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「それで? 何故私の本名を言う必要があった?」
ヴィオさんが圧のある笑顔でホルングランドマスターに説明を求めている。
「むしろ、ヴィオラちゃんが偽名使ってるのが悪いんだよ。プンップンッ」
「テリトリー家の一員と思われたくないんだ。説明したよな?」
「聞いたけどさー。別に良くない?」
「何よりホルンがグランドマスターだからな」
「酷い」
「コネで入ったと思われたくないんだよ」
「ぶー。わかったよ。もー」
「まったく、この支部の皆々にはもう伝わってしまっただろうから、転属を希望する」
「じゃー、ウチの秘書で」
「コネは嫌だと言った筈だ人の話を聞いてるか?」
「純粋にウチが欲しいんだよ」
「却下」
「ぶー」
「それで、ボクが除名の理由はいつ聞かせていただけるので?」
「何?」
ヴィオさんが、想定外という声を漏らし、ホルングランドマスターを睨み付ける。
「それは私も寝耳に水だ。説明を求める」
「ヴィオラちゃん! こんな殺人鬼ギルドに招かないでよね! 冒険者ギルドの品位が損なわれるじゃない!」
「野蛮な冒険者に品位を言われてもな。それでサムが何をしたと言うのだ」
「あ~ら、本当に何も報告受けてないのね。コイツ人を100人以上殺した殺人鬼よ」
数秒の沈黙が続いた。
その沈黙を解いたのはヴィオだ。
「まさか、サム=クゥエルが殺人鬼だったとはな……残念だ」
「え? こんな突拍子もない話、信じるの?」
「信じるも何もサム=クゥエルは記憶喰いの被害者だ。まさか過去にそんな大罪を犯していたとは……」
「あら、記憶喰いの遭遇者だったの?」
「ん? 記憶喰いの被害者リストから面が割れたのではないのか?」
「違うわよ。コイツが無色魔石を納品したから捕縛する為に転移スキル使用して来たのよ」
「無色魔石……あぁ、人族から希に出る魔石か」
「え? 人にも魔石あるの?」
「あ~ら、白々しい。100石も納品して知らないとでも? あっ! 記憶喰いの影響で忘れたのか。なるほどね。忘れたから、納品しちゃったのね。そうなると犯罪者を炙り出してくれた記憶喰いには褒賞をあげたいわね~」
「となるとただ持っていただけの可能性もあるな」
「え~! 100石も持ってて何も知らないって事はナイナイ。関係者ではアリアリでしょ。黒に限りなく近い黒って所ね」
それ黒じゃね?
「仮にもグランドマスターが確かな証拠なく、処分を決めるとはな。サム。魔石はどこで入手したのだ?」
「ボクが乗ってたゴーレムいたじゃん?」
「ゴーレムに乗ってるの? テイマー?」
だんだん話し方がウザイと感じ、ボクはホルングランドマスターは無視して話を続ける事にした。
「今はグリンってゆーんだけど」
「ソイツが所持していたのか?」
「どっかの村を襲わせたんでしょ~? この近くに人が100人いそうな村は~」
ホルングランドマスターは空中にマップを開き、近辺の地図を確認しだした。
ヴィオさんもホルングランドマスターの発言は無視しだした。
相手をしていると話が進まないと考えたのだ。
「造って貰った」
「アハハハ、嘘つくならもっとマシな嘘つきなよ~。虚言癖ありっと」
「それを証明できるか?」
「呼んで造って貰えばいいと思うけど」
そこで、ボクは少し疑問に思ってた事を口にした。
「でも、本当にこんな魔石が人の体内にあるの?」
そう言って、納品しなかった残りの魔石から拳大の無色透明の魔石をストレージから取り出して見せた。
「な!?」
驚きの声を出したのはホルングランドマスターだ。
「このサイズが人族の体内にあるとは思えないんだけど?」
「同感だ。そしてホルン。何故お前がそんなに驚いている?」
大きさもだが重さも結構ある。
缶ジュースくらい。
こんなの体内にあったら他の臓器が潰れるわ。
いや、レベルが上がるこの世界。
強靭な肉体なら臓器も丈夫に?
であれば、保てるかな。
「いや~、報告は受けたけど実物は見てなかったから……で、何コレ?」
「実物を見ずに除名処分か、グランドマスターも堕ちたものだな。お前の方がグランドマスターの地位を落としてるんじゃないのか?」
「うぐっ。ヴィオラちゃんがいじめる~」
「事実だ」
「あのは報告者は降格だっ!」
「処分ミスの次は責任転嫁、更に職権乱用か……」
「まだだっ!」
「何がだ」
「除名処分が間違いとは確定していない!」
「確かにな。だが魔石を鑑定すれば済む事だ。魔石を鑑定すればどの魔物から採取したか判明できる。スキルで造ったというならその項目が無いか造った者が記載されているだろう」
「だって無色って聞いたら、もう確定じゃん」
「この実物を見てもか?」
「きっと2,3メートルの人の集落なんでしょ。そうでしょ? そうと言いなさいよ!」
「職権乱用の次は強要か」
「あ~の~」
「やっと白状する気になった?」
説明が面倒だったので、声だけかけてストレージからとある魔石を取り出した。
流石にこのサイズなら人体に無い証明になるでしょ。
納品したのは一番小さい拳大の魔石。
そう、あれで最小なのだ。
「「はぁっ!?」」
取り出した魔石を見たヴィオとホルンが驚愕の声を上げた。




