038 グランドマスター[冒険者ギルド]
ここは王都にある冒険者ギルド本部。
その一室である。
「グランドマスター! 緊急で報告が!」
「なんだ? 騒々しい」
答えたのは凛々しい声の女性。
「実はランクアップの魔石を100石納品した者がおりまして」
「どこに緊急要素がある。ヒラからやり直すか?」
「それが納品した魔石が……」
「なんだ? オーガ魔石100石か? それともドラゴン級か? それなら緊急と認めよう」
「いえ……無色魔石でして」
「なんだと!? 何処のバカだ!」
「それが、カロウラ村で昨日登録したばかりの者です」
「昨日? 待てカロウラ村だと?」
「え? はい。そうですが、何か?」
「カロウラ村にはマスターが常駐している筈だ。報告はヴィ……コホン。マスターからか?」
「辺鄙な村なのに良くご存知ですね」
「んん、ま、まぁな」
「ですが、今回はマスターによる報告ではなく、持ち込みになります。鑑定具では鑑定不能との理由です」
「無色という時点で鑑定するまでもないだろうに…… 」
「それがマスターは不在らしく、今回はスタッフによる持ち込みです」
「不在理由は?」
「なんでも高ランクの新種の魔物が出没したらしく、そちらの調査に」
「高ランクの新種か。後程、事情聴取するとしよう。我はカロウラ村に向かう。捕縛隊の準備を頼む」
「かしこまりました。……それともう1点報告が」
「まだあるのか」
「その持ち込まれた品々を盗品と訴える者がおりまして」
「冒険者か?」
「いえ、貴族……子爵です」
「盗品……子爵……ゲリオスか?」
「グランドマスター、ゲリオス子爵です。仮にも爵位持ちです。聞かれたら無礼打ちされますよ?」
「仮にも、と言うお前もな」
グランドマスターは「くくく」と小さく笑う。
それに対し失言したと思った報告者は小さく「あっ」と声を漏らした。
グランドマスターは数秒考慮し、「はっはっはっ」と大きく笑い始めた。
「ならゲリオスの物にしてやればいい。わざわざ汚名を被ってくれるのだからな。その冒険者の罪が軽くなるのは癪だが、冒険者ギルドの汚名が軽くなるなら良きことだ」
「冒険者の処分はいかがいたしますか?」
「除名しろ。忌々しい魔石を納品する者など冒険者ギルドにいらん」
「かしこまりました」




