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作者が思い描いた世界観が、少しでもお伝えできれば幸いです。
「さて、行くかの」
ひとしきり部屋の中を確認すると、銀髪の少女は大きな木箱を背負い込んだ。
「おいで、リーユ」
名前を呼ばれた小動物が、跳ねるように彼女の肩に飛び乗る。
つま先を床に打ち付けながら、少女はドアの取っ手に腕を伸ばす。
「キー」
「おっと、忘れとったわ」
玄関先に引っ掛けられていたチェーンとカードを手に取り、今度こそ扉を開く。
「うーん、良い門出じゃのう」
天気は快晴。
いつになくまぶしい日の光に、目を細めながら、少女は楽しそうにその一歩を踏み出した。