サンタからの手紙
サンタがいないって分かったきっかけって、みんなは何?
ちなみに私は、小学校上がる前に分かっちまった。
それは……。
「今日はクリスマスだよね、サンタさん来るかな」
ワクワクする私に母は言った。大人しく寝てたら来るわよーって。
毎年それ言われるけど、私としてはひとめでいいから会いたいんだよね。
そしてお礼言いたいんだ。
いつもいつも、プレゼントありがとうって。
クリスマスプレゼントはいつも決まってて、私が大好きなチョコレート。
うちは貧乏だからおやつも満足に買えなくて。
いつもいつもそれを食べるのが楽しみで。
だから毎年、やってくるのを待ってるんだけど寝ちゃうんだよね……。
でも今年こそは!
私は頑張った。
眠そうになったら一人ダンス踊って耐えた。
一人しりとりしてノリ突っ込みした。
一人で一発芸して一人でうけた。
それでも眠いから漫画読んだ。
それが間違いだった。
気付いたら……朝だった。
枕元に、チョコ入りの靴下が。
ああ、今年もお礼言えなかった……。
しょぼんとして台所に行くと、母が言った。これ、サンタさんからお手紙預かってるわよって。
「いつも待っててくれるの申し訳ないからって言って、ママに預けていったの」
うわー、サンタさんからの手紙?!
ヤッホーい!
私はピョンピョン飛んで早速手紙を開けた。
ん?
なんだろう。
凄いよれよれのメモみたいな手紙。
そこには、日本語でこう書かれていた。
「サンダざんでず……いづもいいごにしててくれでありがどう」
明らかに、酔っぱらってるのが分かる字だ。
なんでわかるかって、字が酔っぱらってるから。
そして私にはその字に見覚えがあった。
「よかったね」
にっこりする母。
心の中で汗かいてニッコリ笑い返す私。
それから私は、チョコ食いつつ、しばらく、サンタさん信じるふりをすることにした。
だって他に方法ないじゃん……ねえ。
「はーあ」
そして今私は、都会で一人暮らししてる。会社勤め。
今年こそはサンタさん来るといいなと思いつつ。
付き合ってる奴いないのって?
いないいない。男友達はいるけど。
今まさにそいつと互いにボッチ祝いパーティしてたとこ。
男友達は会社の同僚。ベロベロに酔っぱらって、こたつで寝ちゃった。あーあ。
しょうがないなもう。
私は毛布をもう一つ出して、そいつにかけてやった。
真っ赤な顔していびきかいてる。まだ若いのにおっさんかよもう。
次の日、二日酔いのそいつが、私の作ったシジミ汁を飲みつつ言った。
「そう言えばクリスマスプレゼント、気に入ってくれた?」って。
「何のこと?」
「おいおい、気付かなかったの? 枕元に置いといたのに」
そんなこと言われたって、普段やらないようなことするからだよと私が言うと、スマンスマンと男友達は言った。私は寝室に行ってみた。あ、ある。小さな箱だ。リボンがかかってる。
「おっと、俺が帰るまで開けんなよ」
男友達は慌ててご飯を掻き込むと、逃げるように帰った。なんだよ。
あいつが帰ってから私は恐る恐るリボンを解いた。
何。
もしかしてびっくり箱とか。
白い箱をそーっとあける。
中には……。
中には……!
手紙が一枚、プレゼントと一緒に入ってた。
それはよれよれになってた。
何回も何回も、握りしめたみたいに。
そして真剣そのものの字で書いてあった。
「返事、出来るだけ早く聞かせてくれ。でなきゃ俺しんじまう」
それは、昔父が見せてくれた酔っぱらった字にとても似ていた――。
クリスマスの朝。
サンタさん、いるといいな。
いるよね。きっと。なんて今でも思う私である。




