から梅雨/ 紫陽花/ 小川/
から梅雨/
川縁の木の枝に
止まっていた鳥が
弾みをつけて
一斉に羽ばたく
青空を泳ぐ
無数のシルエット
君は
乾いた目で見上げ
空っぽだから
埋めにいくのよ、
そう言ってわらう
紫陽花/
干からびそうな
日射しは
坂一面に植えられた
紫陽花には
どこか痛々しく
日傘にいれるくらいしか
私には
出来ないけれど
影で濃くなる
青紫
飢えた 水の色をみる
小川/
蒸した熱気の
立ちのぼる朝
せせらぎを
押し殺し
時折
その川底を
剥き出しにしても
ひと筋を這う
君がその身に
持つ 遥か──