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ラーナ町到着

後半にウィン視点も入ります。

 

 今朝の出発が早かったのと歩く速度が速かったこともあって、昼過ぎには無事に町の門を通過して中へ入ることができた。


 ウエチ村とは違ってお店や建物が多い。行きかう人の数も村とは比べ物にならない。


 見慣れない街並みは見ていて飽きないし、お腹も空いたけど取り敢えず先に服を買いに行くことにした。


 ウィンをボロボロの服のまま歩かせるわけにはいかないし、私も燃えた服とローブの代わりに新しいものをストックしておきたい。



 お店は高級でも安物でもなく、カジュアルで動きやすい服が売ってそうなお店を選んだ。


「いらっしゃい。これはまた派手にやられたな」

 お店の店主がウィンの服を見て、やれやれと言った感じだ。

 どうやらこのお店は冒険者の客が多く、ボロボロに焼け焦げた服や汚れた服にも慣れているみたい。


「はい、この通りです。動きやすい服はありますか?」

 この店には冒険者用の服が多いので、耐火性能が付いた服や素材がしっかりした物が多い。


 私も予備の服とローブを探すことにした。

「トウコは服とローブを探しているの?」

「うん、一式燃えちゃったから予備を買っておこうと思ってね」

「そうか、すまない。燃えたのは俺のせいだ。俺が買うよ」

「えっ? あ、ごめん。そういうつもりで言ったんじゃないよ」


 その後、何度か俺が支払う、私が支払う、の言い合いが続いたが結局ウィンが私の分まで買ってくれることになった。


 ウィンが選んだ私の服は、私の嗜好を理解してくれているかのように少年のような服に、ローブは防水効果が付与されたもので外ポケットはもちろん内ポケットまで付いて、以前のものよりグレードアップしていた。

 私がウエチ村で買ったものより上質で何だか申し訳ない。



 ウィンを助けた時は腰に剣しか差していなかったから無一文かと思っていたけど、実はベルト部分にポーチ型の魔法袋を付けていて、そこにお金を入れていたようだった。

 しかも、ウィンは猛者の子孫と言うだけあって今まで活躍して稼いでいたのだろう。金貨も持っているけど、大金貨も余裕があるぐらいには持っているみたい。

 大金貨は金貨10枚分。[1枚あたり、金貨10,000円 大金貨100,000円]の価値だ。



 ウィンはそのままお店で洋服を着替え、その後は2人でご飯を食べに行くことにした。

 ご飯屋さんを探していると街のあちらこちらから美味しそうな匂いが漂ってきた。


「ねえウィン、あれ食べてみない?」

 肉の串焼きのような屋台だ。この匂いに我慢ができない。

 他にも、見たこともない果物やスープ、野菜の炒め物などの屋台が沢山あった。


 結局、ご飯屋ではなく屋台の食べ物を買い食いしてお腹が膨れた。

 屋台で買い食いなんて何年ぶりだろうか。大人になってからは、花火大会やお祭りに行くことがなかったからな。

 彼氏もいたけど一緒に行く予定のお祭りはいつも急用が入ったりドタキャンされたり雨や台風だったり――。



 ついでに、美味しそうなお弁当がある度に作りたてを買ってアイテムボックスに入れておいた。食糧難は恐ろしいのだ。



「トウコ、そろそろ今夜の宿を探そう」

 気がつけば日が傾きかけていた。楽しい時間が過ぎるのは早い。





「悪いな、今日はもう満室だ」

 何度目かの宿屋の主人の言葉を聞き、再び2人で宿屋を探す。


「ごめんね、私が観光に夢中になりすぎていたから」

「いや、俺も気付くのが遅かった。トウコのせいじゃない」

 


 せっかく、町まで来たんだから宿屋に泊まりたい。それに、お風呂も入りたい。

 ふと、顔を上げると、少し古そうだけど大きな宿屋が目に入った。

「あそこにもう一軒あるわ。行ってみよ?」


 宿屋に入ると、田舎のおじいちゃんって雰囲気のやさしそうな主人が出てきた。

「宿泊希望かい? その様子じゃ、もう他の宿はいっぱいだったんだな」


「はい、どこも満室で……。部屋空いていませんか?」

「お前達、兄弟かい? なら1部屋だけなら空いてるよ。ベッド1台の部屋だから特別に1名料金で銀貨6枚にしてやるよ。朝食付けるなら1人銅貨8枚、入浴は1人銅貨5枚だ」

 そう言って、宿泊帳に名前を書くように言われた。



 私が男の子の服装をしていたから弟と思われたみたい。

 1部屋だけど、野宿よりはまだ良いから泊まることにした。それに、宿屋にお風呂が付いているなんてラッキーだ。銭湯に行く手間が省ける。


 入浴代と朝食も付けて宿泊代を支払ってから案内された部屋に入る。宿代もウィンが支払ってくれた。


 森の中でのお弁当とテントのお礼だと言われたので、そのまま支払ってもらうことにした。どうせ私が出すと言っても聞き入れてもらえないと思う。



 案内された部屋は6畳ぐらいでセミダブルサイズ程のベッドと小さな机が一つ置いてあった。広くはないけどウィンとはテントで一緒に寝たこともあるから特に気にならない。


 お風呂から上がって部屋に戻ると、ウィンが床で寝るって言いだして困ったけど結局ベッドで一緒に寝ることにした。

 ベッドは1台しかないんだし、年下の子だけ床で寝かすわけにはいかないし、数日ぶりの宿だから私も床では寝たくない。



 一度寝転ぶと長旅での疲れか、夕食も取らずに朝まで熟睡していた。






 ********ウィン


 先に風呂から上がって部屋に入ると1台だけのベッドが妙に目に焼き付いてしまった。さすがに1つのベッドで一緒に寝るのはまずいよな。

 旅の途中のテントでは気にならなかったことが今さら気になりだした。


 暫くするとトウコも戻ってきた。


「寝場所だけど俺は床で寝るよ」

「え、なんで?」

 いやいや、なんで? じゃないでしょ。


「普通男女が同じベッドっておかしいでしょ」

「私襲ったりしないよ?」

 いやいやいや、俺に襲われることは考えていないのか?


 旅の途中から薄々気付いていたけど、ここまで無防備だなんて。いや、無関心なのか? 俺は暗殺されるような間抜けな男だけど、これでも一応ポメアン王国では男としてモテていたんだけどな。



「……トウコが俺を男として見ていないのは、よぉ~く分かった。でも、俺がトウコを襲うかもしれない」

「えっ!? 襲う気なの?」

 そこ驚くとこか? 会話が成り立ってるようで成り立ってないような……。


「いや、それはない」

 命の恩人にそんな酷いことできるわけないだろ!


「ビックリした~じゃあ大丈夫。どっちが壁側に行く? 私寝相悪くないからウィンが奥に行きなよ。ベッドから落ちる心配ないし」

 どう見てもトウコの方が頼りないのに何で俺のことを子供扱いしてくるんだ? だいたいベッドから落ちることを心配してくるなんて幼児じゃあるまいし。 


「…………いや、トウコが壁側で寝て。それから、一つ忠告すると今後は知らない男とは気安く一緒の部屋で一緒に寝ない方がいい」

「ん? いくら私でもさすがに貞操はわきまえています!」

 なんかちょっと怒ってトウコはずかずかとベッドに入っていった。


 暫くすると寝息が聞こえてきたからそのまま寝たんだろう。



 俺を子供扱いするトウコの寝顔を見ながら明日からのことを考えた。


 冒険者ギルドに登録しに行くって言っているけど、トウコみたいな世間知らずの女の子が1人でいたらいいカモだな。

 オオカミの中にウサギを置き去りにするようなものだ。高度の治癒魔法の使い手で、おまけにかなり可愛い。稀にみる美少女だ。

 絶対に騙されるか、下手をすれば本当に誘拐される。


 クソッ、本人は呑気なものだ。今まで一体どこでどうやって生きてきたんだ。どこかの国の箱入りの姫君か?



 この3日間一緒に過ごしていたけど、付き人や護衛も見当たらない。暫くは俺が一緒に行動したほうがいいな。


 兄妹という設定なら一緒にいても違和感を抱かれないだろう。




お読みいただきありがとうございます!


トウコちゃん鈍いですね……あざと鈍い!


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