008 巨大バッタ改め、緑ホッパー視点2
読んでいただき有難うございます。
語彙力ありません。
更新が遅いです。
以上の事をご了承の上、ご覧下さい。
ふぅ……漸く目的のスキルを見つけましたよ。
それにしても、この魔物の巣窟で休眠に陥るまでMPを使うとは、この人族はアホなのでしょうか。
しかし、枯渇寸前だったMPも分け与えました。
そのうち目を覚ますでしょう。
それにしても、このゴーレムというスキルは興味深いですねぇ。
ワタシの中に流れ込んできた言語の数々。
これも[ゴーレム]によるものと推測します。
中でもこの漢字が素晴らしい。
1文字が様々な意味と読み方を持ち合わせている。
その上、この細かさ。
これはもう芸術の域に達してると言ってもいいでしょう。
それにしても、レベル1で、特殊スキル……彼の者を彷彿させます。
そう、あれは数百年前のこと……。
この星を照らす恒星が突如その姿を消した為に訪れた暗黒時代。
昼夜問わず闇に包まれた極寒の大地。
植物は枯れ、寒冷耐性を得られぬ者は倒れていく。
あの頃は肉食で本当に良かったと、今でも思います。
本当にスキル無しでは生き延びられない時代でしたね。
そんな中、世界を救った救世主。
あれは人の国に喚ばれた者達の1人だったようですが、自らの命を代償に恒星を召還し、魔力枯渇で亡き者に。
その者を泣きならが囲む人族が、数十名おられました。
御遺体はその国で手厚く葬られ、石像まで建てられたと風の噂で聞き、数十年後見に行きました。
その国の歴代の英雄の石像が飾られている建造物。
その大広間の中央にその像は立っていた。
両手を上に掲げ、恒星を喚ぶ姿で造られた石像。
天井には恒星を模して造られた光る鉱石の塊。
石像の台座に彫られた『我が国救いし魔王セト』の文字。
その国でしばらく情報収集しましたが、魔王はまだ召喚された直後で、この世界で魔力枯渇がどういう結果をもたらすかも解からずに特殊なスキルを行使したとか……。
本当にこの者と境遇が似ていますね。
もしや、この者も召喚者?
だとすればレベル1でこの森の奥地にいる事も頷けますが……。
そうすると、自身のスキルを理解していない可能性が高いですねぇ。
もし、そうであればこの退屈な森から抜け出すチャンスでは?
……この者が目覚めたら、試してみますか。
そうですね……ワタシはこの者にゴーレムにされました。
確かゴーレムはダンジョンで生成され、ダンジョンの命令で動く魔物です。
謂わばダンジョンの所有物。
ここは、この者の所有物になっている体で話てみましょう。
いつの間にか夜が明けて、朝日が差し始めていた。
おや、夜明けですか。
「う、う~ん」
おや、漸く目覚めるようですね。
試しに声を掛けてみますか。
「あぁ、うん。おはよう」
……普通に返してきましたね。
いえ、まだ起床直後。
寝ぼけているのでしょうか、焦りは禁物です。
ここは平静を保ちましょう。
「クレイ?」
クレイとは?
まさか、ワタシの事ですかな?
ワタシをそう呼ぶ者はいませんし、この者に名付けられた記憶もありません。
ですが、視線は真っ直ぐワタシを見ていますね。
……ワタシは所有物の設定です。
素直に聞いてみましょう。
「ワタシはまだマスターに名を授かっていません」
なにやら、辺りを見回しているご様子。
そういえば、ワタシそっくりの土塊がいましたな。
「もしかして昨日のバッタ?」
「ご名答」
ふむ、やはり自身の意思で行使したのでは無さそうですな。
なにやら、考えているようですが。
は? 何と言いました? 襲った?
ワタシが、このレベル1の人族を?
何をバカな事を……。
「池の前にいたボクに向かって飛び掛かって来たじゃないか」
はて?
あぁ、そういえば樹木の前に居たんでしたっけ?
この誤解は解いておきましょう。
池の側の樹木を見るや、顔がどんどん青ざめていく。
「……じゃあ、ボクの勘違い……」
どうやら、誤解は解けた様ですが、先の状況ではワタシに非がありますね。
「いや、いやいやいやいや、確かに怖かったよ?」
あれくらいで怖いなどと、大袈裟な。
「完全に死を覚悟したよ?」
死? 跳ねただけで死の覚悟を決めてしまわれるのですか?
「でも、バッタの生涯に幕を閉じさせてしまったんだ。勘違いで済ませていい問題じゃないだろ!?」
バッタの生涯が終わる?
生涯とは死ぬまでの事でしょう?
確かに死を覚悟いたしましたが、死んではいませんし、何よりレベル・スキル・体力・魔力、全てを備えたまま別系統へと進化しています。
これはワープ進化と称するべきでしょう。
むしろ、バッタの進化系統樹が終了しているワタシとしては新たな可能性を与えて頂き感謝したい所……。
この者、やはり自身のスキルを理解していない。
これは、利用させて貰いましょう。
こうして、ワタシは自身をマスターの所有物であると偽り、この退屈な森を抜け出す計画を実行に移しました。
それにしても、断られても同行するつもりでしたのに、あっさり許可されたどころか、喜ばれましたね。
まぁ、レベル1の人族ですから。
護衛が着いたとでも思っているのでしょうか?
この者はワタシを初めに『クレイ』と呼びました。
だが、それはワタシの名ではない。
それに、『クレイ』は土塊の意味でしたかな。
出来れば、ワタシに相応しい名が欲しい所ですな。
と、いう理由で、名を要求。
『グリーンホッパー』という名を授かりました。
ふむ、グリーンは緑、ホッパーはグラスホッパーからきたのですね?
略してグリーンホッパー。
要約すると緑のバッタてすか。
そのままですな。
まぁ、悪くは無いですが、出来れば漢字を使って頂きたかった。
彼の者から告白されました。
やはり、異世界の人族の様ですが、先の魔王とは色々と異なるご様子。
当人は召喚では無いと言っていますが、召喚以外に世界を渡る術があるなど聞いたことがありません。
肉体が異なる事も気になります。
樹木巡りのついでに、原因を探っても良さそうですね。
それにしても、このゴーレムというスキルは把握しておきたい。
そこで、ワタシはマスターに提案します。
この森に沢山いるサンプルをゴーレムスキルの実験台に使うことを。
すると、マスターはあろうことか、この謎のスキルを封印すると言っています。
何を言っているのでしょうか、こんな面白いスキルを封印するなど赦しませんよ。
ここは何としてでもこの森を実験に使って貰わなくては。
どうやら、マスターは魔力枯渇で死ぬ可能性を恐れている。
ならば、減少した分だけ、ワタシが回復させる事を提案します。
なるほど、一度で使いきる可能性もありますね。
でも大丈夫です。
ワタシには蘇生スキルがありますから、御遺体の魔力を回復させた後、蘇生させれば問題はありません。
さぁ、これで実験していただけ……他人の生涯を勝手に終らせていい筈がない?
死なないのですから生涯ではないのですが、ここはあえて合わしておきましょう。
このワープ進化を生涯と現すならば、ワタシはマスターの手で一度終わっている事を告げます。
少々脅迫気味のゴリ押しですが効いたようです。
止めの一手、それならば本人が納得していれば問題ないかと尋ねます。
マスターから本人が納得していれば喜んで実行すると言質をいただきました。
森の魔物達には、伝令で報告いたします。
『力が欲しいか? 欲する者は我が元へ集え』
これで、少なくとも強さに飢えている亜人共が集まるでしょう。
嘘は言っていませんよ?
スキルが増えれば、それだけ戦闘での対応力が増えますから。
それに、心なしか肉体強度も上がります。
案の定、最前列に並んだのは亜人種ゴブリン共ですか。
亜人種は基本的な魔物とは進化の仕方が違いますからね。
ジョブ進化と呼ばれていますが職を得た時にその職に相応しい姿に進化し、能力値も変化するのです。
ただ難点は職によっては対応する武具も無いといけないようです。
ゴブリンですと……。
メイジゴブリンになる為には、魔法の杖が。
ソードゴブリンになる為には、金属の剣が。
と、まぁ少し面倒な種族ですが、逆に考えれば進化しやすい種族でもあるんですよね。
武器が手に入れられればいつでも進化できますし、武器の核が高ければそれだけ基礎値が高い魔物に進化できるわけです。
例えば……。
魔法の杖は、魔力を多く含む樹木を加工して造られたなら、メイジゴブリンではなく、ウィザードゴブリンになります。
金属の剣も、魔力を含む金属であればナイトゴブリン……装飾にドラゴンの素材が使われていればドラゴナイトゴブリンになれると聞いたことがあります。
ん? 防具も必要なんでしたかな?
入手方法は主に魔物狩りから奪う事ですかね。
我々の命を奪いに来るのですから、奪われる覚悟も勿論ある筈ですよね?
あとは……スライムも特異な進化をしますね。
彼らの進化形態は食文化と呼ばれます。
……間違えました。
食進化でしたね。
スライムは雑食というより、なんでも食らう。
万物全てが食の対象らしいが、好みがあるようで肉好きから魔法好きまで様々。
好みの対象ばかり食していると、その食材そのものの特性を持った形態に進化いたします。
土ばかり食べているとマッドスライム。
水ばかり食しているとウォータースライム。
といった具合ですね。
因みに嫌いな食材が弱点になりますが、それ以外は全て糧。
物理攻撃も無効ですからほぼ無敵なんですよね。
それ故に、わざわざ相対する者など魔物狩りにもいません。
……希にいましたね。
無知なのか、彼らの素材が欲しいのかは解りかねますが。
大抵糧として消されますね。
好みによりと言いましたが、好みの知識によっても少し変わるようで、なんでもいいから肉を食らっていると、ミートスライム。
ゴブリンの肉のみ食らっているとゴブリンスライムになったりします。
ゴブリンに擬態し、部族を内から消していく。
まぁ、肉好きなスライムはこの森の中央には居ませんから助かってますがね。
いない理由ですか?
この森は中心に向かうほど魔力濃度が高くなっていきます。
発生源がどこなのかは未だに解かりませんが、土や水にも魔力が多く含まれています。
その影響からか、そこに茂る植物は異常な成長を見せていて、それ故にある程度の生態系が決まっています。
外周は主に肉食系の集まり。
少し奥に入ると雑食系か一部の戦闘狂、戦闘狂が外周に居ないのは、外周を抜けられる強き者との戦いを好むそうです。
そして、中央は草食系が固まっています。
あぁ、あと強い魔力のせいで発生した植物系もいますね。
彼らは土に含まれる魔力を養分とし成長する為、物凄く旨いのですよ。
……コホン。
スライムの話でしたな。
今の話で解ると思いますが、中央は魔力を好むスライムが多く、肉を好むスライムは外周に行き易いのです。
今中央にいるゴブリンは外周から逃げてきた者達。
そう、ゴブリンスライムからね。
数年前に発生した、ゴブリンの大量失踪。
お陰で生態系が随分荒れました。
ワタシも森の統治者ですからね。
面倒でしたが、件のゴブリンスライムと交渉を試みました。
結果、決裂したので消しましたがね。
まったく、1日1体は食いたいなどと、貪欲が過ぎます。
いくら生産性の高いゴブリンでも1日1体だと森のゴブリンが絶滅してしまいます。
彼らが減り過ぎると統治者としてのワタシの仕事が増えてしまう。
そういえば、脳筋共は今回来てませんね。
来ているのは、中央の者ばかり……。
あ、そういえば、距離がありましたね。
それに、脳筋勢は鈍足。
中央に着くまでに、1月は掛かりますかね。
着いた頃にはワタシは居ませんね……。
まぁ、大した問題ではないので放置しましょう。




