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043 商業ギルド

不定期更新です。


しばらく、室内での会話が続きます。

 このギルドで受付に言われた事を説明。


「ホルンか、あのバカが。どこの子爵だ」


「子爵なんだよね?」


「え? うん、受付のお姉さんはそう言ってたよ」


「なら、ゲリオス子爵の可能性が高いな」


「あぁ、確かに」


 ヴィオさんがとても納得したように頷いた。


「誰ソレ?」


「彼の説明は後に回そう。それよりも試運転されないようにウチの全職員と……商業ギルドにも通達しとこう。ついでに“もし”来たら足止めも」


 イクスはそう話ながらも、ギルドカードでメッセージを送っている。


 よく話ながら別のメッセージ送れるな。


「しかし、足止めしても、返却は難しいだろ」


「ゲリオス子爵の可能性を認める辺り、冒険者ギルドでも厄介な貴族なんだろう?」


「手を焼いてるよ」


「ここらで退場してもらわない?」


「どうやって?」


「ホルンちゃんと同じ手でいく」


 その返答にサムとヴィオは頭にハテナを浮かべた。




 それから数分後、イクスのギルドカードにメッセージが送られてきた。


 イクスの判断は間違っていなかった。


 王都の商業ギルド本部に持ち込みがあったのだ。




「おい、いつまで待たせるんだ?」


 腹の出ている男性が個室のソファーに腰掛け、誰かを待っている。


 そこへ、ドアをノックし入ってきたのは、年を召した淑女とカートを引く若い女性。


 淑女が男性の対面のソファーに腰かけ挨拶した。


「お待たせいたしました。ゲリオス子爵」


「なんだよ。ババアかよ。さんざん待たせてこんな老いぼれ寄越すとは商業ギルドも堕ちたなぁ」


「あなた、ここを娼館と勘違いなさっているのかしら?」


「んなわけねぇだろうが。鑑定して貰いたくて来てんだよ。鑑定。わかる? こんな個室に通されて、やたら待たせると思ったらババアが来る? 人を馬鹿にするのも大概にししろよな」


 若い女性がカートからお茶を机に移している。


 その女性の顔が気に入ったのか、


「ま、ババア1人で来てたら殺してたが、そこの別嬪な姉ちゃんが俺の隣に来てくれるなら許そうか」


 視線を向けられた女性は少し顔をひきつらせた。


「あら、物騒。あなたは下がっていいわよ」


「は、はい。ありがとうございます」


 淑女の一言で女性は、淑女に感謝を述べて退室した。


 この対応にゲリオス子爵はキレだした。


「おいおい、話し聞いてなかったのか? カワイイ娘隣に来させりゃ許すつったのに、帰らせるとか頭に虫でも湧いてるんじゃねぇのか?」


「あなたに許されようと許されまいと、私達には関係がありませんので」


「俺は子爵だぞ?」


「下から数えた方が早い爵位ね」


「貴様! 俺を愚弄するか!」


「ありもしない権力を振りかざすのは貴族が悪く思われるから止めていただけません? 貴族が全てあなたの様だと思われると迷惑ですの」


「不敬罪で訴えるからな! 覚悟しとけよ!」


「どうぞ」


 そんなやり取りをしていると、ドアの向こうからドカドカと大人数の足音が聞こえてくる。


 その足音はこの個室の前で止まり、ドアをノックする音が聞こえた。


「はい。何かしら?」


「私は衛兵のマークスといいます。こちらに、無色の魔石を持ち込んだ者がいると伺いまして」


「なんだ? 俺も有名になったなぁ」


「あらあら、早いのね」


「これはグランドマスター様」


 扉を開けると扉の向こうに来ていたのは5人の衛兵だった。


 先頭に居た衛兵は淑女を見て敬礼をし、後ろの4人も合わせて敬礼をした。


「なんだ? ババア、ギルドマスターだったのか。はっ、たかだかギルドマスターだろうが、そんな奴より俺様に敬礼しろよな」


「たかだか? グランドマスター様、あの者は?」


「えぇ、あの人が無色の魔石の鑑定を依頼してきたゲリオス子爵ですわ」


「アイツが!?」


 兵達が目の色を変え子爵を睨み付ける。


「おいおい、アイツとは失礼じゃないか。俺様はゲリオス=ガメツイン。子爵様だぞ?」


 マークスは2名の衛兵に、商業ギルドのグランドマスターを守るよう伝え、残りの2名にこの出入口を守るよう指示した。


「お前達はここを守れ、私が先陣を切る。ああ見えてA級犯罪者だ。用心しろ!」


「「はっ!」」


「なっ!?」


 突如、犯罪者呼ばわりされた子爵は、驚き、声をあげた。



 訳がわからなかった。


 部屋に入ってきた衛兵は槍先を俺様に向けて、にじり寄ってくる。



 子爵は焦った。


 焦って逃げ出してしまった。


 入ってきた出入口は固められている。


 唯一の外へ通じる道……窓へと走り、重い身体でなんとか窓をよじ登り乗り越え、外に出た所で待機していた他の衛兵に捕まった。


「何をする!」


「ゲリオス=ガメツイン。大量殺人の疑いで貴様を捕縛する」


 大量殺人?


 コイツは何を言っているんだ?


 はっ、読めたぞ。


「ふははははっ、冤罪か? 望むところだ。これでまたカネが入ってくる。がはははははっ!! 天は俺様に味方する!」


 ガメツイン子爵は大笑いしながら、詰所まで連行されていった。


「まったく、なんで私があんなのの対応をしなきゃならんのかね」


 商業ギルドのグランドマスターは「さてと」と続け、


『件の者は詰所に連行された。モノは預かっているがどうしたら良い?』


 と、ギルドカードにてメッセージを送った。


 その数秒後に、イクス達が部屋に転移してきた。

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