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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

桜の木の下には死体が埋まっている

作者: サクラモチ

なんか思いついたので書いてみました。

「楓!桜の木の下には死体が埋まっているんだって!」

 茜は、屈託のない笑顔で話しかけてくる。今日図書館で読んだ本の内容の一つであろうか。

 幼なじみの茜の今のブームは、本を読むことらしい。毎日毎日その日読んだ本の内容をかいつまんで教えてくれる。茜はほんとにわかりやすい。多分茜が好きになったのは隣のクラスの秀才の町田くんであろう。

 町田くんといえば本の虫であることで有名で、いつも昼休みは図書館にこもっているという。私も本を読むようになれば、茜に振り向いてもらえるのだろうか・・・。

 私こと朝倉楓が幼なじみである羽藤茜への恋情に気づいたのは3年前の中学2年生の冬である。

 それはいつだったか、茜に恋愛相談を持ちかけられたときであった。相手はたしかサッカー部のエースであり、競争率の高かった先輩であった。私はその相談を受けたときに心臓が捕まれたかと思った。いきなりのことで訳もわからず少しパニックを起こしながら相談を切り上げてしまった。

 家に帰ってから姉にそのことを話すと

「あんたその先輩のことが好きなんじゃないの?」

 とあっけらかんといわれもっとパニックになった。なぜなら相手は名も顔も知らない先輩であったからだ。

 先輩は違う、となるとあとの可能性は一つだけだ。

(私・・・茜のことが・・・好き?)

 違うとは思いたかった。第一私と茜は女同士であり結ばれるのが難しいとわかっているからだ。

 しかしもう一方でストンと納得している自分もいた。

 しかも納得してしまうと茜との距離感がわからなくなってしまい、よそよそしい態度をとってしまうこともあった。

 結局その話は先輩が卒業していなくなってからは消えて、私と茜の距離は表面上は元に戻った。

 そして今また同じような状況に陥っている。しかし私たちももう1年で大学受験だ。恋などにうつつを抜かしている時間は無いのだ。だから、大丈夫だ、と思えば高をくくっていたのだろうか。


「町田くん!私と付き合ってください!」

 高校3年の四月桜が舞う並木道で茜は町田くんに告白をした。

「前々から気になっていたし僕なんかでよければいいよ。付き合おう。」

 しかも答えは”OK”

 何という茶番であろうか。自分の好きな人の告白劇をあろうことか目の前で見せられることになろうとは。


 そんな告白劇から私と茜の距離はまた広がってしまった。この動きは周りの人たちにはおかしく見えたようで、朝倉楓は町田のことが好きなんだ、というあらぬ噂が出ることもあった。

 しかしもうそんなことはどうでもよかった。私と茜が今の関係以上になることは一生無いのだろうと少しでも思ってしまったのだから。


 いつかこの恋心が消えて私と茜の距離は、もとの”友達”に戻る日が来るのだろうか・・・?

 高校を卒業し、大学に行って、就職をして、茜が町田くん(私の全く知らない人かもしれないが)と結婚をするようになったときに心の底からお祝いの言葉をかけられる日は来るのだろうか・・・?

 今はわからない。

 だが、多分私は桜を見ると思い出すだろう。この初恋とそのかなうことがなかった悲しみを。

(茜のいったとおりだったよ・・・。)

 桜の木の下には死体が埋まっている・・・。

 私という人間の死体≪おもい≫が



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