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046 召喚された英雄、魔王セト

不定期更新です。

語彙力ありませんが、ご覧いただいている皆様に感謝。

m(_ _)m

「星を召還して魔力枯渇で死んだんだよね?」


 イクスが「そう」と相づちをうつ。


「なんで英雄?」


「なんでって、今の子供は英雄について習わないのかぃ?」


「シーちゃん」


「シーちゃんはお止め!」


「彼は記憶喰い遭遇者なんだ」


「なんだぃ? 記憶喰いってのはそんなのもくっちまうんかぃ」


「人により度合いが変わるけど、サムくんはほぼ全て失っているからね」


「可哀想に、それで英雄の事も忘れているってのかい」


 食われているから忘れているわけでは無いんだけど。


 否定も面倒だし、似たようなものだからいいか。


 と思考し、イクスは「うん、そうだね」と軽やかに返答した。


「なら私が簡単に説明してあげようかね」


 今より数百年前にサンライトが突如姿を消した。


 それにより、夜だけの毎日が続き気温もみるみる下がっていった。


 植物は枯れ水は凍りつく。


 これを何とかしようと召喚を行ったのがエルフの国だ。


 幾人もの犠牲を払い、召喚した者達。


 その1人が魔王セト。


 魔王セトはこの世界の危機の説明を受けて、スキルを行使。


 見事サンライトを召喚したが、星を召喚するには膨大な魔力が必要だったのだろう。


 魔力の使いすぎ、魔力枯渇により命を落とした。


「故に彼は星を救いし魔王と呼ばれているのさ」


 姿を消したことで夜が続き、水が凍る。


 つまり、サンライトとは太陽の事か。


 太陽ね、太陽……。


 召喚できるの?


 恒星ってヤバイサイズのはずだ。


 そりゃ魔力枯渇にもなるわな。


「シーちゃん」


「シーちゃんはお止め!」


「1つ訂正」


「おや? 何か違ったかい?」


「うん。彼じゃなく彼女」


「え? 女性だったの?」


「見た目は確かに少年っぽかったけど、鑑定したんだから間違いないよ」


「見た目? 鑑定? まさかイクス、その場にいたの?」


「居たよ。だって召喚の儀を行ったのはエルフ国だよ?」


「いや、だって伝承では解っているだけでもは800年以上前よ?」


「…………………………はっ!?」


 イクスはとても判り易く「しまった!」という顔をした。


「イクスは年齢を言ってくれないから、今まで語られる歴史でおおよその年齢は想像してたけど」


「まさか、800才を越えているとはな」


「エルフは千年、ハイエルフは万年と言うだけはあるわね」


 鶴は千年、亀は万年。


 似たようなことわざがこの世界にも。


 ……ことわざか?


 本当に万年は生きないよな?


「よしてくれ」


 だよな、ことわざだよな。


「そこまでジジイじゃないよ」


 いるんかい!


「なぁハイエルフって実際は何歳からおっさん、爺なんだ?」


「人それぞれだからなあ。私の様に見た目若ければ幾つでもお兄さん(・・・・)だし、私より若い兄弟でも老け顔だと妹達からオジサン呼ばわりされているよ」


 お兄さんを強調して言うのは、気にしてるって事かな。


「若いってどれくらい?」


「それよりも兄弟が何人いるのか気になるねぇ」


「さぁさ、今はそんな話の場合じゃないだろう? 魔石の話だ」


「そうね。それで、どうするの?」


 イクスは含みのある笑みを浮かべた。


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