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キャラメイクの話は長いので飛ばしてもいいです。

 カチ、カチ、カチ───


 ───カチ、カチ、カチ


 部屋の中は、時計の音だけが響いている。

 しかしそんなことは、俺にはわからない。何故ならば、俺の意識は、現実(こちら)にはないからだ。


 俺、相川茉那が何をやっているかというと、数日前にリリースされた、VRMMORPG【D・World】をしている。よくわからないゲーム名。これが初のフルダイブ型バーチャルゲームだからなのか、記憶できないほどの人数がこの【D・World】をやっているらしい。


 永令元年──西暦二〇四〇年、四月。あるゲームメーカーがヘルメット型VRMMORPGの発売を開始。

 世界初の完全なバーチャルゲーム。

 ヘルメット型バーチャルゲーム機、通称ヘッドギアが開発される以前にもバーチャルゲームは存在していた。しかしそれは、ゴーグル型であり、五感は感じられず、自ら体を動かさなければならないものだった。


 このゲームをするときには、ヘッドギアを被らなくてはならない。これがゲーム機本体であり、これを被らなくてはゲームはできないのだ。このヘッドギアのことを【アクトリアル】というらしい。なぜこんな名前なのかはわからない。もとは、アルファベット表記だったから、英語とか意味のある言葉なのかもしれない。気になるには気になるが、英語とか嫌いなので調べようとは思わない。

 色が複数あって、俺は黒のアクトリアルである。

 アクトリアルは頭からすっぽりと被っているため、キャラメイクでリアルモジュールの作成が可能となった。自分でパーツを選び、自分だけの、世界にひとつだけのキャラクターも作れる。

 世界観は、異世界ファンタジー。魔法も存在していて、空を飛べる魔法もあるらしい。非常にたのしみだ。


 高校受験に合わせ、ゲームをやっていなかったのだが、高校生になり、勉強にも難なくついていけているということで、親父が買ってくれた。 自分もやりたいからと買ったついでに俺のも買ってきてくれたらしい。どういう風の吹き回しなのか。


 そういえば、みゃー姉もやってるんだっけ?確か、大分強いとか自分でいってたな。


 みゃー姉──相川深夜(みや)は、俺の姉である。年は確か、二十歳だったかな。仕事はしてないし、大学とかにも行ってないんだよな。何してるんだろ、今度聞いてみよう。


 このゲームには、ベータテストがなかった。だから、今からはじめても、みゃー姉を追いこせるかもしれない。


 早速ゲームを始めた俺だが、キャラをどうするかを決めていなかった。

 昔は、ほとんど男性キャラでやっていたが、今回は女性キャラにしてみようと思う。

 やっているうちに男性キャラがいいと思ったら、変えればいいだろう。“化粧箱”とかいうキャラを作り直せる課金アイテムがあるとのこと。ならば、女性キャラにしてしまおうと決めたのである。


 キャラ作成には時間をかけた。

 まず始めに考えたのが、美人お姉さんキャラか幼女キャラか、ということだった。

 妹キャラはダメだ。『妹』や『姉』だと、設定を考えなければならない。例えば、背が低い妹など。しかし、それならば、幼女キャラでいいわけで。それに、妹って、どう設定すればいいのか。どうすれば、妹になるのかがわからない。ま、それもいいのだが、俺が好きな属性は、姉(歳上姐さんキャラ)と幼女。幼女とか犯罪、と思わないで欲しい。


 そういえば、俺の友人には、ロリコンが多数いるな。その中でランキングを俺はつけていた。

 それの影響か。え、なに?その友人らがロリコンになったのは、俺のせいだって?はははっ。何を言っているんだ。そんなわけ、そんなわけけけけけ、ななななななななないだろう!?。

 失礼、取り乱した。

 しかし、あれだな。姉属性の方には反応を示さないのだな。

 え?俺も姉属性だから、だと?


 ──────────友よ。


 あーはいはい。そんなことはどうでもいいんですね、わかりました。




 兎に角、家に帰った俺は、すぐさまヘッドギアを被り、ベッドに横になった。バイザーを出し、目を瞑り───


 カチッ


 スイッチを入れる音がしたかと思うと、俺の意識は、奥深くへと落ちていった───




 ───目を開ける。

 途端に白光が視界を遮る。慣れてくると、そこがどういう場所なのかがわかってきた。

 辺り一面真っ白。何もなく、何かある。矛盾も矛盾ではなくなるような、不思議であり不思議ではない場所。遠近も儘ならなず、ふらりと、ふらつきそうになる。ここが果たして、四角い箱の中なのか、はたまた円柱の箱の中なのか。もしかして、隅なんてものはないのではないか。

 そんなことを考えてしまうが、今はそれところではない。


 ──ここは、どこだ。


 そう言う。声が出ず、ただの口パクになってしまったが。

 確か俺は、【D・World】をプレイしようとしていたのではなかったか。

 そこで考えにたどり着く。もしかして、ここが、その、【D・World】の中なのではないか、と。


 ピコン


 メールがきたような音がした。振り向くと、そこには、さっきまでなかった、青白い透明な硝子のようなパネルが浮いていた。


 〈はじめまして〉


 どこからか聴こえる女性の声とともに、パネルに文字が浮かび上がってきた。


 〈そして、ようこそ、【D・World】へ〉


 どうやら、ガイドのようだ。


 〈わたしは、プレイヤーガイドAI、零号機スズネといいます〉


 スズネ──日本のゲームだからかな。ファンタジーだからといって、ここまではさすがに、名前に凝ったりはしないのだろう。いや、ファンタジーもののアニメでスズネってキャラいたな、そういえぱ。そう考えると、おかしくはないか。ルリとかもいるし。


 〈では、早速、ご説明をさせていただきます。キャラクター設定を行ってください〉


 ポン


 音が聴こえると、プレイヤーネームを書き込むパネルが現れ

 〈プレイヤーネームを入力してください〉


 名前名前、ね。アイナ、でいいかな。相川の『あい』と茉那の『な』をくっつけただけだが。安直すぎたか?

 基本俺は、ネーミングセンスがない。だから、ゲームキャラを考えるのは、大変だ。ならば、同じ名前を使えばいいだろうと思うだろうが、そうしない理由がある。


 同じ名前のキャラがいるのって、怖い!


 え?そんなことか、だって?俺にとっては、死より怖いことだ。

 さて、するか。

 キーボードを打つ。


 『アイナ』


 〈続いて、性別を選択してください〉


 『女』


 これは、確定事項だ。


 〈次の作業に移ります。種族を選択してください〉


 目の前に、パネルがまたでてきた。今度は、種族名が書かれたものだ。

 それにプラスして、種族のモデルがでてくる。

 

 種族とは、人間、エルフ、ドワーフ、狼人、兎人、猫人、犬人、のことだ。

 情報によれば、人間にする人が多いそうだ。人間は、初期からパラメーターのバランスがよく、上げやすい。そして、全ての職業に対応していて、なろうと思えばなれるのだ。しかし他の種族は、初期のパラメーターバランスが偏ったり、職業でなれないものもあるため、メリットもあるがデメリットもあるのだ。ポイントで上げればいい話だけど、はじめのときは、人間のほうが扱いやすい。

 しかし俺は、敢えて人間にはしない。そうさな、猫人にでもしてみるかな。


 猫人は、順にAGl(敏捷性)、DEX(器用さ)、LUK(運)、INT(知力)が大きい。STR(強さ)やVIT(耐久力)は低い。また、LUKは、猫人にしかなく、レアとも言えるだろう。


 さて、猫人にタッチし、OKボタンを押す。


 『猫人』

 


 そういえば、ここの世界って、足とかって痺れたりするのかな?

 俺は、よく足が痺れるのだが、片方痺れるともう片方も痺れるという、なんともいやーな体質なのだ。

 痺れを治すとき、いつもこうやる。


 1、立つ。

 2、痺れている足をおもいっきり地面に着く。

 3、歩く。


 これで大抵すぐに治まるが、安心したところで反対の足が痺れ出す。もういやだ。



 〈次は、身体の設定です〉


 細かなパーツが描かれたパネルが出てくる。


 さて、容姿をどうするか。んー、やっぱ幼女にしようかな。なんか、「あねさん!」とか言われたいけども、他のプレイヤーと交流するつもりないし、いいや。フレンドは、数人だけでいい。

 背丈は、百三十強くらいにして、髪は──黒でいいだろう。真っ黒黒に。顔立ちを幼くしてっと。目の色は、赤にしよう。なんかカッコいいから。あ、左右違う色にしよう。右は黒で左だけ赤!いいね。厨二病臭くなった。肌の色は、白い方がいいな。褐色は、俺の好みではない。

 

 文字では簡単に終わるんだが、実際やると細かくて正直面倒臭い。でも、だからこそおもしろいのだが。


 〈初期装備を選択してください〉


 まずは服だ。パネルをスクロールし──なくてもよかったようだ。


 1つ、ゴスロリ(黒すぎる)

 1つ、ゴスロリ(赤すぎる)

 

 二着しかないのよ、これが。そのため、スクロールする必要がなかった。いやはや、ゴスロリねぇ。好きだよ?俺。しかしなぁ、なんで?ゴスロリの色違い二着。バグかなんかですか?運営さん、仕事してるのかな?ま、リリースされてから、1ヶ月くらいしか経っていないんだ、そんなこともあるだろう。いいんだよ、別に。人間は神様じゃないんだし、ゲームは、こういうのがあるからおもしろい。しかし、もうちょっとないのか、服。ゴスロリって、背丈を低くしたからなのか?

 って、運営に知らせることできないのか、これ。あとでできるかな。

 始めたら知らせるなり、買うなりすればいいだろうということで、取り敢えず、黒のゴスロリを選ぶ。


 感想。


 うん、黒いな。


 これで、黒のタイツと靴があれば・・・・・・

 って、あった。えっと、肘下まである黒い長手袋に黒のタイツ、黒のパンプスみたいなやつ。

 それをつけて、と。


 感想。


 改めて言おう。黒い。


 なんか、『黒の~』とか『漆黒の~』みたいな通り名がつきそう。カッコいい。左目は赤いけど。眼帯ないかな。あ、左目を魔眼ってことにして、能力を使うときだけ黒から赤に変わるとか、封印を解くと赤くなるとかできないかな。さすがに無理か。

 

 さて、お次は、武器だな。

 武器武器・・・・・・

 はぁ・・・・・・。GMコールのボタンはどーこだっ。あれれぇ~?見当たらないなぁ──こん畜生!なんなんですか!俺だけじゃないよね!?


 選択画面には、実物の立体画像とその武器の名前があった。


 『大きな鍵』


 それだけだった。それしかなかった。あとは何にもなかった。スクロールができなかった。ただポツリと、書いてあった。


 おーい。なんとかしてくれー。いや、マジで。ゴスロリに鍵だと?ふざけているのか!ここは──黒い傘だろう!

 ──え?そういうことじゃない?はい、わかっていますよ。事実を無きものにしたかっただけですよ!(しくしく)

 これ、どう使うの?ブンブン振り回す?というか、攻撃力どのくらいよ。


 『攻撃力 不明ですっ☆』


 なめてんのか!

 最後の星マークがうざい!なければいいのに!なんで付けた!?意味わからない!

 ああもう!

 とりあえず、この武器の──果たしてこれは、武器と言えるのか──ステータスを見よう。


 

 『大きな鍵』(特定条件達成に伴い、真名解放)

 攻撃力 不明ですっ☆

 防御力 +100

 

 [スキル]

 不明ですっ☆


 

 という具合だ。

 なんというか、完全に手を抜いたよな、これ。「攻撃力を設定するのめんどー」「防御力これでいいやー」「スキル?あった方がいいけれど考えるのめんどいー」みたないな感じでつくったのではないだろうか。

 まあ、なんにせよ、これしか装備できないのだから、しょうがないけれども。けれども。いや、しょうがなくはないな。何故ならば、追加すればいい話なのだから。

 俺はそれを装備して、全ての設定を完了した。


 〈最後に確認をお願いします〉


 ポン


 アバターの立体画像とステータス詳細がでてきた






 プレイヤーネーム/茉那

 性別/♀

 種族/霊<猫耳>

 職業/なし

 LV0

 HP30

 MP0

 ??10000

 STR 10

 DEX 95

 VIT 5

 AGL 500

 INT 47

 LUK 140


 スキル/???(特定条件達成に伴い、解放)


 称号/霊なる者、対となる者、鍵の主、メイドの主、幼女


 加護/


 〈装備〉

 武器/『大きな鍵』(特定条件達成に伴い、真名解放)

 攻撃力 不明ですっ☆

 防御力 +100

 [スキル]

 不明ですっ☆


 防具/『(クロ)刻羽(コクバ)(マイ)(ヒメ)』シリーズ

 身体全強化 +?????

 [補足]

 『攻撃強化』『攻撃超強化』『攻撃極強化』『防御強化』『防御超強化』『防御極強化』『ダメージカット』『物理攻撃特防』『物理攻撃受け流し』『魔法攻撃特防』『魔法攻撃受け流し』『速度強化』『回避速度アップ』『自動治癒』『治癒力アップ』『全異常状態無効&全異常状態攻撃無効状態付与』『ステータス誤認』

 [スキル]

 乞うご期待っ! ?????(特定条件達成に伴い、真名解放)







 うぉっ。なんだこれ。酷すぎる。酷すぎるというか、超人離れしてないか、これ!?


 1つ、名前、本名の件について。バグとかの問題じゃないと思うんだけど。本名なんて入力してないし。


 2つ、種族について。『霊』ってなんだよ。そして、『猫耳』ってなんだよ。猫人にしたはずなんですけど。


 3つ、ステータス!お前もか!──じゃなくて、さ。本来、種族ごとに初期ステータスが決まっていて、キャラメイク終了後、初ログインでステータスポイントがもらえ、そこで自分の好みのステータスにするっていうことだったはずだが。てかさ、こうしてみると、筋力と防御力低くない?


 4つ、スキル!初期スキルっていうのはなく、ステータスポイントと同様、初ログインでスキルポイントというのがもらえ、そこで自分でスキルを取得することができる。はずなんだが。なんだよ、特定条件って。


 5つ、なに?『黒ノ刻羽舞姫』って。防具ってことは、ゴスロリのこと……だよな?イタ過ぎるだろ。それと、身体全強化って、なに?しかも補足ってなんだよ、スキルじゃなくて補足?足りないものを補ったのかい?てか、『黒ノ刻羽舞姫』の性能チートレベルでは?あと、スキル。乞うご期待! ってなめてんのか!!


 6つ、称号!初めっから称号はもらえない!はず!もう、わけわからん!どれも気になりすぎるものばかりだ。最後の『幼女』ってのは、外見が幼女だからか?ま、おっさんキャラで『幼女』っていう称号持ってる人がいたら、ヤバイやつだよね。犯罪だよね。あーいや、俺もかなり犯罪者だよね。


 7つ、運ー営ーさーん!はい、運営さん、仕事してますかー?気づいてくださいよ!


 もうさ、どう反応していいのかわからなくなってきているのだけれど。バグひどくない?というか、既にバグとは言えなくなってきているのだけれど。バグではなく、そういう仕様なのか?某ラノベみたく、デスゲームみたいなことになるのかい?その前準備みたいな?

 ──そんな訳がない。

 ここは、日本だ。平和と言われているけれど、別段平和でもない日本だ。そんな国でつくったゲームなのだから──って、平和じゃないっていっているんだから、そういうこともあるじゃないか。なんて。


 ともあれ、とりあえず、全ての作業が終わったようだ。


 ポン


 <これでキャラメイクを終了します。何か質問はありませんか>


 質問、か。じゃ、バグのことを伝えなきゃな・・・・・・。GMコールは、使えないし。(そりゃぁ、まだゲームしてないからな。ウィンドウなんかないし)

 で、質────

 って、おい。喋れないから、質問しようにもできないじゃないか。


 <問題ありません>


 心読めんのかよ!すげぇな!


 <いえ、なんとなくです>


 勘かよ!余計にすげぇな!


 <いえ、わたしは、プレイヤーガイドですから、こんなの朝飯前です>


 朝飯前なのか。てか、ガイドさんが朝飯前っていうの、なんか違和感。

 というか、普通に話してたな。人間かと思ったわ。


 <もとは、人間です>


 まじか!?あ、あれか!?事故とか襲われたとかで、亡くなったか実験かで、脳を機械に繋いで、アバターを動かしているとか・・・!?


 <嘘です>


 ですよねー。AIですものねー。


 <頭、悪いんですか?>


 成績は、いいですがね。評定四以上しかとってないんで。


 <そういう意味では──まあ、いいです>


 なんなんですか。というか、スズネさん、本当に人間じゃないんですか?


 <ええ。日本の技術の賜物ですよ>


 なるほどねぇ。ま、いいや。じゃぁ、質問──じゃないんですけど、いいですか?


 <問題ナッシングです>


 いやいや。あなたがそんな言葉を使ってはいけないと思うんですけど。キャラとしておかしいですよ。


 <そうですか?>


 ちゃっかり俺の心を読んでるし。


 <勘ですよ>


 そういうことにしておきますよ。

 それでですね。言う必要はないと思うんですけど──俺がキャラメイクしているときに、バグがひどかったんですよね。


 <ああ、それですか。んー、・・・ぁ────に・・・>


 ん?何か言っている?聞き取れないな。


 <現在、システムに少し、異常が起きているらしいので、その影響かと思われます。つきましては、そのバグについて詳しくお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか。向こう・・・は今、対処に忙しいので、わたしの方でお聞きし、すぐに直せるようにしたいと思いますので>


 対象?システムの異常とかどうとか言ってたな。

 ええ、いいですよ、と二つ返事で応える。

 バグの話を一通り終えると、ガイドのスズネさんは、言った。


 <ありがとうございました。このあと、ゲーム内にあなたを移動させます。ステータスや装備のバグなどにつきましては、運営側の相談により、謝罪としてアイテムなどをお贈りさせていだだくことになるかと思います>


 大変なバグだが、しかし、ゲーム攻略に異常をきたすものではないと言っていた。そのため、一部を除き、ステータスや装備はそのままで、プラスで何かをくれるらしい。ありがたい。

 いやまて。チートレベルのスキルやらなんやらはどうすんですか。


 <ちょっと待っていて下さい。──────、あ、・・・・・・・・?──・・・・・・☆※※?~・・・───>


 運営側と話しているのだろうか──よく聞き取れない。

 すごいね、今の技術は。AIといっても、人間のように会話したり、振る舞ったり──そんなことができるとは思わなかった。もうはや、人間なのではないだろうか。そうではないとしても、人間になる前の段階、みたいな感じにしか思えない。だから、彼女は人間だ、と言われても、驚きはしないだろう。


 <─────あ、すみません。運営側に聞いたところ、そのバグはそのままのようです。プレイヤー自身に支障をきたさないバグは、今は対処しないとのことです。後に対処するかと言えば、しない可能性の方が高いですので、気にせずプレイしてください──とのことです。>


 えぇ。まじですか。そりゃぁ、俺的にはありがたいんですが・・・・・・。


 <そうですねぇ、妬みなどはあると思いますが>


 そう思うなら、何とかしてくださいよ。


 <それもまた、ゲームですから>


 裏切り者ぉ。


 <裏切ってはいませんよ?仲間ではありませんからね>


 そうですけど。まあ、いいです。諦めますよ。


 <隠していた方がいいでしょうね。頑張ってください>


 他人事みたいに・・・・・・あ、他人事か。


 <現在の時刻は、12時7分です。このままゲームをはじめますか?>


 12時か。昼飯食わなきゃだから、おちるかな。


 <了解しました。ログインしたときには、ここではなく、ゲーム内に存在する国のひとつ、グライザー王国のヤクヤノットという街の中央広場に召喚いたします>


 なんでそこなの?


 <システム異常のため、そこがシステム的には安全だったからです>


 サーバーみたいな感じかな。わかりました。いろいろとありがとうございました。


 <それでは、いい旅を>


 








 ログアウトするには、どうしたらよいのでしょうか?



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