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勇気無き村に死を!  作者: 北田 龍一


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四日目

 誰もが安心し、深い眠りについたであろう村。村長は『まだ事後処理が終わっていない』のと『正直疲れた』と、広間に残った全員に主張し、村人の帰還を翌日に変更した。その本当の目的を知っているのは、ひそかに話した竜人娘のみ。果たしてどうなるかと予想していた村長だが……起きた現実は、村人には衝撃だろう。


「植物オタク。先にメシだ。これから俺は、一応広場に――」


 拘束した犯人、植物オタク兄貴の下へ飯を運ぶ。一応は自分と同じ物を、同じぐらいの量を用意している。虜囚としては贅沢だが、今は看守を担当する村人もいない。淡々と話しかけた所で、血の臭いを嗅いだ。

 お盆を適当に置き、足を速めて村長が檻に急ぐ。犯人のいる鉄格子を見ると――内部にいるはずの人間は、ぐったりと倒れていた。

 寝具から投げ出され、床は血で汚れ、瞳はカッと見開かれたまま濁っている。呼吸は止まり、血の気は無く、絶命は一目で明らかだった。


「…………そうきたか」


 喉に食器のスプーンとフォークを突き刺し、一見すると自殺にも見える。しかし――狼女の残した手帳を考えると、もう一つの可能性も考えねば。用意した食事は自分の昼に回すとして、まずは村へ話さなければなるまい。

 やはり事件は終わっていない――村長はまず、近場にいるハーピィ娘の家の扉を叩いた。


「おい! ハーピィ! いるか⁉」

「村長~? 慌ててどーしたのー?」


 眠たげな眼をこすり、あくびをかみ殺してハーピィ娘が顔を出す。生きていた事に安堵しつつ、最低限の指示を出した。


「すぐに外に出れるよう準備して……村役場前に来てくれ。俺は他の奴にも声をかけておく」

「??? 何があったの?」

「見てもらった方が早い。全員に声をかけてくる」

「ん~……わかった~」


 釈然としない様子だが、気にする余裕はない。村長はそのままドワーフ、悪魔、若者にも声をかけ、全員を村役場に招集し――檻と遺体を確認した。


「これは……自殺かのぅ」

「追い詰められて……って事ッスか? いやでも……」

「村長は寛大な態度だったと思うけどねー」

「ま、まままっ、まさか……村長……」


 悪魔の一言で、視線が一気に村長へ集中した。食事に毒でも盛ったのではないか? と疑っているらしい。しかし違う。村長は殺人を犯していない。証明は難しいが、根拠は示せた。


「おいおい。俺が殺す気なら……もっと効率の良い方法はあったはずだ」

「例えば~?」

「そうだな……昨日の段階で檻に入れると言わずに、全員でふくろ叩きにすればいい。現に昨日俺が檻に入れて、きっちり裁判するって言った時、みんなで強く賛成はしなかった。死んだコイツ自身も、俺の判断を甘いと言っていたじゃないか」

「う……」


 村長は……極刑や厳罰に処す可能性は見せたが、すぐに暴力に訴える事はしなかった。あくまで刑罰に問い、その結果として死をちらつかせはしたが、即座にやり返しては同じと裁断した。村長はそのことを主張に使う。


「他にも……俺の独断で、その場で死刑を言い渡したとしよう。後々問題になるにしても、あの時あの空気で、お前ら処刑を止められたか?」

「うぅむ……難しいかもしれんのぅ」

「だろう? わざわざ檻にブチ込んでから、陰湿に俺が殺す理由がない。そんな回りくどい事をする必要がない」

「殺す気なら、いくらでも手がある立場だった……て事ッスね」

「じゃあ、やっぱり自殺?」


 食器を使った自殺……しかしその割には、状況が凄惨に過ぎるように見えるのだろう。そろそろ情報を公開してもいい頃か。村長は狼女の手帳を取り出した。


「それは……狼女さんの?」

「あぁ。これの最後に、彼女が残したメッセージがある」

「なんじゃと? どうして話さなかった⁉」

「内容を見れば分かる」


 村長は血で書かれた『ふたり』の文字を見せる。呆然と悪魔が呟いて、理解した途端悲鳴を上げた。


「ふ、ふ、ふたり……ふたり⁉」

「え、これ、どういう……」

「衝撃の新事実……犯人は二人いたッ‼」

「じゃあこれは、二人目の犯行って事……ッスか」

「な、な、なんのために……?」

「決まっておるわい! 口封じに違いなかろう」

「……だな。俺もそう思う」

「なんで今まで言わなかったッスか⁉」

「もう一人に潜伏されるのを防ぎたかったのと……犯人側が『ばれていない』と思い込んで、行動してくれれば手がかりを取れると思った。だが……まさか、仲間を殺しに来るとはな」


 他に理由は考えられない。一人目を捕縛、確保された二人目の犯人は、尋問による自分の露呈を嫌ったのだ。一手遅かったのか、それとも他に手はなかったのか……村の皆は村長に向けて質問した。


「ねぇ村長。何か聞き出せた? 狼女さんみたいに、メッセージを残していない?」

「ほとんど物を持たせていないし、難しいだろうな。血文字を書いていたとしても、二人目の犯人が消しているだろう。何せ――」

「あ……は、犯人は、お、狼女さんの事が、頭に残っているもんね」


 一人目が村人の反撃で捕まったのだ。二人目はより慎重に行動している。証拠は残さぬよう動いているに違いない。

 これでは手詰まりか? そう思った矢先……酒飲みドワーフが、強い不満を口にし始めた。

四日目犠牲者

植物オタク兄貴


騙して悪いが通常の人狼ではないのでな!

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