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やっぱり異世界、平穏無事とはいかないのね

チクチクと体を刺す痛みで意識が浮上する。

全身が痛みで悲鳴をあげているが、なんか生きているっぽい。

意識を失っている間、走馬灯のように何かを夢見るということなく、完全なブラックアウトだったようだ。

放り出された時もあまりの驚きに悲鳴すら上げなかった私。


まあ、すぐに意識が飛んだみたいだから、恐怖も苦痛も長時間経験しなくて良かったの……かも?


でも今現在全身打ち身なのか、痛すぎて目が開けられない。さっきからチクチク、というか突っつかれているような気がするんだけど……。


息苦しくないので、俯きではなく、仰向けになっている様だった。

重すぎる目蓋をなんとか抉じ開けると、眩しい日の光が先ず目に入る。

すると大きな陰が覆い、日差しが和らぐ。

しぱしぱと瞬くと最初に見えたのは黒っぽい何か。

痛む首を動かし、視線をあげていくとこちらを伺っている気配がする。

そこに居たのは、大きな鳥だった。


鷲?鷹?なのか、目付きと嘴が鋭い。

けっこう大きいので、鷲っぽい。が、この世界基準で考えると普通なのか??


視線が合っている筈なのに、逃げることも攻撃してくることもない。ただ、こちらの様子を伺っているようだった。くいっと首をかしげた鷲は、こちらに頭を近づけてきた。

突っつかれる!と身構えたが、頭を体に擦り付けるだけで、攻撃されることもなかった。


グリグリとそんなに痛くない絶妙な力加減でお腹に擦り付ける鷲。

なにがどうしてこんな状況になっているのか分からず、為すがままにされていると、ふと鷲が頭を上げた。


何に気を向けているのか分からないが、一定の方向をじっと見つめているようだった。

しばらくすると、微かに音と混じって人の声が聞こえてきた。


「……の……が」

「……ね。…………」

「……そうだな……も、……すむか」

「……あら……。……の……も?」


それと共にガタガタとおそらく馬車と、誰かが騎馬して話をしているようだ。

蹄の音が聞こえる。


ここはどこなのか、自分がどこに転がっているのが全く分からない。

次第に近づいてきた音が急に駆ける音に変わった。


「おい!何をする気だ!」


こちらに気付いたようで、側にいる鷲へと罵声を浴びせている。遠目からは鷲が私を襲っていると勘違いしているようだ。

しかし、鷲は微動だにせず、向かってくる相手を見極めているかの様だった。

駆け寄ってきた男性は、馬から降りたようで、静かにこちらへ近寄ってきているようだった。


「……ん?お前……」

近寄ってきた男性は、鷲の全容が見えると訝しげな声を出した。

音のする方向に視線を向けると、かなり近くまで男性は来ていたようだ。

「……っ。……ぁ……」

声を出そうとしたら、喉の奥が詰まったように上手く話せない。ハッとした男性は私を抱き起こすとこちらを覗き込んだ。

あれだけ警戒していた鷲に意識を向けることなく、私を気遣うようにゆっくり抱き上げるのだ。

すると、鷲はバサリと大きく翼を広げ上空へと飛び立った。風圧で思わず目を閉じると、収まった風に再び目蓋を上げ空を見ると、鷲はこちらを見下ろしながら一周すると何処かへと飛び去って行ってしまった。


しばらく沈黙が落ちると、今度は女性の声が聞こえてきた。

「大丈夫だったかしら?」

軽やかな声と足取り軽い足音が側までやって来る。

「ああ。あの鷲は……」

言葉を途切れさせた男性は考えるかのように口を閉じた。

ふわりと甘く爽やかな香りがすると、栗色の髪が見え次にピクリと揺れる獣耳が。こちらを覗き込むのは妖艶な美女。大きな瞳は蜂蜜色で少し潤んでいるためか色気があった。

心配そうにこちらを覗き込む美女は、声を出そうとしているのに気付いたようだった。

「無理しないで。大丈夫、私達は危害を加えないわ」

柔らかく微笑んだ美女は、抱き起こしてくれている男性の腕を軽く叩くと尋ねる。

「ジル様、予定通りここで休憩にしましょう」

「そうだな」

頷いた男性、ジルさんは視線を後方にやり誰かを見たようだった。

それに合わせて複数の気配がすると、彼らに付き従っている者達がいることに気付いた。

改めて不自由な首を巡らすと、ここは川原の近く様だった。彼らは水場を求めてこちらへ来ていたようで、その経路で私を発見したようだった。

体の痛みでなかなか意識が向かなかったが、私を抱えてくれているジルさんはかなり体格の良い人で、アッシュ達のように鍛えているようだった。


そして、気付くのが遅いが美男。

美形率が多くて眩しいわぁ……。


赤みがかった金髪は緩い癖毛で、短く刈り込んでいる。

瞳は暗紅色で深みのある色味。どこか雄みの強い勇猛な雰囲気のある男性だった。


二人は私を簡易的に用意された天幕へと入っていった。

そこには体を横に出来るようにベッドが用意されており、その上に私を寝かしてくれた。

そして美女が誰かに指示を出すと何かを受け取り、私の上半身をクッションに凭れ掛けさせる。

目の前に小瓶を持ってくると、美女は安心させるように微笑む。

「これは痛み止めの薬よ。少し苦いけど、ゆっくりでいいから飲めるかしら?」

体が痛くて半泣きだったので、痛み止めはありがたかった。微かに頷き返すと、美女はコップに注がれた水にその小瓶の薬を溶かし入れると自ら持ち、私の口許に当ててくれた。

「慌てないで。ゆっくりよ」

少し傾けたコップから水が口に当たる。口を開けると少しずつ入ってくる。喉がカラカラなので、一気に飲みたいのを我慢しつつ、苦味のある水を飲み干した。

少し溢れてしまった口許を美女が拭うと、静かに私を寝かしてくれる。

「少しの間、ここで休憩するから、お休みなさい、ね」

額に柔らかな手を当て、優しく撫でると美女はそう言った。寝かし付けるように頭を撫でられ続けると、目蓋が少し重くなってウトウトして来る。


平穏な生活を確保したかと思ったら、急展開に巻き込まれてしまった。

まさか、崖から投げ捨てられるとは……。

転生して早くもエンドを向かえるかと思ったが、取りあえず神様は見捨てないでくれていたようだ。


でも……ヴォルガ、何考えてるんだろ。

こんなことしたら、アッシュに怒られるだけじゃ済まされないのに。

あの侍従も怪しかったけど。

まさかの殺人未遂まで犯すとは。


今頃、アッシュ達、探してくれてるだろうな。

心配を掛けてると思う。

大丈夫だと思っていた公爵家で、誘拐が起きるなんて。

それも内部からやられるとは。


グレイさんすら上手く誤魔化してたなんて。

普通に街への外出を装ったからか、余計に分かりにくかったのかも。まさか身内に裏切り者がいるとはね。

狼一族は群を大切にする。

そこにつけ込まれたのかな?


それにしてもここは一体何処なんだろう。

街に出たのが昼過ぎ。

崖に着いた時も明るかった。でも、体感的には朝に近い。どれくらいの距離を連れていかれたのか、睡眠薬を盛られていたから、予想もつかない。


ただ幸運だったのは、あの大鷲に助けられ、体がぐちゃぐちゃにならずに済んだこと。

スプラッタ、ご遠慮願いたい……。

そして、ジルさんと美女が運良く通りかかってくれたこと。

この偶然が重ならなければ、私はきっと死んでいた。

そう思うと心の奥から恐怖と震えが来る。


今は安堵と体の痛み疲労で、睡眠を欲していた。

穏やかに撫でられる感触にホッとして、ウトウトした眠りから深い眠りに誘われる様に力が抜けていったのだった……。





スゥスゥ……と寝息が聞こえたので、美女、ルシアは撫でていた手を止めた。

側でじっとしていたジルは、軽く組んでいた腕を外した。そして、簡易ベッドで眠る幼い少女を痛ましげに見つめ、ルシアと視線を合わせると、外へと出ていった。

天幕の外には簡易テーブルが準備され、見計らったかのように軽食が準備されていた。

そのテーブルに二人は掛けると、用意されていた紅茶へと手を伸ばした。

ひとくち二口と飲むと、ジルは息をつく。そして沈痛な面持ちで一言溢した。


「……あの少女は捨てられたのか?」


全体に薄汚れ、着ていたであろう上質な衣服は所々破れていた。顔も擦り傷があり、髪も絡まるように乱れていた。

おそらくどこかの種族の貴族家出身で、蔑ろにされていたのかもしれない。

もしくは種族争いに巻き込まれたか。

大概の獣人は、庇護対象である子供は大切にする筈だ。


しかし、どこにでも不穏な輩はいる。

全てが上手く行くとは限らないのだ。多種多様な獣人がいるように、見方考え方が違う。

味方だった者が敵に成り代わることなど、当たり前に起きることさえある。


「ジル様」


少女の境遇を考えていると、軽やかな甘い声が耳に届く。

「どうした?ルシィ」

蕩けるような甘い声で、ジルは彼女の愛称を呼ぶ。

求めて止まない愛しの蜂蜜色の瞳を見つめる。

ゆったりとした動作で彼女は頬に手を当て首を傾けると、さらりと艶やかな栗色の毛が肩から落ちる。

「あの少女、私が預かろうかしら?」

「君が?」

意外そうにジルが聞き返すと彼女は頷く。

「ええ。訳ありっぽい感じがするけど、何だか放って置けない感じがするの」

滅多に人を側に置かないが、何か彼女の気を引くものを少女は持っていたのかもしれない。

「側付きにするのか?」

うーん、と悩ましげな声を出すと流れた栗色の髪を耳に掛け、前に用意されたお菓子に手を伸ばす。

一つ手に取ると、小さな菓子を口に放り込む。

サクサクと咀嚼しながら、口の端についた砂糖を舌でペロリと舐めとる。

子供のような食べ方をしているのに、下品に見えない。

彼女がやると、どこか官能的な雰囲気を醸し出しているように感じてしまう。

グルッと喉が鳴ると、口許に手をやり咳払いをする。

「人手が足りないのか?」

誤魔化すように尋ねると、彼女はクスリと笑う。

「いいえ。特に必要性は感じないわ」

そこで言葉を区切ると、人差し指で唇をなぞるようにあてる。

「うぅん、そうねぇー。母性本能がくすぐられたのかしら?」

うふふ、と笑い、意味ありげにこちらを見る。

ドキリ、とする。彼女には翻弄されてはいるが、こちらとて免疫はついてきたのだ。突っ走ってしまった若い頃と同じ勘違いはしない。

「そうか。まあ、ルシィがそういうなら、そちらで預かった方がいいのだろう」

「孤児院とかに預けるにはちょっと心配な少女ね」

チラリと天幕を一瞥するとそう言った。

「たぶん彼女、薄汚れてはいるけどかなりの美少女よ。孤児院なんて預けたら、良からぬ者に拐われちゃうわ」

それに同意の頷きを返す。

「確かにな」

「あと、魔力も感じるから、余計に引く手数多になるわ」


獣人は誰しも多少なりとも魔力を持つ。

そこに容姿が加われば、小児性愛者に手込めにされたり、獣人なので多少乱暴に扱っても壊れないという理由で性的搾取をする者もいるのだ。

魔力があると下働きとしても有効に扱えるし、雑に扱っても回復が早いので獣人の孤児は重宝される。

その僅かな魔力さえ搾取されることもある。

本来、魔力は相性が良くないと譲渡することが難しいのだが、闇の裏取引にある()()()()()の遺物でその様な魔道具が存在しているらしい。

また、()()()()()()()は、より高く売られ、また搾取される。

もう今はあまりこちらへ来ないと言われている『還り人』がそれにあたる。しかし、最近現れたと聞いているが詳細は明らかにされていない。

南方で保護されているらしい。

こちらは西方地区で遠方のため定かではないが。


「私の側付きは、少女にはちょっと刺激が強いかもしれないけど。ふふふ、誰しも経験することでしょうし、早めの情操教育と思えばいいわねぇー」

くふふふ、と楽しそうに笑い、流し目で彼女はこちらを見る。それに呆れた溜め息を漏らすと肩を竦めた。

「俺は構わないが、少女が嫌がらないか?」

「まあなんとかなるでしょ」


冷めた紅茶が入れ換えられ、温かなそれを一口飲むと、椅子へ彼女はもたれた。

少し空を見上げると、ルシアは視線をそちらに向けたまま聞いてきた。

「少女の側にいた鷲。たぶん、獣人よね?」

「ああ。こちらを警戒はしていたが、野生ではあんな動きはしない。だが、自分で保護をすることをせず、こちらに預けた。訳ありかもな」

ジルも先程から考えていたが、そうとしか考えられない。ルシアも同意しながらこちらを見る。

「少女はもしかしたら鳥種かもしれないわね」


確かにあの黒い大鷲は、少女を守るように佇んで見えた。始め大きな翼で少女を覆っていたため、襲っているように遠目からは見えた。

しかし、近くに来るとその羽根を畳み、こちらを見据えていたのだ。野生ではあんなことはしない。

同種と分かって守っていたと考えれば、あの行動には頷ける。獣化もしないで、人の姿のまま捨てられたのであれば、少女は変化が出来ないのかもしれない。

それも理由で捨てられた可能性もある。

哀れに思うが、どうしようもない。


それぞれに考えを巡らせると、ジルの側近が近くに寄り休憩の終わりを告げた。

少女はまだ深く眠っているようで、そのままルシアの乗る馬車へと運ばれ、自分も同乗することになった。

帰路途中で目覚めるかと思いきや、余程体力を奪われていたのか、彼女の住居についても少女が目覚めることはなかった。


後で聞いたとことによると、少女はルシアの働く場所が娼館と聞いて驚き、羞恥に悶えていたそうだが、順応性が早かったようだった。

再会した時は馴染んだようにその場に現れ、ルシアの世話を甲斐甲斐しくみていた。それにホッとしたのは言うまでもない。





保護してくれたルシア姉さんが、まさかの娼館勤め。始めはおっかなびっくりしつつ、羞恥に悶え、息も絶え絶えだった。

働く時にルシア姉さんから、髪の色と顔を目立たなくするために、わざと色を暗くし、不細工なメイクを施すことを提案された。事情を聞いた時は真っ青になったが、迷惑を掛けたくないのと、わざわざ危険に晒される必要もないので了承した。


この世界の娼館は、複数人の相手を勤めることはなく、継続して買い入れるのが当たり前らしい。

人によって期間はマチマチだが、相手によっては身請けされ、幸せに暮らす女性達もいるそうだ。

娼婦だからと言って、見下されることは余程の事情がない限りないらしい。


常に春を売る必要はなく、意外と福利厚生がしっかりとした娼館だったのにもびっくり。

相手がいなくとも、他の娼婦、ここでは華人と呼ぶらしい。華人達同士で家事をし、別の仕事、獣人達の恋愛相談所も兼ねているらしい。また、彼女達の服装は全て自分達でデザインするらしく、それが意外と他の獣人女性達に人気でそちらでも収益があるそうだ。

ここは春も売るけど、身寄りのない女性達のシェルターのような役割もしている。


娼館なんだけど、どちらかと言うと女性が集団で生活、働いている場所。

春を買う人達は、獣人らしく一途な人が多い。

致す場所も、彼女達のプライベートルーム、もしくは客室があるのでそちらでやる。

ラブホテルにマンション、会社のビルがごちゃ混ぜになったかのようだ。

ちゃんと建物の区切りは出来ていて、私生活に支障がないようにはなっている。

以前は娼館色が強く、プライベートと仕事が混ざってしまうことがあり、トラブルもあったそうだ。

それを避けるために建物も一新したそうだ。

いろいろな工夫を経てるんだなぁ……と感心してしまった。


でも、娼館らしくないお陰で、本番を前にするとどうしても羞恥心で悶えしまう。

しかし様々なTL小説・漫画が溢れた日本で、ある程度免疫があったため早くに順応出来た。

そして私が春を売る必要もなく、安心して生活出来るのだ。


じっと浴槽を見つめながら、ここに至るまでを回想していると、お湯が溜まった。

リラックス出来るように彼女の好きな花びらを湯船に浮かべると、他に準備し足りない物は無いか確認をし、外へ出た。


ソファでは横になって眠るルシア姉さんがいた。


まあ、毎回ジルさんが来るとこうだから驚きはしないが、あの人絶倫なんだよね。

チラ聞きしたところによると、彼は猛獣種らしいので、然もありなん、だ。

身長も高く体格もいいし、たぶんライオンか虎じゃないかな。

いやぁ……捕食者だよ。

鳥の天敵だ!

でも、ルシア姉さんにベタ惚れなんだよね~。

もう何年も通っているそうで、身請けも何度も打診してるそうだ。

でもルシア姉さんがOKを出さない。

理由は分からないんだけど。端から見ても相思相愛なのにね。


恋愛下級者には分からん。

両想いなら何もかも上手く行くって訳ではないんだなぁ……と考えされられてしまうお二人。

でもお似合いなんだよね。見てて幸せになれる。


すやすや眠るルシア姉さんの肩を軽く揺する。

「んぅ……」

吐息を付きつつ、ルシア姉さんが気怠そうに体を起こす。スルリと掛けた膝掛けが床に落ちる。

「ルシア姉さん。お風呂入りましたよ」

ぱしぱしと彼女は目を瞬かせると、少女の様な可愛らしい笑みを浮かべてこちらを見た。

「ありがとぉー。んじゃ入ってくるわね」

スルリとしなやかな肢体でソファから立ち上がると、足音も立てずに浴室へと向かっていった。

それを見つつ、落ちた膝掛けを取ると、少しずつ落ちてきた陽射しを見つめた。


そしてまた、今日もふと思う。

アッシュ達はどうしているんだろう、と。

連絡方法も、ルシア姉さん達に聞けば教えてくれるだろう。

でも何となく申し訳なくて、お世話になっている身としては、事情も事情なので迂闊に話すことも出来ない。

信用をしていないわけではない、ただ、どこからか情報が漏れ、私が『還り人』だと発覚した時にどんな目に合うのかが怖くて出来ない。


アッシュとはツガイだけど、まだ仮、と言うこともあり、確かな繋がりもないからか、私が鈍いのか、ツガイを恋しがる、という感情が湧いてこない。

獣人になりたてなのと、どちらかと言うと日本で生きた感覚が抜けないのもあり、ツガイに対しての危機感が少ないのもあるかもしれない。

それと一緒に過ごした時間が短すぎるのもある。

異性に恋をする、という感情が分からない。

ましてや『ツガイ』なんて、日本で過ごしていた世界にはない概念。

大切にしてもらえている、というのは分かる。

異性として意識してもらえているというのも。

まあ、年齢的にはちょっとロリなんだけど。


そもそも恋愛をしたことのない、いや、擬似的な物はあったのかな?憧れ的な。


小、中学校の時なんて、恋愛に興味が出てきて、みんなと合わせるように「○○くん良いよねー」とか「カッコいい」とか「○○くんのこと好き」とか騒いでたよね。

でも高校の時、いざ、告白されるとどうして良いのか分からず逃げたことも……。

あれは周囲の女子から顰蹙買ったなぁ……。

人気と言うか、結構好感度高い男子だったから余計に。

落ち込んだわー。

まあ、幼馴染みの二人が相変わらずな感じで慰めてくれたなぁ。

あの時は二人が教室に来て、両挟みされて慰めてくれたけど、あれはあれで嫉妬を買ったよねー。

苦い思い出だ……。

マイペースなんだよ、あの二人は。こっちの身になって欲しいよ。

でも、私に危害が加えられた時は、マジに報復してたな、コワッ。

後日談を他の友達に聞いて真っ青になったもん。

知らないうちに遂行するから、あの二人ヤバいんだよね。ははは……。


時折思い出す、懐かしい幼馴染み。

そして今、私を想ってくれているアッシュ。それとその周囲の人達。

気になることは多いのだけど、現状維持が精一杯。


「はぁ……」


懐かしい想いと、今の状況に溜め息が出る。

ぐっと膝掛けを握ると、よし、と一声出して思いを振り切ると、自分に出来ることをするのだった。

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