004 巨大バッタ視点1
読んでいただき有難うございます。
語彙力ありません。
更新が遅いです。
以上の事をご了承の上、ご覧下さい。
今日も樹木が旨い!
二つの月が輝く夜の森、樹木を食い漁る1匹のバッタ。
夜の森にボリボリと木々が削られる音が木霊する。
こちらの樹木はビリっとした魔力。
こちらの樹木はヌルっとした魔力。
うーん、どれもこれも旨いですなぁ。
複眼の色を変化させ、電光掲示板のようにニッコリ眼を作る。
ですが……流石に飽きてきますね。
森の統治者として、森から出られないのは仕方ありませんが、いい加減変化が欲しいですなぁ。
バッタの触覚がピクっと動く。
何かに反応するように2本の触覚が一方向を示す。
それは池の反対側の1本の針葉樹。
この森にまだあんな高純度の魔力を放つ樹木がありましたか。
ガパッと開いた顎から溢れた唾液が地面に滴り落ちる。
強力な後肢を使い、池を越える。
おやおや、喜びのあまり肢に力が入り過ぎました。
少し戻り目当ての樹木にたどり着く。
樹木の前に……あれは人族?
ふむ、レベルは……1!?
他には居ないようですが、よくこの森に入れましたね。
樹木の魔力に再び触覚が反応する。
おぉう! 離れているというのに感じる豊潤な魔力の香り。
ハァ……ハァ……ハァ……。
あぁ! もう、我慢できない!
前に居た人族の事を忘れ、樹木の前に詰め寄る。
人族の事は視界に入っているが、見えていない。
樹木に吸い寄せられるように近づいていく。
次の瞬間、樹木目掛けて飛び掛かった。
『@☆$℃!!!!』
人族が何か言っている。
ピタッと身体が空中で止まる。
何事です?
ワタシはあの樹木を食べるのです。
邪魔しないで頂きたい!
バッタの身体が緑色に光だす。
なっ!
これは……まさか、スキル!?
しかも、これは[消滅]!
消滅スキル。
高位スキルの1つで、対象を光の粒子に変換して消すスキル。
レベル1のクソザコに!?
このワタシが!?
くっ! 抜け出せない!
光はやがて、バッタを覆いつくす。
バッタに生まれて幾千年……。
思えば色々ありましたが、まさかこんな終わり方をするとは……。
レベル1……いやはや、世界とは分からないものですね。
光の形状はバッタ状から球体へ、球体から人形へと変化していく。
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暫くして目を覚ます。
横には地面。
ワタシは……確か死んだハズでは?
不発?
やはり、ザコか。
…………………………。
いえ、ここは流石ワタシといった所ですね。
さて、起きますか……妙ですね。
中肢が……ない。
流石に無傷とは行きませんでしたか……。
ですが、残念でしたね。
ワタシには再生があるのですよ。
だが、肢が戻る感覚はない。
……再生しない!?
どういう事だ?
前肢は動……、なんだ?
後肢もオカシイ……。
なんだ!?
ワタシの身体はどうなったんだ!?
いや、焦るな…………[視点変更]。
バッタはスキル[視点変更]を使用。
自身を三人称視点で確認した。
これは、一体……。
数分後……池の畔で身体の動作を確認している者がいた。
ふむ、これがこの人族のスキルの正体なのでしょうか。
いやはや、素晴らしい。
この身体は便利ですね。
あのゴブリンですら得た武器スキル。
バッタの構造ですと、なかなか物も掴めず得られませんでした。
それが、今や簡単に掴める。
石を拾い上げ、投げる事により投石スキルを獲得。
石は木々を貫通し、岩に当たり漸く弾けた。
フハハハハハハ、こんなにも簡単にスキルが増える。
この人族には感謝せねばなりませんね。
それにしても、このようなスキルは聞いたことがない。
一体なんというスキルなのでしょう。
バッタは人族を鑑定スキルで覗く。
ステータス、プロフィール、ストレージ……。
どれも聞いたことがないスキルですが、内容は似たものがありますね。
となると、コレですか。
[ゴーレム]。
成程なるほど、ワタシはゴーレムになったというわけですか。
それにしても、特殊スキルでしょうか?
ワタシの鑑定スキルを持ってしても詳細がわからないとは……。
ゴーレム……ダンジョンに湧くという鉱物系の魔物と記憶していましたが、ワタシの身体は材質的には元のバッタのままのようです。
ただ……魔力の源である核は感じますが、心臓の鼓動は感じません。
これがゴーレムというものなのでしょうか?
まぁ、起きてみたら聞いてみましょう。
というか、この人族は何故寝てるのでしょう。
………………あぁ、魔力の使い過ぎによる休眠状態でしたか。
でしたら、小一時間もすれば目覚めるでしょう。
それまで、この身体で会得できるスキルを考えられるだけ会得していますか。
Get!
[二足歩行][投石][棒][棒術][槍][槍術][陸走][水走]etc・・・・
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遅い!
この人族は一体いつまで寝る気なのです?
……回復量が異常に少ないですねぇ。
人族とはこんなにも魔力効率の悪い生き物なのでしょうか。
仕方がない。
ワタシの魔力で補填しますか。
魔力供給はどのスキルでしたかな……。
バッタは座り込み、自身のスキル一覧を開き目当てのスキルを探し始めた。
スキルは魔物として箔がつきますから、多いに越したことはありませんが、いざ使うとき探すのに不便ですねぇ。
特に使ったことの無いスキルは……。
えぇと、これですか?
いや、これは蘇生スキルか。
死んではいないから意味はない。
ほぅ、魔石を造るスキルなどもあるんですね。
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スキルを探している間に夜は空けていった。