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048 ゲリオス=ガメツインの裁判

「では、これよりゲリオス=ガメツインの大量殺人罪についての裁判を執り行う」


「あーあーあー、言ってたな。そんな冤罪」


 冤罪、まぁ事実そうなんだけど、お前もボクに冤罪を着せたんだからお互い様って事で潔く受けてよね。


 というか、聞いた話だと人に冤罪食らわせて我が物にするのがゲリオスの常套手段らしいし、天罰と思いなよ。


「名誉毀損も良い所だ。いくら俺様にカネを回す手段とは言え、この汚名代は高くつくから覚悟しとけよ!」


 カネを回す手段?


 裁判官にもゲリオスの方を持つ者がいるんだろうか。


 いや、いるんだろうな。


 でなきゃそう何度も裁判で勝利なんて出来ないだろうし……。


 あれ? この裁判、大丈夫なんだよね?


 サムは今更ながら不安になってきた。


「先ほど、この魔石を何処で入手したか尋ねた時に、貴方は何とお答えになったか覚えていますか?」


「俺が自分で仕留めたと言ったんだ。何か問題あるか?」


「ここにある100石の魔石全てを貴方が?」


「そうだと言ったろ。さっきと同じ事を聞いてどうする?」


「嘆かわしい」


「はぁ?」


「ゲリオス=ガメツイン。貴方を大量殺人罪で有罪。爵位剥奪の上、身分を犯罪奴隷に落とします」


「おいおい、話が繋がらないぞ? お前、さては馬鹿だろ?」


 この流れで解らないお前が馬鹿だとボクは思うよ?


「特定の生物からのみ剥ぎ取れると申したハズですが?」


「それが何だと……まさか」


「白々しいですね。貴方は特定の生物が何かご存知だと、ご自身で発言したではないですか」


「あ、あれは……」


 絶望の顔を裁判官に向けていたが、突如サムの方を向くと、


「このクソガキがぁ! 俺を嵌めやがったな! 俺は魔石なんて知らねえ! 全部あのガキのもんだ!」


「それは先ほど貴方の物と確定したではありませんか」


「あんなのは無効だ!」


「貴方は神に虚偽はないと誓いました」


「くそぅ! くそっ! くそっ! くそがぁ!」


 大丈夫そうだな。


 共犯者は手を引いたのか、元々いないのか。


「嘆かわしいな」


 渋い声の老人が裁きの場に割って入った。


 裁判官達が立ち上がり深々と頭を下げている。


「誰だテメェは!」


 裁判長が頭を下げているのが目に入らないのだろうか、ゲリオスは入ってきた老人を怒鳴り付けた。


「おや、私を知らないのかね?」


「テメェなんか知るかよ! こんな老人さっさとつまみ出せ! こんな裁判は無効だ!」


 もう言っている事が無茶苦茶だ。


 確かに老人もフード被っててボクからは灰色のひげが見えるだけで誰かわかんないけどさ。


 でも、イクスさんも観客側のヴィオさんも立ち上がり頭を下げているんだ。


 大分偉い人だと思うんだ。


 そもそもこの裁判、伯爵級以上の身分が無いとそもそも入廷出来ないわけだし。


 入廷できない理由は無色魔石にある。


 無色魔石が人から摘出される事実は伯爵(クラス)以上でないと明かされない。


 伯爵ではなく伯爵級だ。


 ギルドマスターは伯爵と同等の扱いをされる。


 グランドマスターともなると侯爵級だ。


 これは爵位持ちだけならず世間一般の常識らしい。


 ボクとゲリオスは当事者だから居なければならないが、出廷の時には契約書というか契約をさせられる。


 そんな中、イクスが挙手をした。


「どうかしたかね?」


「発言の許可を頂きたく」


「好きに喋ると良い。今日は公的な立場で来ていないのでな。立っているのも辛かろう。席につきたまえ」


「誰なんだ、このクソジジイは!」


「では陛下(・・)、何故ここに?」


「へ?」


「なに、ガメツイン子爵があまりにも横柄という情報を得てな。一度見に来たのだ」


「へ、陛下ぁぁあ!?」


 うわっ、マジか。


「我が国の貴族が国民から不当に搾取している。しかも魔物狩りを主な仕事とする冒険者を中心にだ。そんな話を聞けば真偽を確めたくなるのも道理だろう?」


「その情報の出所は……」


 ゲリオスの顔から脂汗が滴り落ちる。

 

「汚いラードを垂らすなよ」


 おっと、つい口に出てた。


 隣にいるイクスさんが睨みながら震えている。


 悪かったって。


「ノーモア=ガメツイン。貴公の弟だ」


「ノーモアだと!?」


 ゲリオスは観客側を睨み付けた。


 その視線の先にはオークとは似ても似つかない、青年がいた。


「貴様! 俺に何の恨みがある!」


「なぜ無いと思うの? 昔から変わらないよね兄さんは。自分の物は自分の物、人の物も自分の物」


 どこのジャ○アン理論?


「何を当たり前の事を」


「それが間違いだよ。人の物が自分の物の訳ないだろう?」


「ノーモア。お前は教育を受け直せ」


「それは兄さんだよ」


「俺たちは子爵だ。下民の者共は命だろうが何だろうが差し出す。それが当然だろう?」


 周囲がざわついている。


 「何をバカなことを」「頭がおかしいのでは」などと聞こえてくる。


「ふむ、面白い考えをするな」


 国王の発言にざわつきが収まり周囲は静まった。


「お、王よ、それはどういった意味で……」


「なに、そのままの意味だ。その思考が気に入った」


 周囲は再びざわつき始めた。


「そうだろ? それが上に立つ者の特権だ。ククク、ジジイのクセに解ってるじゃねぇか」


「陛下! お気を確かに!」


「ゲリオス、お前の心臓を捧げよ」


「は? いやいやいやいや……バカか?」


「何故だ? 我は国王だ。我より下、国民は我の物なのだろう?」


「そんな訳ないだろうが!」


「お前が言っているのはそういう事だ」

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