満ち溢れる達成感を覚えた。


「よし、次は……」


上条は足元の本を抱え、一歩一歩自分の部屋へと移動した。これらの本を全て本棚にしまいたかった。ちょうど本棚にはまだ空きスペースがたくさんあり、場所は十分にあるはずだ。


「よいしょ」


上条は小指でドアノブを引っ掛け、体を少し下げると同時に膝でそっとドアを押さえ、手のひらを回転させて軽くドアを押し開けた。


「ああ……この本片付けるから、気にしないでね」


ドアを開けた上条は、祈羽がベッドに横たわり、天井を見ているのに気づいた。上条が入ってくるのに気づくと、彼女は慌てて起き上がり、だらしない姿を見られるのを恐れているようだった。上条は急いで説明した。


「……お、お手伝い……する……?」


上条の動作を見て、祈羽は小声で尋ねた。


「! い、いいの! こんなことくらい俺一人でできるから! 心配しないで!」


上条は気軽そうに言い、手に持っていた本を全て机の上に置いた。そして、それらを一冊ずつ本棚に収めていった。


「……」


祈羽は何も言わず、ただ上条を見つめていた。何を考えているのかはわからない。


全てを収め終えると、上条はまたリビングに戻り、このプロセスを数回繰り返して、ようやくリビングの本を全て本棚に移した。


「よし、これで完全に片付いた……」


上条は本棚の前に立ち、額の汗を手で拭いながら、きれいになった本棚を誇らしげに見つめ、満ち溢れる達成感がこみ上げてきた。


祈羽は相変わらず一言も発せず、上条を見つめ、次に本棚を見た。


「ん?」


視線を感じ取った上条は不思議そうに横を振り返った。祈羽は慌てて上条から視線をそらし、うつむいて口を閉ざした。


「ああっ! わ、俺は先に出るから、君は中でゆっくり休んでてね!」


状況がおかしいことに気づくと、上条は急いで部屋を後にし、ドアをそっと閉めた。ドアのロック音を聞くと、祈羽はゆっくりと顔を上げ、ドアのノブを見つめ、その後ろに倒れ込み、白い天井をぼんやりと見つめた。


上条はソファーにだらりと横たわり、壁の時計を一瞥した。針は7時06分を指し、外の雨音も次第に細くなり、しとしとと雨粒が落日を迎えていた。


明日、あのスイーツ屋さんに行ってみようか?


上条はそう考えていた。


**3**


8月2日、13時05分。


(そろそろ開店してるはずだ、行ってみよう。昨日は買う暇がなかったしな)


上条は玄関にしゃがみ込み、丁寧に靴紐を結びながら、家の中に向かって言った。


「ちょっと出かけてくる。君は家で待ってて」


その時、祈羽は部屋のドアのところに立っており、両手でドア枠に掴まり、半分だけ頭を出して上条を見つめていた。


「……うん……」


祈羽はこっそりとうなずいた。


上条はゆっくりと家を出て、ドアを閉めた。


---


(昨日のスイーツ屋……この通りのどこかに見かけたはずだ)


あっという間に、上条は一階に降りたった。昼下がりだったが、街の人の流れはそれほど多くない。普段なら、この時間には上条もすでに大人群に巻き込まれて、どこかへ流されていただろう。


まあいい、彼の今の主な任務は、こうした確かめようのない問題を考えることではない。今の最優先事項は、スイーツ店に寄って、驚きとして家に持って帰るスイーツを買うことだ。


(うん、探してみよう……)


上条は道沿いの店舗に細心の注意を払い、うっかりあのスイーツ店を通り過ぎないように気をつけた。他の店でも構わないが、上条は昨日の店に行きたかった。


(おっ、見つけた)


上条は、前方20メートルほどのところに看板が立っているのに気づいた。これが以前に見かけたスイーツ店のものだ。どうやら営業を開始しているようだ。彼は小走りで店へと駆け寄り、そっとドアを押し開けた。


一瞬、スイーツ店特有の香りが上条に鼻を突いた。甘ったるい動物性クリームの香り、様々な形のケーキが混ざり合った香りが、上条の気分を爽快にさせた。


(あ~、ここ涼しい!)


上条の顔は思わず笑みを浮かべた。彼は店員に挨拶すると、すぐにケーキコーナーへ歩み、じっくりと選び始めた。


(うーん……高すぎず……美味しくて……そんなケーキ、本当にあるのか?)


上条は顔をショーケースに近づけ、一つ一つのケーキをじっくりと観察したが、どれも彼の心に響かないようだった。彼は一つまた一つとショーケースの前を進んだが、スイーツの値段は全体的に高く、彼は比較的受け入れられるものを選ぶしかなかった。


なぜか、店内の内装はとても整っていて洗練されているのに、客はまばらで、このギャップに店長はとても落ち込んでいるかもしれない。


上条は店内の様子をくまなく見渡し、自分の期待に沿うケーキが見つかるかどうか探した。


突然、


「?」 上条は奇妙な匂いを嗅いだ。


店内の甘ったるい匂いと、草や花のような匂いが混ざり合い、上条は言い表せない気分になった。土の匂いも混じっているようだった。


上条は左側を振り返った。その瞬間、灰色と白のストライプの服を着て、黒い革靴を履き、紫に染めた髪の男が、上条の後ろを通り過ぎていた。いかにもサラリーマンといった風貌だった。しかし、玉に瑕だったのは、男の左手に小さなクマのケーキの箱が提げられており、彼のこのフォーマルな雰囲気を少し損ねていたことだ。


「……会社勤めっていいなあ、好きなものが買えて……」上条はそう感慨にふけり、深くは考えなかった。


こんな服を着ているということは、きっと大切な人に会いに行くんだろう。上条はそう思った。


丹念に選んだ末、上条はついに手頃な価格で美味しく、見た目もとても可愛らしいウサギのケーキを見つけた。彼は店員を呼び、このケーキをテイクアウトで包んでもらった。


「はあ……」


上条はすでにかなり倹約して、自分でコスパが最も高いと思えるものを選び、スイーツ店のタイムセールで20%オフにもなった。それでもなお、上条の財布からは1280円が消え、資金のほぼ3分の1を費やした。月初めに半月分の生活費を使ってしまったことに、上条は少し悩ましくなった。


そうは言っても、上条はスイーツ店に戻って返品しようとは全く考えなかった。何しろ家には可愛い奴が待っているのだから。


(さて、早く帰ろう)


しばらくして、上条は無事に家に着いた。祈羽はとっくに部屋で待ちわびており、ドアのロックが開く音を聞くと、すぐにドアを開けて部屋から頭を出し、上条を迎えた。


「ああ、祈羽、ケーキ買ってきたよ。一緒に食べよう」


上条はスリッパに履き替え、ゆっくりと部屋へ向かいながら、右手に買ったばかりのケーキを提げて、祈羽を一緒に味わうよう誘った。


「は、はい……」


祈羽はうなずいた(今回は上条もようやく彼女の返事に気づいた)、ドアの外にあった頭を引っ込めた。


上条は部屋に入ると、ケーキを机の上に置き、丁寧に包装を解いた。パッケージを持ち上げてゴミ箱に捨てると、台所へ走って小さいナイフと磁器の小皿を二枚取り出した。それらを全てきれいに洗い、再び部屋に戻った。


祈羽はベッドに座り、足を前後に揺らしながら、上条が忙しそうにしているのを見て、突然少し申し訳なさを感じた。


「伏嗣……私……何か手伝えること……ある……?」


「ん?」


ケーキを切り分けようとしていた上条は、かすかな力を感じた。横を見ると、祈羽が彼の裾を引っ張っており、少し気まずそうだった。


「うーん……もし手伝いたいなら、」


上条はケーキを一切れ切り取り、一つのお皿に乗せて祈羽の前に差し出し、言った。


「このケーキがどんな味か、感想を聞かせてくれよ」


「/////」


祈羽の顔が少し赤くなった。彼女はうつむきながらお皿を受け取り、その上にのったイチゴの飾られたケーキを見つめた。フォークで小さく切り取ると、口に運んでじっくり味わった。徐々に、祈羽の顔に笑みが浮かび上がった。


「すごく……美味しい……こんなに美味しいもの、食べたことない……」


祈羽はまた一切れを取り、一つまた一つと、全て平らげ、満足そうな笑みを見せた。お皿の上のケーキがすっかりなくなっているのに気づくと、彼女は恥ずかしそうにうつむき、顔をますます赤らめた。


「そんなに美味しいのか? 俺も試してみよう」


祈羽がそんなに嬉しそうに食べているのを見て、上条も一切れ切って味わってみることにした。


「おっ! 確かにすごく美味しいな!」


ほんの一口味わっただけで、上条は自分の選択が正しかったと確信した。


「あの店、本当にすごいな! もう一つ入れてあげるよ、お皿ちょうだい」


上条は祈羽のお皿を受け取り、もう一切れ乗せて彼女に渡した。祈羽はお皿を受け取ると、うつむきながら一切れずつ味わった。


美味しい食べ物の助けもあって、ケーキはあっという間に全て消えた。


「あ~、満足満足。次に機会があったら、またあの店で買おう!」


上条は幸せそうな顔で机に突っ伏し、ケーキの味を名残惜しそうに噛みしめた。


「うん」


祈羽はベッドに横たわり、小さなお腹をさすりながら、口元に残ったクリームを舐めていた。


ケーキって、こんなに美味しいんだ。祈羽は心の中でそう思った。


腹いっぱいになった二人は、午後の束の間の休息を満喫した。


**4**


「……昨日のケーキ、本当に美味しかったなあ。もしこれからお金があったら、また買おう……」


今は8月3日の午後3時。上条はまだ昨日の驚きのケーキを思い返していた。


昨夜、彼は先生から電話を受け、今日の午後に学校へ行くよう指示された。理由は、彼の国語の試験が合格点に達しなかったため、今日は補習を受けなければならないというものだった。


「はあ……こんなに暑いのに、学校なんて行きたくないよ……」


上条はソファーにぐったりと横たわり、補習を受けるのを非常に嫌がっていた。今は夏休みの真っ最中で、新学期まであと一ヶ月もあるのに、彼は学校で補習を受けるよう求められている。こんな突然の事態は、誰だって受け入れたくないだろう。


今日は夕食の準備は絶対に無理だ。補習は少なくとも2時間は続くため、上条は補習が終わってから外で夕食を買って帰るしかなかった。


「待てよ、学校……エアコンあるよな?」


上条は突然思い出した。学校にいる間、学校のエアコンは常に作動しているようだった。ということは、補習の間も学校でエアコンが使えるということか?


「じゃあ、早く学校に行こう!」


上条は突然、学校に行くのもそれほど悪くないことに気づいた。ここで焼け死ぬよりは、学校でエアコンを借りた方がましだ。上条はソファーから立ち上がり、補習(実際にはもうすぐ遅刻しそうだった)へ向けて出発の準備をした。


彼は自分の部屋へ歩み、そっとドアを開け、できるだけ音を立てないようにした。


「学校に行ってくるから、家で待ってて。帰りに夕食買ってくるから」


祈羽はベッドにうつ伏せになり、上条の本棚のライトノベル(昨日のこと)を静かに読んでいた。上条の気配を感じると、彼女は本を閉じ、うなずいた。


「わ、わかった……」


上条がドアを閉めようとした時、何かを思い出し、もう一度ドアを開けて祈羽に言った。


「そうだ、君、携帯電話持ってるよな? じゃあ、連絡先交換しよう。何か問題があったら連絡してくれ、学校でも見られるから」


「は、はい……」


祈羽は起き上がると、服のポケットから自分の携帯電話を取り出し、上条の番号をメモした。そして、上条にも自分の番号をメモさせた。


「よし、じゃあ行くよ!」


上条はドアを閉め、準備を整えると、学校へ向けて出発した。


数分後。


「なっ?! なんで学校でエアコン使わせてくれないんだよ! ブレーカーまで落として……校長、そんなに貧乏なのかよ!」


上条は無力に机に突っ伏し、なぜ学校に来てしまったのか後悔していた。学校にエアコンがあるから来たのに、今になって「全校停電」だと告げられる。学校でエアコンを借りようという上条の計画は完全に水の泡となった。


「ふく―――し―――、真剣に授業聞いて、次こそ合格しようね!」


教師、泉清愛いずみ きよあの声が上条の耳に響いた。彼は急いで机の下に隠れた。


(しまった、声が大きすぎた!)


「在席の皆さんの中で、伏嗣だけが遅刻しましたね。よく反省しましょう」

「は、はい、先生……」


上条は仕方なく机の下から起き上がった。泉清愛は上条の国語教師で、よく青いプリーツスカートに赤いシャツを合わせており、いかにも少女という風貌で、教師とは全く結びつかなかった。そんな少女が、よく上条に「愛情を注ぎ」、授業ではいつも上条を指名し、休み時間には今日習った内容を復習するよう彼を職員室に呼んだ。


今もそうで、補習に来ているのは上条だけではないのに、彼女は上条の名前だけを覚えている。実際、上条は理由を知っていた。彼は国語のテストでよく合格点に届かないため、先生に目をかけられるのも当然だったのだ。


「ああ……早く家に帰りたい……」


上条は机に突っ伏し、授業を聞く気は全くなかった。暑すぎて、上条は熱中症になりそうだった。しかし、補習から逃れる手段は何もなかった。自業自得だから、次こそ合格できるよう願うしかない。


「ふく―――し―――、この問題答えてみて」

自分の世界に浸っていた伏嗣は突然指名され、慌てて立ち上がったが、先生が何を質問しているのかわからず、もごもごと言葉が出てこなかった。

「わ、私……この……この問題……えっと……考えさせて……」


上条の様子を見て、泉清愛はため息をつき、真剣に授業を聞くよう注意すると、彼に座るよう合図した。


こんな苦痛の時間があと二時間もあると思うと、上条は悲しくて泣きたくなった。


「お願い、勘弁してよ!」


日が次第に暮れていき、上条はようやく授業終了の時を迎えた。先生が「終わり」と言った瞬間、上条はすぐに教室から飛び出した。


「おーい、伏嗣、もう少しゆっくり走れー」


上条の興奮した行動を見て、泉清愛は少し呆れた様子で、彼の背中にそう言うと、声は消えた。


上条は学校を飛び出すと、左右を見渡し、すぐに道路を渡った。


「お家、お家♪」


上条は道を歩きながら、楽しそうに鼻歌を歌い、家に帰るのを楽しみにしていた。


「あっ、夕食見つけた、少し買おう」


上条はチャーシュー豚骨ラーメンの店を見つけ、それを夕食に、テイクアウトで二人分買って帰ることにした。彼は自分の財布を開けた。


「……もうすぐお金ないな……」


上条は少し困った。あと数日で、彼は完全に破産を宣告することになるだろう。しかし、実際にはあまり心配する必要もなかった。生活費がなくなれば、母親にまた頼めばいいのだ。いわゆる「パラサイトシングル」と言われるかもしれないが、何せ彼には経済的な手段が何もない。高校生に自分で生計を立てろというのは少し酷すぎるので、彼はそれほど心理的なプレッシャーは感じていなかった。


彼は店内に入り、看板の豚骨ラーメンを二人分注文した。出来上がると、上条は二人分の夕食を手に、家路を跳ねるように歩いた。


「ただいま! ついでに君の夕食も買ってきたよ!」


家に着いた上条はドアを押し開け、靴を履き替えながら、家の中に向かって叫んだ。彼はもう祈羽と一緒に夕食を楽しむのが待ちきれなかった。


祈羽がずっと彼を待っていることを知っていたので、彼はすぐに家に戻った。


全てはこうあるべきだった。


しかし、


彼に応えたのは、自分の声の反響と、死の静けさだけだった。


「?」 上条はとても不思議に思った。「こいつ……寝ちゃったのか?」


彼は手に持っていた夕食をテーブルの上に置き、すぐに自分の部屋へと向かった。


「祈羽?」 上条は部屋の中に向かって呼んだ。

「祈―――羽―――」 上条は家中に向かって呼んだ。


応えたのは、自分の声の反響だけだった。


「おかしいな……」 上条はとても信じられなかった。彼はゆっくりと自分のベッドに腰を下ろした。「出かける前にドア、鍵かけてなかったのか?」


その時、


「リンリンリン―――」 上条の携帯電話が鳴った。


一陣の風が上条の背中をかすめた。


彼は慌てて携帯を取り出し、祈羽からかかってきたものかどうかを確認した。


見知らぬ番号だった。


(どうして?)


上条は全く状況が把握できなかった。今この時間に、祈羽以外に誰が彼に電話をかけてくるというのだ?


……いや。


不吉な予感が、一瞬にして上条の全身を満たした。


「……」 上条は思わず唾を飲み込み、自分が予想していることが決して起こらないよう祈り続けた。彼は指をわずかに震わせながら通話ボタンを押し、同時に背中を見た。


「……上条伏嗣。もしP0327に再び会いたいなら、臨沂市の風力発電所の隣にある廃ビルへ来い」


祈羽ではない、見知らぬ男の声だった。


上条は見た――


背後の窓が、何のためらいもなく外に向かって大きく開け放たれているのを。


彼が遭遇を望まなかった事態は、それでも起こってしまったのだ。


「くそ!」 考える暇もなく、上条は玄関へと疾走した。ドアノブを回し、そして再び強く閉めた。


「なぜだ? またこんなことが! 全部俺の油断だ! 前みたいなことはもう起こらないと思い込んでいた!」 逆流する人混みをかき分けながら、上条は自分の過ちを激しく悔んだ。


足取りはますます速くなり、上条はありったけの力を足に注ぎ込みたかった。祈羽の命が脅かされているのに、彼はただ無力に時間が過ぎていくのを見ているだけだ。


(俺は一体のんきに何をしていたんだ? もっと警戒していれば、もっと早く行動していれば、絶対にこんなことは起こらなかった! 結局のところ、俺は全く真剣じゃなかったんだ!)


一歩一歩進む度に、上条は計り知れない苦しみを感じた。


今彼にできるのは、祈羽に何も起きませんようにと祈ることだけだった。


六分後。


「はぁ……はぁ……」 上条は息を切らせ、廃ビルの前に立っていた。休む間もなく、彼はまっすぐに階段を駆け上がった。


何故かはわからないが、ビルの内部はとても暗く、手を伸ばしてもかろうじて指が見える程度だった。おそらく窓がないせいで、ビルは各階とも階段部分にだけ四角い開口部があるだけだった。上条はコンクリートの壁に手をかけながら、内部を探り続けた。


ビルは五階建てで、各階にはたくさんの個室がある。上条は周囲が見えなかったため、人が来た形跡があるかどうか判断するのは難しかった。


上条はため息をついた。彼は二階の探索を終えた。今のところ、二階全体には誰も来た形跡がないことは確かだ。上条は階段部分に戻り、三階へと向かった。


三階の構造は二階と非常に似ていた。唯一の違いは高さの変化だ。上条は窓の外を見た。ここは三階だが、頭から落ちるのでなければ、ここから落ちても最悪の結果は骨折程度で、即死に比べれば軽い方だった。


上条は三階の探索を続けた。しばらくして、彼は再び階段部分に戻った。


三階もすべて探索を終えたが、結果は二階と同じで、何の収穫もなかった。上条は窓の外を見ながら、次の行動を考えた。


ビル全体で何の手がかりも見つからなければ、彼は次に何をすべきなのか? 上条はそう考えた。


突然、


「トン、」 澄んだ足音が、ビルの反響を伴って、上条の思考を乱した。


上条の体は瞬間に硬直した。彼は誰かが階段から上がってくるとは全く考えていなかった。ここは廃ビルで、絶対に誰も来ない場所だった。一通の電話のために、上条は決然とここにやってきた。


つまり、ここに来る者は、ただ一つの身分しかありえない。


敵だ。


「!」


足音がますます近づく。一歩踏み出す度に、まるで終焉を告げる鐘の音が鳴り響くようだった。


上条は信じられないというようにゆっくりと振り返り、来訪者の正体を確かめようとした。


しかし、


「咲けよ、生のライフシード


足音の主は、彼にそうする機会を与えなかった。


「ドッカーン!」 上条は全身が後ろへ吹き飛ばされた。

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